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五話 迷いの竹林に住む者 

「……暇ですねー」

 紅魔館の一室。祐一が滞在することとなった部屋のベッドで、とんでもステッキのルビーがぽつりと呟く。彼女のマスター(本来ならば女性しか契約できないのだが、彼女と内面が似通っていることと彼女が女性だけじゃ面白くないとのことで男性との契約も可能にした)である祐一は、今はいない。
 紅魔館のメイドである十六夜咲夜と共に、人里に行っている。留守番と聞いて不満を抱いたルビーだが、まぁ後で埋め合わせはしてくれると言っていたのでこうして大人しくしていた。

「ルビーちゃん暇です。やっぱり、暫く(他人で)遊んでなかったから欲求不満ですよ?」

 そう、"していた"のだ。過去形で言ったのは間違いではない。それが事実だからである。祐一に言われて暫くは、ルビーは言いつけどおり大人しくしていた。
 しかし、欲求が限度を超えたのだ。今のルビーは、暇つぶしを探している。具体的には、自分の力を使って誰かをからかったり、恥ずかしがらせたりできないかとか。

「ここにどんな人がいるんでしょうかね。私が見たのは、少し胸が小さいメイドだけですし」

 本人に聞かれたまずへし折られるだろうことを呟く。流石にこの規模の館だ、あのメイドだけということはないだろう。少なくとも、主人級の人物がいるのは予想できる。まぁ、他にちらほらいるだろう。その中に自分の眼鏡に適う相手がいれば万々歳だ。

「マスターには悪いですけど、私は私の道を行きます。さーて、どんな子がいるんでしょうかね♪」

 器用にぴょこぴょこと跳ねながら、ルビーは部屋の出口へと向かう。羽根の部分でドアノブを回して、悪魔の杖とも魔法の杖とも呼ばれる礼装、カレイドステッキは紅魔館という名の野に放たれた。
 もっとも、ここは悪魔の館、紅魔館。彼女の思うとおりに事が運ぶとは限らないのだが。




 爺さんに連れられてきたのは他の家よりも大きい、屋敷と言っても良いほどの家。というか、屋敷だろうか。衛宮邸といい勝負かもしれん。

「幻想郷縁起という本を書いておる、稗田の家じゃよ。ここの阿求様なら幻想郷のことについて詳しいはずじゃ。阿求様、いらっしゃられますかなー?」

 玄関から呼びかける。あぁ、幻想郷には呼び鈴なんて代物はないのだろう。俺は歴史には詳しくないから、呼び鈴という概念がいつ出来たのかわからないけど。
 呼びかけから暫くして、玄関口に人影。

「はいはい、ちょっと待ってくださいね……あら、平蔵爺さん。どうしました? それに、あまり人里ではあまり見ない人ですね。その服装からすると、外来人ですか?」

 出てきたのはちっさい女の子。

「まぁ、そんな所だ。幻想郷の観光でもしようかと思ったんだが、地理がまったくわからなくて困ってたんだが、この平蔵さん? が詳しい人のところへ連れて行ってくれるからって」

「観光、ですか……。それは、この幻想郷がどういう場所かを知っていて言っていますか?」

「あぁ。ゆかりんから聞いてる」

「ゆか、りん? あ、あぁ、八雲紫殿のことですか……」

 ゆかりん、と信じられないような顔でもう一度呟くちっさい子。むーん、ゆかりんも言ってたが誰も呼んでくれないって言うのはほんとみたいだな。まぁ、名雪のなゆちゃんレベルの呼び名であることは確かだが。

「まぁ、立ち話もなんですから、中へどうぞ。平蔵爺さんもご一緒に」

「これはかたじけない、阿求様。ほほ、やはり歳を取るとすぐに疲れが出てしまう」

 爺さんに手を貸しつつ、ちっさい子……阿求とかいったか、その子について奥へ。風通しのよさそうな一室へと案内されたそこには、俺達以外にも客人の姿が。
 髪を長く伸ばし、へんてこな帽子(というより、塔?)を頭に乗せた胸の大きな女性と、これまた髪を長く伸ばしでかいリボンをつけたもんぺ姿の女の子。こっちはあまり胸は大きくなさそう。とりあえず、この思考を読まれたらまず怒られるな。変なことは考えないように思考をカットする。

「客人か。おや、平蔵ではないか」

「平蔵、元気にしてる? ……そっちのは見ない顔ね。また外の人間が迷い込んできたのかしら」

「おはようございます、慧音様。妹紅殿、心配せずともわしはまだまだ元気ですよ。そちらこそ、お体を大切にの」

 彼女らの対面に爺さんを座らせ、俺はその横に。阿求という子が冷えたお茶をもってきてくれたので、ありがたく頂くことに。こう暑いと、水分がいくらあっても足りない。
 一気にお茶を飲み干し、一息つく。

「ありがとう」

「いえいえ。失礼ですが、お名前を伺っても?」

 そういや名乗ってなかったか。

「相沢祐一。外の世界……つっても、同じ世界かどうか疑問だけど、そこに住む魔術師もどきの退魔師だ」

 この名乗りもいい加減飽きてきたな。事実とはいえ、魔術師もどきというのはどうも語感がよろしくない。でも、退魔師であり魔術師でもあるのが俺だしなぁ。魔術らしい魔術は使えないけど。
 俺に出来るのは、この眼を使ったことぐらいだし。

「退魔師、か。霊夢と似たようなことを生業にしているのだな」

「あー、そういや博麗の巫女は妖怪を懲らしめるのが仕事とかですっけ。確かに、似たようなもんですね。俺の場合は、妖怪だけじゃありませんけど」

 それこそ、必要なら人間すらも殺すことは厭わない。躊躇いもあるが……その為に魔術師としての精神を持っている、と言っても過言じゃない。
 魔術師は人にあらず。己の目的の為に感情を殺し、合理的に動く生き物だ。根源へと至る為に、抑止力に気づかれぬようありとあらゆる可能性を模索する。俺は根源などに特に興味を覚えないので、その魔術師としての精神だけを習得した。
 俺にとっては、退魔師としての自分が本来の自分なのだ。

「紹介が遅れたな。私はこの人里で寺子屋の教師をしている上白沢慧音だ。こっちは」

「……藤原妹紅。迷いの竹林の中に住んでるわ。呼ぶときは妹紅でいいよ」

 無愛想だが、決して冷たくはない感じ。それが俺の藤原妹紅という人物に対しての第一印象。慧音……さんは、年上の頼りがいのありそうなお姉さん、という感じ。我ながらもっといい言葉は浮かばないのか、と思うがそう感じるから仕方ない。

「改めまして、稗田阿求と申します。幻想郷縁起、という本を書いている者です」

「何の本なんだ?」

「幻想郷に関する様々な事柄や、妖怪や妖精、亡霊など人間にとって危険な存在を書き記しています。それの対策方法や、主な遭遇場所や活動時間などもですね」

 なるほど。その幻想郷縁起とやらを見て知識を得ていれば、仮に危険な相手に出会ったとしても生き延びられる可能性が出来るわけか。弱い者なりに出来る対策だな。
 ただ、俺は一番恐ろしいのは人間だと思うけど。

「それで、相沢君?」

「祐一で構いませんよ、慧音さん。苗字で呼ばれるのは好きではないんで」

 口がすっぱくなるほどに言い続けてきた言葉。理由を思い出すのも億劫だ。

「では祐一と呼ばせてもらうよ。君はどうやってこの幻想郷に?」

「ゆかりんに連れてこられました」

「ゆかりんっ?」

 妹紅が素っ頓狂な声を上げた。声を出さないが、慧音さんに阿求、平蔵の爺さんも微妙そうな表情。むー、なんか呼び方が恥ずかしくなってきた。さゆりんとかおりんレベルに言いやすいんだが。
 くっくっくと変な顔をしていた妹紅が、笑い始める。最初は抑えていたみたいだが、徐々に声が大きくなっていく。

「あははは! なにあのスキマ、そんな風に呼ばせてるの!? だめ、おなか痛い!」

 笑い転げる妹紅に、慧音さんがため息をつく。しかしその顔はどこか笑いをこらえているように見えて。ゆかりん、皆に笑われてるぞ。

「落ち着け妹紅。こほん……で、祐一。君はすぐに帰る算段なのかな? もしそうなら、私が霊夢の所まで……いや、博麗の巫女のことを知っている、ということは誰かから既に伝え聞いたのか?」

「いや、本人に会ってますよ。博麗神社で」

「む、八雲紫に飛ばされた場所があそこだったのか。なら、すぐに帰らなかったのは?」

「幻想郷の話を聞いて、興味が湧いたので暫く滞在して観光でもしようかな、と」

 やっぱり変な顔をされる。まぁ、幻想郷は妖怪がわんさかいるらしいから、普通俺のような外来人が来た場合すぐにでも帰るみたいだが。生憎とそういう存在には慣れっこなので、特に身の危険を感じたいんだよな。
 ……危険度で言うなら、アルクェイドとかセイバー達の方がよっぽどだし。星の守護者に過去の英雄様だしね。

「とりあえず幻想郷での有名どころと言えば、白玉楼に紅魔館、永遠亭、三途の川、太陽の畑、魔法の森などあげられますね」

「あー、紅魔館は別にいいな」

 もう行った後だし、そこに住んでるし、今日も帰るし。

「どうやらあそこの危険度は知っているみたいだな。いい判断だ」

「あぁいや、そうじゃなくて。俺、今あそこで間借りさせてもらってるんで」

 驚愕の声。よく無事でいられるなとか、正気かとか、まさか食料として捕獲されたのかとか、いろいろ言われる始末。
 ……紅魔館、予想よりも危険なところらしいな。まぁ、吸血鬼の住む館だしあそこにいる人間は咲夜ぐらいだから、危険度は確かに高いんだろう。今更だけど。

「等価交換として血液ぐらいは要求されたけど。献血とさほど変わらないだろうし」

「吸血鬼に血を吸われるのを献血と一緒にする……? あなたの頭、大丈夫?」

 なんつー失礼な物言いだこのもんぺ。シオンとかさっちんとかライダーとか、献血みたいなことは何度かしてるし。その度、レバーとか食って血液は補充してる。
 ライダーに血を提供する時に、なんか濡れた目で見つめられた時はすんごいあせったが。あれは貞操の危機だったね。

「妹紅殿、その言い方は少し失礼だと思いますよ。流石に少し言いすぎ……うぅっ」

「爺さん、どうした?」

 腹をおさえて平蔵爺さんが唸る。問いかけるが、ただ痛みに耐えるだけで精一杯なのか返事は返ってこない。
 まずいな、怪我の応急処置程度の知識はあるけど本格的な医療知識はないんだが。

「この辺りに医者は?」

「人里にはいないんだ。妹紅の住んでいる迷いの竹林の中の永遠亭になら、薬師がいるんだが」

 気休め程度にだが、爺さんの背中を擦りながら慧音さんがそう答えた。そこから連れてくるには時間がかかりすぎるか。ならこっちから出向いたほうがよっぽど早い。

「妹紅、頼めるか?」

「任されて。平蔵、永琳のとこまで連れて行ってあげるから」

「なら、俺が爺さんを抱えるよ。妹紅は案内してくれるか?」

「……わかった。でも、ちょっと急ぐからスピード出すわよ?」

 それに笑みで答え、平蔵爺さんを背中に背負う。走り出す妹紅の速度は確かに、かなり速い。だけど決して追いつけない速さでもない。むしろ追い抜けるほどだ。背中の平蔵爺さんを落とさないよう気をつけながら、妹紅の案内で迷いの竹林とやらに到達。
 辺りを見る暇もなく、竹林に突入し妹紅が走る後を追う。なるほど、迷いの竹林という名前は確かにぴったりだろう。見渡す限り同じ景色に見え、もし迷ってしまえば自分が今どこにいるのかわからなくなり遭難してしまう。

(七夜の森もここまでひどくはなかったな。ちゃんとした道順は後で聞いておこう)

 目の前を走る妹紅の背中を、見失わない程度に意識を周りへと向けながら追う。背中で未だ苦しむ爺さんを励ましつつ、目的地である永遠亭とやらにつく。

「兎! 急患よ、永琳の奴呼んで来て!」

 玄関に駆け込み、怒鳴るように妹紅が誰かを呼ぶ。すぐにどたどたとこちらに走ってくる足音が聞こえ、玄関に現れたのはセーラー服(にしか見えん)を着込んだウサ耳少女。やはりというか、退魔衝動が疼く。幻想郷は妖怪の宝庫みたいだし、行く先々で反応するんだろうが……疲れる。

「……後ろのお爺さんが急患? こっちへ」

 ウサ耳少女の後をついていき、青と赤がセンターで分けられているかなり独創的(あまりこの表現を使うことはないんだが)な服を着た女の人がいる場所へ。

「ここへ寝かせて。診察するから、貴方達は外に出ててもらえるかしら」

 言われた通り彼女に爺さんを任せ、俺と妹紅は外へ。勝手知ったるなんとやら、妹紅はずんずんと先を歩くのでそれについていく。和風の外観を裏切らず、中も見事に和風。幻想郷の建物のほとんどは昔の和風建築。例外は紅魔館ぐらいだろう。
 衛宮の家に近いので、俺は落ち着くが。

「永琳に任せれば大丈夫でしょう。腕はいいし」

「なら良かった。妹紅はこれからどうするんだ?」

「平蔵が治るのを待つわよ。人里まで連れて帰らなきゃならないし」

 アンタは、と視線で問いかけてくる。爺さんが倒れるというアクシデントがあったが、俺の本来の目的は幻想郷の観光だ。先ほど阿求に聞いた幻想郷の有名どころの一つにいるんだから、少し探索しても罰は当たるまい。俺の行動自体は行き当たりばったりだし。

「そうか。俺はこの……永遠亭だったか。色々調べてから帰るわ」

「……一つだけ忠告しとくわ。ここに輝夜、ってのがいるけどそいつには気をつけなさい」

「かぐや?」

 衛星探査機みたいな名前だな。あ、いや、あれはロケットの名前だったか? まぁ、どっちでもいいや。でも、なんで名指し。

「おや、珍しい。妹紅がこんな所にいるなんて」

 むぅ……さっきから断続的に衝動が。負けるつもりはないが、こうも連続で来られると少しまずい。

「アンタ、いたの?」

「そりゃいるよ。ここに住んでるんだから」

 やってきたのはまたウサ耳少女。それも結構背の低い。二号か。

「ありゃ、お客? お近づきの印にお一ついかが?」

 そう言って首からぶら下げたちっこい賽銭箱を揺らす。これは……賽銭くれってか。博麗神社にも入れたとこなんだが、まぁこれぐらいのサイズなら少しでいいだろう。
 財布から500円硬貨を取り出し、奉納(賽銭箱だし、こっちの方がしっくりくるだろ)する。

「毎度ありー♪ いいことあるよおにいさん」

「そりゃどうも」

 話半分程度に聞いておこう。胡散臭いことこの上ないし。

「んで、何の用? 怪我人、とは違うみたいだし」

「病人を運んできただけだ。んで、ついでに幻想郷観光の目的の一つでも果たそうかと」

「……外来人か。うーん、私の知ってる限りだと外の世界にすぐに帰りたがるか、こっちに永住しようとするかの二択だったからね、その行動は珍しい」

 そりゃまぁ、少なくとも一般の人間がこんなところに迷い込めば帰りたくなるのも頷ける。永住は……住みやすそうとか、気に入ったとかそんな理由だろ。俺は自分の帰るところがあるが、興味があるので観光という選択をとっただけ。

「ま、私らにはあんま関係ないか。自己紹介が遅れたね、私は因幡てゐ。ここの兎達を取り仕切ってる頭だよ」

 頭と来た。まるで暴走族とかそんな言い方だ。

「相沢祐一だ。短い間だろうけど、よろしく」

「こっちこそ。具体的にはいいお付き合いでいたいね」

 にしし、といった笑みを浮かべる。いかんな、これは弱みを握らせるとこっちが食われるぞ。俺の長年の勘が告げている、決してコイツに油断するなと。

「そうだな、いいお付き合いでいたいな。俺にとって」

 油断すれば食われる。決して弱みは見せてはならない。相手の裏の裏の裏の裏をかき、自分の有利な状況を仕立て上げる。自分は常に上位にいなければならない。
 それが勝者だ。

「……何やってるの、そこの二人」

「知らないわよ。良くわからないけど、関わり合いにならないほうがよさそうよ? この二人からは同じ匂いがするし」

 む、いつの間にやらさっきのウサ耳少女一号が。ここはウサ耳少女の楽園なのか? だとしたらなんてところだ、天国かここは。北川、俺は今理想郷の一つに辿り着いたみたいだ。
 羨ましいだろう、でも変わってやんね。寧ろ変わったら北川の人生が終わりそうだ(生命的な意味で)。

「むむ、それはどういう意味だもこもこ」

「誰がもこもこよっ。変な名前で呼ばないでくれる?」

 可愛いだろうに、もこもこ。久しぶりに祐一さんの中にある偉大なる小宇宙の一つ、乙女コスモが働いてくれた結果だというのに、何が不満なのか。
 かつては殺村凶子にピロシキ、かおりん、さゆりんといった名前を生み出した俺の乙女コスモ。皆に評判なんだぞ。

「んで、そこのウサ耳少女一号」

「一号って何!?」

「名前知らないし。仮面なんとか一号みたいでかっこいいだろ?」

「意味がわかんないわよ……」

 やはり女子にはわからん世界なのかね。いや、そういう俺も詳しく知らないんだが。

「鈴仙・優曇華院・イナバ」

「冷麺・うどん・イナバ物置?」

「最後のは明らかにおかしいでしょ」

「何故ばれたし」

 それはともかく、ミドルネームもちとか格好いいじゃないか。イリヤみたいで少しあこがれる。でも俺の名前は日本人のもんだし、そこにミドルネームが入るとお前どこの厨二病患者だってなるからなぁ。俺は邪気眼とかそういった病気にはかかったことなのが自慢なのだ。
 存在自体が厨二だとか言う奴はその後の人生で永遠とからかい続けてやる。

「相沢祐一、外の人間だ。よろしく」

「よろしく。さっきのお爺さんだけど、師匠がもう大丈夫って言ってたわ。食中毒だったみたい」

 む、食中毒なんてそうすぐ治るもんなのか? ああいうのって入院して治療すると思うんだけど。病気に関する知識はまったくないから、わからない。
 まさか、俺は脳筋族なのか!?

「連れて帰っても大丈夫?」

「構わないわよ。今は眠っているから背負って帰ってあげて。念の為、安静にはさせておいて」

 軽くショックを受けて落ち込んでいる俺の耳に、先ほどの医者の女性の声が聞こえる。

「あら、見ない顔ね。妹紅、貴方の良い人?」

「んなわけないでしょう。外来人よ」

 なんでもないように振舞う妹紅の頬が少しだけ赤くなっているのを見逃す祐一さんではない。後でからかってやろ。

「初めまして、この永遠亭の薬師、八意永琳よ」

「どうもご丁寧に。俺は相沢祐一、退魔師を生業としてます」

 握手を求められたので、手を差し出す。今更なんだが、なんでこう俺の周りは美人やら美少女やら幼女(?)やらが多いのか。もう少し、男っ気が欲しいんだけどなぁ。
 北川やら志貴やら以外にももう少し男友達が欲しい。

「で、外来人の貴方は何故ここに? どこか怪我でもしたのかしら」

「や、爺さんを連れてきたついでに、幻想郷の有名所の一つの永遠亭を見ようかと思いまして。俺の目的は幻想郷の観光なんです」

「物好きねぇ。特に面白いものがあるわけでもないわよ? うちにはうどんげにてゐ、兎達と姫がいるぐらいだし」

 ……姫? なんだ、ここには貴族とか王族とかいった偉い人がいるのか。それが没落したことによっているのか、自ら望んでここにいるのかによってかなり意味が変わるけど。

「姫ねぇ」

「会ってみる?」

「普通、そういう偉い人には会わせないんじゃ?」

「別に構わないわよ。姫も最近ひどく退屈なされているみたいだし、暇つぶしにでもなればと思ってのことだし」

 あー、確かに退屈は辛い。俺自身がトラブルメーカーであるから退屈とはそれなりに無縁なんだが、それでも時々退屈になると、何もかもに嫌気がさすんだよな。

「やめときなさい、祐一。輝夜と会っても何も面白くないわよ」

「む、そう言われると余計に会いたくなってくるんですが」

「天邪鬼な奴ね……人の忠告は素直に聞いておきなさいよ」

 だが断る。ダメといわれるとやりたくなるのが、人間の性というモノでしょうに。にしても、姫でかぐやねぇ。竹取物語のかぐや姫じゃあるまいし。

「んじゃ、お言葉に甘えて会ってみようかな。元々、観光目的だし色々な奴と交流を深めるのも醍醐味の一つと思うし」

 いいと言われてるんだ、お言葉に甘えるとしよう。それに、どこに面白いことが隠れているかわからないしな。




 ※次回の予定。

 輝夜と遭遇して、帰るのは決めてます。その後の話は、紅魔館での一日か、どこかへまた行かせる(その場合、香霖堂予定)つもりです。後は、最初に出てそれっきりの霊夢・魔理沙組とか。
 結構書くのが難しいなぁ、東方はw キャラ全員、何かしら癖のある性格してるし。
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神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
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