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実験作七作品目




 ただいま僕の肉体、そしてさようなら鬼畜なマッドさんというわけで魂が肉体にスクランブルダッシュした瞬間、僕は風となったのだ。僕が目覚めるのを待っていたマッドさんを押しのけ、行く手を阻んだ兎詐欺ちゃんは吹っ飛ばし、永遠亭という恐怖の館から辛くも逃れる僕。
 迷いの竹林はいらん時にその効果を発揮し、見事僕は迷子になった。

「ええい、本当に役に立たない竹林め。きっとここは僕が嫌いに違いない」

 このままではマッドさんの刺客に捕まる。しかも竹林から見える空は、もう既に暗い。

「妖怪の餌食になるフラグ……ばりばりむしゃむしゃ食べられるのはごめんこうむるでござる」

 実験台エンドか、食料エンドへの道が開かれていく……! そんなのは絶対に嫌だ、僕は生き延びてまた腋巫女やナイフ長の御飯を食べなければならんのだ。後、メダロット普及も終わってないし。
 勘を頼りに竹林を進み続けて、僕は一筋の明かりを見つけた。兎詐欺ちゃんか、と警戒しながら近づいてみると、

「あ、ちんちんの屋台だったんだ」

「ち、ちんちん言うな!」

 八目鰻を焼いて売ってるちんちんの屋台だった。頻度は低いが、僕も屋台に食べに来ることはある。とりあえず、バッドエンドへの道は閉ざされたようで安心した。

「むしキングにもんぺもいる」

「私は女の子だからクイーンだよ! いや、突っ込むのはそこじゃないけどもっ」

「お前も相変わらず人のことちゃんと呼ばない奴だな。いい加減呼べばいいのに」

「いやでござる」

 むしキングの横に座り、白玉楼では御飯を食べ損ねてしまったせいで空腹もピーク。お腹と背中がくっついてなくなりそうなぐらい、お腹が空いている。とりあえず、注文をとることに。

「熱燗と焼き鳥一丁!」

「食 べ る よ ?」

 ごめんちゃいと謝って、八目鰻とお漬物を頼みなおす。まったく、ちょっとした冗談だったのに。ちんちんも冗談が通じないんだから。
 それにしても、

「もんぺがここにいるって珍しいね。健康マニアの焼き鳥屋の癖に」

「私だって呑みに来ることくらいあるさ。そりゃミスティアとは決して仲が良いとは言えないけどね」

「焼き鳥撲滅を掲げる私にとっては彼女は敵だけど、今はお客さんよ。お客さんを追い出す店主はいないわ」

 お客様は神様ですの精神だね。ただ、焼き鳥関連を抜きにすると割といい付き合いになるかもしれないのは僕の気のせいか。まぁ、関係ないからいいけども。
 出された八目鰻を頬張りつつ、熱燗に舌鼓を打つ。

「それにしても、マッドさんも酷いよね。相変わらず僕を実験台にする」

「お前、またされてたのか?」

 呆れたようにもんぺが口を開く。僕だって好きで実験台にされているわけじゃないんだけどねっ。だから永遠亭には出来る限り近づかないようにしてるのだ。
 だけど、マッドさんがわざわざ人里にまで出てきて僕を実験台にするのはやめてほしいと本当に思う。あの人さえいなければ、永遠亭の危険度は大幅に下がるのに。

「今日なんか臨死体験だよ。思わず三途の川まで魂が飛んで、暫く白玉楼でお世話に」

「はくっ!?」

 その名前を聞いたちんちんが、急にあたりを見回し始める。あぁ、そういえばちんちんはカービィさんに良く狙われるらしいね。小骨が詰まるのが難点だけど、美味しいとはカービィさんの弁。

「多分、今はカービィさんゲームしてるんじゃないかな。みょんみょんと一緒に」

「そ、そう。良かったぁ……」

 あくまで僕の予想はだけど。流石にあの後のカービィさんの行動を知るわけがない。ただ、あの人が早々外に出ることはないと思うのは確かだ。
 だってあの人引き篭もりだし。

「ちんちんも大変だね、身の危険を感じながら生きるのは」

「だから変なあだ名はやめて……。でも、ありがと」

「ん。ほら、むしキングも飲んで飲んで。進んでないよ?」

「だからむしキングじゃないって言ってるのに……」

 ちびちびと猪口からゆっくりと流し込むように飲むむしキング。僕も決して強いわけじゃないから、似たような飲み方だけど、それは置いておく。

「あ、むしキングのちょっといいとこ見てみたい!」

「へ?」

「イッキ! イッキ! イッキ!」

 メダロットの主人公ではない。最初は僕だけが煽っていたんだけど、そのうちもんぺも乗り出し、そしてちんちんも歌うように言い出した。最初は戸惑っていたむしキングだったけど、周囲の空気に飲み込まれていくうちに、手に持った猪口を置いてちんちんが新しく出したお銚子を手に取る。
 それを口元に運び、一気に飲み干す。

「いよっ、むしキング格好いい! 惚れちゃう!」

 しかしお酒の一気飲みは決してやってはいけません。これ、僕と皆との約束。煽ったのは僕だけど、幻想郷にいるのは酒豪ばっかりの妖怪とか人間離れした奴が多いから問題なし。
 特にウォーターメロンなんかザルだからね、きっと胃袋に穴開いてるよあれ。

「ふはぁ……」

「中々やるじゃない、リグル。はい、この八目鰻は私からの奢り」

「あ、ありがとミスティア。えへへ、私だってやれば出来るんだから」

 顔を紅く染めて笑うむしキングはすごい可愛らしい。暫く四人でゆっくり飲んだり食べたりしながら世間話で盛り上がる。まぁ、ちんちんは他の妖怪のお客さんの相手もしながらだからずっと一緒、というわけには行かない。
 大変だよねぇ、こういう仕事。僕は人里で畑を耕したり食料を売っている店で働いたりと、アルバイトみたいなことをして生活費を稼いでいる。それを考えると、こっちも手伝ったりしたらお金もらえたりするのかなとそんなことが頭の隅をよぎった。
 結構面白そうだけど、やっぱり大変だと思う。それに相手は妖怪が多い、人間の僕が近づけば丸呑みにされるかもしれない。

「何考えてんだ、祐樹?」

「いや、ちんちんの仕事手伝ったらお金もらえるかなぁと」

「新しい店員かぁ……確かに一人だと辛い所もあるんだよね。んー……手伝ってくれるなら、安いけど少しだけならお金払うし、御飯もつけるよ」

「考えとく」

 命あってのものだねとも言うし。

「――あら、祐樹じゃない。それに、妹紅までいるわ」

「……何しにきた、輝夜」

 楽しく飲んでいたというのに、自堕落姫の登場でもんぺが険悪な空気を身にまとったことで一気にお酒がまずくなってしまった。もう気の遠くなるくらいやりあってるのに、まだ飽きないのねこのお二人。
 馬鹿じゃねーの?

「やぁ、自堕落姫」

「……相変わらず人のことをちゃんと呼ばない男ねぇ。仮にもかぐや姫本人に対して、思うところはないの?」

「働け蓬莱ニート」

「ぷっ……!」

 もんぺが吹き出した。気に入ってもらえて何より。

「張り倒すわよもこたん……」

「やれるもんならやってみろ、このてるよ」

 向かい合って喧嘩腰の二人を見て、ちらほら飲んでいた妖怪達が支払いを済ませてそそくさと去っていく。正直、僕とむしキングも連れて行ってほしい。ちんちんは屋台のママなので放置。

「姫様っ、ってあちゃ。もうやってる」

 あ、新参ホイホイ。

「新参ホイホイ、自分んとこの姫様の手綱ぐらいちゃんと持っときなよ」

「無茶言わないで……妹紅との殺し合いを止められるなら、止めてるわよ」

 むぅ。いよいよおっぱじめようとする二人。これ以上やられると飲み食べ出来なくなりそうだから困る。仕方ないから、頑張って止めてみよう。主に僕のお腹の為に。

「おーい二人とも、喧嘩やめてくれない? すごい迷惑なんだけど」

 うわ、ぶっちゃけるなぁという呟きが聞こえたが無視する。僕の呼びかけににらみ合っていた二人がこちらを向いて、

『祐樹は黙ってて』

 と来たもんで、僕も少しカチンときた。

「二人がその気なら僕にも考えがあるよ。これだけは、本当に使いたくなかったんだけど」

 悲壮感漂う(意識して)顔で僕は呟く。僕から何かを感じ取った二人が、怪訝そうな表情をする。僕を怒らせたらどうなるか、思い知るがいい。
 お酒がそこそこ入っている時に使える限定技、酔っ払い専用の奥義。僕は指を二本立て、それを口の前で構える。

「もしやめないのなら、僕は二人に奥義ナイアガラ・リバースをお見舞いする」

 ナイアガラ・リバース、それは体内に渦巻くものを外へと放出する禁忌の技。あまりにも強力すぎるゆえに、一度の発射で弾切れを起こし使用者に肉体的、精神的なダメージを与える恐るべきもの。これを浴びた者は絶大な精神ダメージを追う酔っ払い最大奥義だ。

 まぁ、格好良く言ってはみたもののただのゲロ吐き攻撃なわけだけど。

『……』

 自分達がナイアガラ・リバースを受ける状況を想像したのか、二人が顔を青く染めた。口を開け、指をゆっくりと近づけていくと二人は土下座せんばかりの勢いで謝るからそれだけはやめてと懇願。
 それならよしとナイアガラ・リバース発射体勢を解く。これは僕にも甚大なダメージがくるからやりたくないんだよね。翌日とか気持ち悪くなるし。

「まったく、二人が肉片からリザレクションするのを見るこっちの身にもなってほしい。グロテスクにもほどがあるんだよ? あ、いっそのこと、二人とも液体窒素とかで瞬間冷凍しちゃえば蘇生できなくなるんじゃないかな」

 今度やっていい? と聞いたらやめてくれと言われたので諦める。流石にそこまでいくと人殺しになっちゃうしね。でも、やってみたかったなターミネーターごっこ。
 まぁ、酔いも少し冷めたので新参ホイホイに自堕落姫も交えて僕達は夜を飲み明かしてすごしましたとさ。




 自分で書いてて耳が痛くなったよ、働け蓬莱ニートはw 
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神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
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