2017 / 06
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プロローグ2

 銀の短刀が振るわれる度、獣が雪に沈む。軽い吹雪の中、イリヤスフィールとそのサーヴァント・アサシンは、無数の狼の群れの中心に立っていた。襲い来る狼達をアサシンが屠り、撃退する。
 たった一人で、無数の狼から自身のマスターを護っている。今までに何度もイリヤスフィールに向かって狼が襲い掛かったが、彼女には傷一つない。代わりに傷ついているのは、アサシンの体。


「はぁ、はぁ……くそ、寒すぎるぞ」


 疲れではなく、寒さで疲労している。いくら彼が英霊――その本質が霊体であろうとも、今は仮初の肉体を得ている。人間の五感全てが、正常に稼動しているのだ。寒さも感じる。
 彼自身、生前から寒いのが大の苦手だった故に、こういう状況は酷く疎ましいと思っていた。これが彼の弱点だと言えなくも無い。


「大丈夫、アサシン?」


「あぁ。マスターは寒くないか? 早いところ終わらせて、暖かい所で暖かい飲み物でも飲もう」


 そうね、とイリヤスフィールはアサシンの言葉に同意する。彼女は少し丈の大きいコート――最初、薄着で放り出されそうになったのだが、アサシンが無理矢理分捕ってきた――のお陰で、寒さは軽減している。それでも、この寒さの中ずっと外にいれば凍えても不思議ではない。
 それに彼女は女の子だ。あまりこの寒さの中、辛い思いをさせるわけにはいかない。


「すまないな、お前ら。悪いが……やられてくれ」


 狼達を威圧感が襲う。アサシンから放たれる殺気に、狼達は引け腰になるが、うなり声を上げて一斉にアサシンへと襲い掛かる。
 ――――後に残るのは、倒れ伏した狼達の姿。生きているものも入れば、息絶えているものもいる。その中心にアサシンとイリヤスフィールが立っていた。結局、アサシンは傷ついたがイリヤスフィールには一切の怪我はない。それは、彼がマスターを守り抜いたという証拠だ。


「――アサシンは、強いね」


「そうか? アサシンていうクラスな時点で、あんまり強いイメージないけどな。セイバーとか、アーチャーとかに比べれば」


 比べるだけ無駄か、と苦笑する。確かに、アサシンというクラスはセイバーなどに比べればランクの低い、はっきり言ってしまえば次元が違うほど能力も落ちる。他の三騎士に関してもそうだ。
 しかし、このアサシンは普通のアサシンではない。他のサーヴァントともまともに渡り合えるかもしれない可能性を持っている。


「帰ろうか、マスター」


「うん。――私のことは、イリヤでいいよ。言いづらいでしょ?」


「そうか? なら、遠慮なくこれからはイリヤって呼ばせてもらう」


 二人は手を繋ぎながら、雪原を後にする。白い景色に溶け込んでいく二人の後姿は、仲睦まじい兄妹のようにも見えた。
 聖杯戦争が始まるまであと僅か。死地に赴く二人は、果たして祝福を得ることが出来るのか―――――
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神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
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