2017 / 03
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二十五話

 ―――柳洞寺の地下。大空洞とも呼べるその空間の奥深く、闇よりも深き絶望、夜よりも暗き恐怖が蠢く。そして、その恐怖の源の近くに立つ一人の―――否、一騎のサーヴァント。


「――もどきかと思えば、存外らしくなりおる。いや、聖杯本体以上に、聖杯らしい」


 前回の聖杯戦争から現界し続けるサーヴァント――アーチャー。彼が見上げる先には、この戦争を引き起こし続ける元凶たる聖杯がある。
 万人の人間がこれを聖杯に見えるか、と問われれば皆は答えるであろう。

 ――あんなものが、聖杯であるはずがない、と。

 まるで塔のように高いモノ。その上から溢れ出して来るのは、存在するモノ全てを焼き尽くす究極の呪い。黒い泥。この世の全ての悪性を一身に引き受けた、この世の全ての悪(アンリ・マユ)という名の英霊。


「中々に壮観だな。そう思わんか―――言峰」


「あぁ、間桐桜は良い器のようだ。それに……母体としても優秀らしい」


 アーチャーの傍には、言峰教会の主たる言峰綺礼の姿。聖杯戦争の監督役である彼は、同時に聖杯戦争の参加者でもある。監督役としての立場を利用し、表立って動くことはなかった。
 全ては情報収集の為に放ったサーヴァント、ランサーに任せ自分は本来の手札であるサーヴァント、アーチャーを伏せていた。


「ふん、この世の全ての悪(アンリ・マユ)が生れ落ちることなどに興味はないが、聖杯としての機能だけは使わせてもらうぞ。セイバーを我のモノにするのにな」


「好きにするがいい。私の興味は、コレが生まれることにしかない。神の名の下に、生れ落ちる赤子の命を祝福(祝う)のが私の務めだ」


 二人の周りに薄っぺらい影が次々と生まれていく。それは英霊、この世の全ての悪(アンリ・マユ)の分身。
 影は何かを守るかのように集まる。その中心にいるのは、俯いたまま動かない間桐桜。目の焦点は合わず、意識もない。その胸の辺りに、赤い染みが広がっている。


「間桐臓硯もよもやここまで自分の孫が聖杯らしくなるとは思わなかっただろう。それを見届けることはもう叶わんがな。失われし命に、安らぎがあらんことを」


 アーメン、と十字を切る言峰神父。そう、間桐臓硯は既にいない。間桐桜の体内に巣くっていた老人は、言峰神父の手によって摘出されアーチャーの宝具によって消滅した。


「――来たようだぞ、ギルガメッシュ」


「漸くか……王たる我を待たせるとは不届きな奴らだ。まぁ、よかろう。どちらにせよ奴らを待っているのは死であり、セイバーは我の后となる道しかない」


 アーチャーは――いや、遥か古代に君臨し、人類最古の英雄であるギルガメッシュはそう漏らす。
 英雄王ギルガメッシュ、それがこのサーヴァントの真名。後に存在する英雄達の武器の原典を持ち、それを矢として撃ち出す宝具『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』。
 その全てがランクB以上。単純な宝具の数と、威力なら彼以上のサーヴァントはいない。


「早く来るがいい、セイバー……その顔を涙で濡らし、あの泥を浴びて苦痛に悶え、助けを乞う姿を我に見せよ……!」


 ギルガメッシュのセイバーに対する屈折した愛情。もはや、憎悪と紙一重だ。


 ―――言峰綺礼とギルガメッシュの待つ大空洞に、五人の人間が現れる。


「桜……」


 衛宮士郎。


「……そう、アンタが黒幕だったの綺礼」


 遠坂凛。


「これが、聖杯……こんな物を、私は求めていたのか」


 セイバー。


「アサシン……」


 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。


「――終わらせよう、イリヤ。こんなもの、人の命を奪うだけのものなんていらない。呪われた聖杯戦争……その全てを、終わらせよう。そして、帰るんだ。待っていてくれる人達の下に」


 そして――アサシン。


 全ての役者は揃った。冬木における第五回聖杯戦争――その終着は近い。その決着の果てに待つ結果は、士郎も、凛も、セイバーも……そして、イリヤとアサシンにもわかっている。

 だけども――――今は、今だけは。戦友として、仲間として、この戦いを勝ち抜く、それだけを考えよう。悲しみは後に、今彼らの身にいるのは勝利への執着のみ。

 さぁ――――全てを終わらせよう。
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神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
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