2017 / 08
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リリなのクロス

「はやて……っ」

 管制人格と祐一が戦う様子を、ヴィータは口元を噛み締めながら眺めていた。今すぐにでもこの戦いを止めたい、だが例えとめても闇の書に取り込まれたはやてを救い出す方法がない。しかし、このままにしておけば万が一にでも祐一が管制人格ごとはやてを殺してしまう可能性もある。

「どうすりゃいいんだよ……シグナム、シャマル、ザフィーラ……」

 書に取り込まれ消えてしまった仲間の名が口から出る。祐一がなぜ、自分を助けるような真似をしたかは分からない。だが、今ここで自分がこうして存在している以上、取り込まれてしまった仲間達の為にもはやてを助けることが出来る。
 しかし、その方法が考え付かない。こうしている今も、戦いは続いている。

「くそ、なんも考えつかない……」

 こういう時、シャマルならば何か考え付いただろうかとヴィータは思う。自分達の参謀役であった彼女が残っていれば、この状況を打開できる策を捻り出したかもしれない。

「あたしは、はやての為に何も」

「ヴィータちゃん!」

「……高町、なんとか」

「もうっ、なのはだよ、高町なのは」

 ごめん、と謝るヴィータには元気がない。無理もないかとなのはは表情を落とす。守るべき家族を守れず、自分一人だけが取り残され、愛する主は闇の書と同化。そして吸血鬼と死闘を繰り広げている。
 悔しさでヴィータの目に涙が浮かんでいた。

「助けよう、ヴィータちゃん」

「ぇ……?」

「はやてちゃん。きっと、何か手があるはずだよ! このままじゃ、吸血鬼さんか闇の書さん……ううん、はやてちゃんのどっちかがいなくなっちゃう。そんなの駄目だよ!」

 不屈の心。それが高町なのはの強さの理由。彼女は決して諦めない。どんな苦境に立たされようとも、彼女には諦めるという言葉はない。PT事件の時も彼女はフェイトと友人になることを諦めなかった。

「助けよう、ね?」

「……あぁ。はやてはあたしの大切な家族だ。いや、はやてだけじゃねぇ、シグナムもシャマルもザフィーラも、あたしの大切な家族だ!」

「私も手伝うから、はやてちゃんを助けよう。きっと、なんとかなるよ!」

 敵対していたというのに、なのはは自分やはやての為に助けてくれる。ヴィータの目に思わず涙が溢れるが、今は泣いている暇はない。バリアジャケットの袖口で涙を拭い、相棒であるグラーフアイゼンを構えなおす。フェイトにアルフ、ユーノも合流。
 まずどうするかを考え、祐一と管制人格の戦いを止めるのが先決だと判断。リーゼロッテとリーゼアリアは、つい先程到着したクロノにより保護、移送されている。

「いくよ、ヴィータちゃん、フェイトちゃん、ユーノ君、アルフさん」

「おう!」

 先制はなのは、彼女がもっとも得意とする魔法・ディバインバスター。砲撃モードのレイジングハートを構え、魔力を抑えて放つ。それは戦いあう祐一と管制人格を引き離すように、彼らの間に割り込まれた。

「チッ」

「紅の鉄騎、何故邪魔をする」

 戦いに水を差され、祐一は不機嫌そうに、闇の書の管制人格は無表情にヴィータ達を見る。その頬には未だ流れる涙。

「うるせー! 管制人格、はやてはどうした!」

「……主は眠っている。私の中で、幸せな夢を見ながら。不自由のない脚、守護騎士達との平和な日々……」

 それははやてが夢見ていた理想。そして、守護騎士達も望んでいた未来。その為に汚名を着てまでリンカーコアの蒐集を続け、闇の書を完成させようとしていたのに……その結果が、ヴィータ以外の守護騎士の消滅、そして今はやてをも失おうとしている。
 闇の書の暴走による、この次元世界諸共。

「私は、主の望みを叶えるだけだ……主、愛しき守護騎士に害を為すこの世界を滅ぼし、主が望む夢を叶える」

「これが、はやてちゃんの望み? 違う、はやてちゃんはこんな事望んでない! どうして……っ」

「お前達も、眠れ」

 血の様に赤く染められた魔法の刃を生み出し、なのは達へ向けて放つ。それを回避、防御、打ち落とすなどそれぞれが効率的であろう対応を行う。血濡れの刃――ブラッディダガーは祐一にもその牙を向く。襲い来る刃を全て腕で叩き落すが、その度に魔力が徐々に削られていく。
 避ける、という選択肢は選べない。向かってくる量がそれを選ばせない。

(本当に厄介だな、この世界の魔法は……魔力は血で補えるが輸血パックも無尽蔵じゃない。手持ちは後二袋、無駄遣いする余裕はないな)

 再び降り注ぐブラッディダガー。だがそれは祐一の前に立ちふさがるようにして現れたなのはのプロテクションによって防がれる。

「なんのつもりだ?」

 頼んだ覚えはない、と視線は冷たい。言葉にはしないが、これ以上魔力が削られないことに関しては助かっていた。その冷たい目に怯みながらも、なのはは気丈に振舞う。

「あの、はやてちゃんを助けるのを手伝ってくれませんか?」

「助ける理由がない。そもそも、俺があの子供を助けてなんのメリットがある? あのわけのわからん本に取り込まれているようだが、それなら後腐れなく一緒に滅ぼせばいいだけだろう」

 その方が面倒がなくていい、と零す。敵対する以上、敵は倒すのみ。下手に情けをかけて生かせば、いつかまた牙を向く。ならば今のうちにその目を刈り取ればいい、というのが祐一の考えだ。

「はやてに手ぇ出してみろ、そんときゃあたしが潰してやる」

「……ふん、麗しい主従愛なことだ」

「違う、はやてはあたしの大事な家族だ。シグナムも、シャマルも、ザフィーラもだ」

 家族という言葉に、祐一の目が一瞬揺れる。もう会うことが出来ない二人、姿も微かにしか思い出せない父、自分を生んですぐに死んだ母。呼吸と共に生まれた動揺を殺す。
 祐一の下にフェイト、ユーノ、アルフが集う。

「闇の書はこの次元世界を滅ぼそうとしています。この世界が滅べば、貴方も流石に生き残れないでしょう?」

 無論だ。いかに祐一が死徒で復元呪詛による再生を持っていたとしても、肉体全てがなくなればそれも意味がない。世界が滅ぶ、言葉にすれば陳腐な一言でしかない。しかし、嘘ではないのだろう。

「世界崩壊、か。この世界の抑止力は何をして……いや、ここは俺の知る世界じゃない。抑止力自体が存在しない、か」

 本来ならば、世界の危機が訪れれば抑止力が働きその滅びの要因を排除しようと動く。ただし、抑止力の守護者が現れるのは決まって事が済んだ後、それ以上被害が広がらぬようそこにあるモノ全てを滅ぼす為だ。
 あれがどういった代物か祐一にはわからないが、少なくとも人の手によって創られた物なのだろう。ならば動くのは霊長の抑止力か、それとも世界の抑止力か。恐らくは前者だと思われるが、それは祐一のいた世界での話。
 この世界には抑止力が存在しえないのだろう。だが、そこまで考えて祐一は否と考える。

(抑止力が働く=守護者が現れるじゃない。抑止力によって動かされた人間――英雄がいる。なら、ここにいる奴らが全て抑止力によって集められたとしたら……俺も、その一人というわけか)

 この考えが正しいかどうかはわからない。しかし現実は滅びの原因はここにあり、それを良しとしない者達が集まっている。祐一自身は魔法がどういったものかを知るためにここにいると思ってはいるが、それが抑止力によって後押しされたわけではないと否定することも出来ない。
 吸血鬼、死徒といっても所詮は世界にとっては小さな存在。抑止力によって踊らされているだけなのかもしれない。

「……ハ、とんだ道化だ」

「え?」

「こっちの話だ。やるのならさっさとしろ、出来うる限りは手を貸してやる。だが、少しでも面倒だと感じれば俺は取り込まれた子供ごと殺すぞ」

 なら、素直に踊ってやると祐一は決めた。その中に、ほんの少しではあるがあの子供を助けたいという願いがあったのかもしれない。人としての良心など捨てたと思っていたが、まだ人間よりの死徒のようだと自分を嘲笑う。無論、助ける手段がなくなった時は手をかけることに躊躇はしない。
 突然の手の返しようになのは達は困惑したが、手伝ってくれるのならば文句はない。ヴィータだけは、信用できない様子だったが、はやてを助けるという目的の為に何も言わなかった。

「何か策はあるのか?」

「……まったく」

「ち、いきなり面倒になってきたぞ」

 目を細めて指を鳴らす祐一に、ユーノは慌てて話し出す。

「闇の書――いえ、夜天の魔導書については情報が少なすぎるんです。ぎりぎりまで調べたんですが、どうすれば取り込まれた主を救出できるのか」

「お約束で考えるのなら、あいつをぎりぎりまで弱らせてから呼びかけるとかが有効そうだが……ま、現実はゲームのようにはいかんだろうな」

 なのはのディバインバスター、ヴィータのシュワルベフリーゲン、フェイトのフォトンランサーが闇の書に向かって放たれる。両腕をかざし、防御魔法によって直撃はしたもののダメージはない。静かに言葉を紡ぎ、圧倒的な魔力をもって黒い塊を生み出す。

「闇に染まれ――」

 塊はすぐに破裂するように周囲を侵食する。広域攻撃魔法――避けきれないと判断した面々は全力で防御魔法を展開させる。魔法の使えない祐一は、ユーノの魔法によって難を逃れた。あれだけの範囲、下手に受ければ魔力はごっそり持っていかれていただろう。

「……魔法の使えない俺は、この中で一番の足手まといだな」

 攻撃が止んだのを見計らい、指先からガンドを放つ。祐一に使える、遠距離から攻撃できる唯一の魔術。先程のお返しだと言わんばかりに、マシンガンの如く雨あられとガンドが闇の書へと降り注いでゆく。シールドを張りそれを防ぐが、祐一の使うのは魔法ではなく魔術。さらにガンドは呪いの塊。

「ぐっ……」

 シールドで受けているというのに、体に何かが浸食してくるような感覚を味わう。非殺傷設定などない、当たれば怪我は免れないだろうガンドの攻撃。一瞬怯んだ様子を見せた闇の書に、好機とヴィータとフェイトが突撃する。

「くらえぇぇっ!」

「はぁぁぁぁっ!」

 ハンマーを叩きつけ、魔力で編まれた刃を振るう。三度防御を試みるが、展開が遅れたのか二人の攻撃が当たると同時に闇の書が吹き飛ばされる。しかし、やはりダメージを受けた様子はない。
 長期戦になれば不利になるのはこちら。闇の書は膨大な魔力量をもっている筈だ。無限は言いすぎだろうが、少なくともなのは達から見ればそう思えてしまうだろう。先の広域攻撃魔法も、とてつもない魔力を使っていた。

「おい管制人格! お前もはやての事が好きだったんだろ!? はやては、こんな事望むような奴じゃねぇ!」

「紅の鉄騎よ、もう遅いのだ……私は完成し、そう時間もかからず暴走を始める。なれば、我が意思がある僅かな時間を使い、主の願いを叶えるのみ。お前こそ、何故邪魔をする。その者達は、幾度となく騎士達の邪魔をした敵、仲間を傷つけた者達だ」

「……確かにこいつらは、あたしらの邪魔をしたよ。でも、今ははやてを助けるのを手伝ってくれる仲間だ。だから管制人格、いや闇の書。はやてを返してくれ!」

 悲痛なヴィータの叫びは、闇の書へは届かない。

「お前も、その名で私を呼ぶのだな……」

 流れる涙は止まらず、闇の書は彼女らが知るミッドチルダ式魔法の術式を編み出す。ピンク色の魔力光。その魔力光を持つ者は……。

「咎人達に、滅びの光を。星よ集え――」

「まさか、なのはのスターライトブレイカー!?」

「なのはは一度闇の書に蒐集されてる! その時にコピーされたんだ!」

 闇の書――夜天の魔導書の本来の目的は偉大な魔導師の技術を収集、研究するもの。その機構は改変された今でも残っていたのだろう。収束されている魔力の量に、祐一も冷や汗を流さざるを得ない。チャージしている今のうちに、全力で離れろというユーノの言葉に従い、各自全力で闇の書から遠ざかっていく。
 特筆してはいなかったが、魔法を使えない祐一が空を飛んでいるのには彼の足に大きな翼が生えているからである。自身の体を蝙蝠に変えることが出来るのならば、足に翼を生やし飛ぶことが出来るのではないかと考えた結果だ。
 なのはのスターライトブレイカーは距離を取れば威力が減衰していくという弱点がある。だが、至近距離で受ければ強固なバリアすらも貫通するほどのパワーを持っている。つまり、距離を取るしか対処法がないのだ。

『皆、大変! 結界内に取り残されてる民間人が二人いるみたいなの!』

「えっ!?」

「?」

 エイミィからの念話は、魔法使いであるなのは達にしか分からない。突然空中で静止し、驚くなのは達を眉を顰めて見る。

「なのは、その二人の位置もそこまで遠くない。私達で保護しよう」

「う、うん!」

 二人でどこかへと飛び去っていく。闇の書からかなり距離を取った場所にあるビルの裏側で、あの二人はどうしたとユーノに問い掛ける。民間人に被害が出ないよう、魔法での戦いをする場合は広域結界を張り自分達がいる場所を隔離するのだが、この結界内に民間人が二人残されたということを聞かされる。
 魔法は非殺傷設定とはいえ、魔力を持たない民間人がまともに魔法を受ければ怪我は免れない。それがスターライトブレイカーならば尚更だろう。

「運の悪い奴らだな。それをわざわざ助けに行くあの二人も、相当お人よしだ。放っておけばいいものを」

「フェイトもなのはも、二人とも優しいから仕方ないさ。それに、民間人をそのままにしておくわけにもいかないだろ?」

 アルフが不機嫌そうに言う。

「ふん……来るぞ」

「全員、全力で障壁展開!」

 魔力の収束が完了し、闇の書のスターライトブレイカーが発動する。地上に着弾したそれは、なのはが使うモノとは違い、拡散作用を持って周囲へと展開していく。再びユーノの防御魔法によって事なきを得ている祐一は、まるで核兵器の爆発だという感想を抱いた。
 魔力の光が周囲へと拡散していく様は、確かに爆発にも見えなくはない。

「く、うぅっ!」

 持てる魔力全てを注ぎ込んでいるかのように、防御魔法の維持を優先させているユーノ達。だが、ユーノの消耗が思った以上に激しく段々と押され始めた。まずい、と判断した祐一はユーノの右手を掴む。

「え?」

「魔法の理論は分からんが、魔力を送り込む事ぐらいは出来る。魔力が馴染むとは限らない、必死で耐えろ」

「は、はい……!」

 簡易的にだが、掴んだユーノの右手を介して魔力を送る。流れ込んでくる異質な魔力に一瞬苦痛の表情を浮かべるが、集中力が途切れれば防御魔法が消える。文字通り、必死でユーノは魔法の維持に努めた。
 スターライトブレイカーの照射が終わり、ユーノは魔力の消耗と苦痛から開放された反動で一瞬意識を失う。地上へ落ちそうになるユーノを片腕で支える祐一。その衝撃でユーノの意識が戻った。

「あ……すいません……」

「いや。良く耐えた方だ」

 再びユーノの飛行魔法が始まる。民間人を救いにいったあの二人は無事か、と一瞬考えるがこの程度で参るなら抑止力が選ばないだろうと判断する。事実、闇の書へ向かって飛んでいく黄色い閃光――フェイトの姿が見えた。バルディッシュを振るい、闇の書へと斬りかかろうとした瞬間、フェイトの姿が掻き消えた。

「フェイト!?」

 アルフの悲鳴。消えたフェイトが出てくる気配はない。死んだのか、それともどこかに飛ばされたのか。その思考も突如地面から突き出た触手によって遮られる。闇の書の暴走が始まったのだ。
 無数に出た触手は獲物である祐一達を捕らえようと蠢く。それをかわし、アルフとユーノはなのはがいると思われる場所へ向かう。

「くそっ……邪魔だぁぁっ!」

 ヴィータも自分を捕らえようとする触手をグラーフアイゼンで叩き潰し、粉砕していく。もう時間がないことに、焦りを感じているのだろう。暴走が始まったということは、はやての命も削られていくということ。このままでは、海鳴市だけではなくこの世界そのものが崩壊し、はやての命を喰らい尽くした闇の書は再び転生する。そうなれば、守護騎士として残っているヴィータも消え別の主の下に召還され、同じ事を繰り返すだけ。

「はやてぇぇぇぇぇぇぇぇええええ!!」

 闇の書に向かってヴィータが突っ込む。はやてという少女の為に戦うヴィータの姿に、祐一は少しだけ尊敬の念を抱く。世界の為でなく、家族を救う為。家族を救うことが、世界を救うことに繋がる。結果的にはそうなるのだろう。
 例えそれが抑止力に後押しされたのかもしれずとも。少なくとも、世界の為と大義を振りかざすよりかはよほどマシだ。

「まるでマリオネットだな」

 自分の今の状況を皮肉り、迫ってくる触手を掴み、握りつぶす。敵対の意志を見せた祐一に対し、触手の全てが攻撃を開始する。それを爪で切り裂き、先程と同じように握りつぶし、力任せに引きちぎる。だが、一向に数を減らすことのない触手に嫌気がさしたのか、高度を高くして闇の書へと向かう。
 なのは、ヴィータ、アルフの攻撃を受け続ける闇の書。スピードを上げて魔法を撃たれる前に一気に接近戦へと持ち込む。

「またお前か、吸血鬼」

「やられたらやり返す、当然の事だろう?」

「お前も、永久の闇へと沈め」

「生憎だが、吸血鬼は元より闇の中に生きる怪物だ。今更闇に沈んだところで何も変わらないさ……っ!」

 自虐を口にしつつ、祐一は魔法を使わせる隙を与えまいと掌打から肘打ち、膝蹴りと攻撃を緩めず動き続ける限り格闘を挑む。格闘技の経験など持たないが、吸血鬼となる前は退魔の家系で生きてきた。その過程で一通りの近接戦闘術は仕込まれている。
 吸血鬼となった今でも、その教えは忘れてはいないし忘れない為にも日々鍛錬だけは怠っていない。身体能力が人間以上とはいえ、戦う術を持たなければ宝の持ち腐れだ。
 闇の書も、守護騎士を束ねる存在だけあり近接戦闘の心得はあるらしい。

「主を取り込み世界を滅ぼす道具とは、また妙なものを作る奴がいたものだ」

 迷惑この上ない。ここまでやってまだ終わらないのなら、最初に宣告したように八神はやてごと闇の書を消し去った方が早い。転生機能を持つ闇の書相手にそれでは意味がないのだろうが、祐一にとってはあまり関係のないことだ。
 抑止力にとっても、世界が滅ぶよりも少数の犠牲で世界の滅びが抑えられるのなら問題はないはず。いい加減相手をすることにも疲れてきたのだ、そう覚悟を決め、

『外の人、聞こえますか?!』

 聞き覚えのある声で漸くかと不機嫌そうにため息をこぼした。

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神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
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