2017 / 08
≪ 2017 / 07   - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 - -  2017 / 09 ≫
*admin*entry*file*plugin| 文字サイズ  

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


十九話

 結果だけ言えば、アサシンとランサーの戦いに決着はつかなかった。終始ランサーがアサシンを圧倒していたが、途中でいきなり攻撃をやめ、気だるそうに動きを止めたのだ。


「……どうしたんだ?」


「や、うちのマスターの命令でな。一回目の戦いで、敵のサーヴァントを倒すなと言われてんだ」


 ランサーは鬱陶しそうに顔を顰める。それだけを見ても、そのマスターの命令に不服なのがアサシンにも分かった。目の前にいる男は、根っからの戦闘狂で勇猛果敢。そんな男が、その命令を気に入る筈もない。
 敵であるランサーだが、気に食わない事を無理矢理やらされているのには同情できた。戦闘が終わって近寄ってきていたイリヤの頭を撫でながら、


「まぁ、あんまり気を落とすなよ? そのうち良い事あるって」


 そう、慰めやら応援やらの言葉を投げかけるアサシン。かけられた言葉を聞いたランサーは最初、呆けていたがその意味を理解していくうちに、徐々に笑い出す。


「は、ははははっ、ははっ! いや、本当に世の中ってのはわかんねーもんだな。まさか、ついさっきまで戦ってた奴に慰められるとは思いもしなかったぜ!」


 腹いてー、とランサーは大笑いする。せっかく慰めの言葉をかけてやったというのに、それを思いっきり笑われてアサシンはじと目でランサーを睨んだ。その視線を感じたのか我に返ったのか、ランサーはわりぃわりぃと未だに小さく笑いながら謝る。


「いや、お前最高。今度、戦いとか抜きにして酒でも飲まねぇか?」


 杯を傾けるジェスチャーで、アサシンを酒に誘う。今度はアサシンが目を点にする。イリヤも怪訝そうな目でランサーを見つめた。


「……いや、酒飲むのはいいけど。普通、敵にそんな事言わないぞ」


 呆れたように呟く。戦意は欠片ほども残っておらず、その場に漂うのは気だるげな空気。もしくは長年付き合いのある男友達同士の会話、といった所だ。双方ともに、もう戦う意志はない。


「いいじゃねぇか、堅い事言うなよ」


 いつの間に近寄ってきたのか、ランサーはフレンドリーにアサシンの肩に手を回して話しかけてくる。こいつの方がよっぽどアサシンじゃないのか、とこの時アサシンが思ったかどうかは定かではない。
 が、ランサーという男はどうにも憎めないなぁとアサシンは苦笑した。


「んー……イリヤ、こう言ってるんだけど。俺としては付き合ってもいいかな、と思ったり――――」


「ダメっ」


 ぎゅーっと腰に張り付いて、イリヤはランサーからアサシンを引き剥がそうする。やっぱりと言った表情を浮かべる、困惑顔のアサシンを見てランサーはまた笑い声を上げた。


(やべ、俺こいつら好きになりそうだわ)


 ランサーの浮かべた笑顔は、とても嬉しそうに見えた。それは今のマスターではなく、本来召還されたマスターと共にあった時に浮かべていた表情と同じであった。
スポンサーサイト


この記事へのコメント

この記事へコメントする















神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。