2017 / 04
≪ 2017 / 03   - - - - - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 - - - - - -  2017 / 05 ≫
*admin*entry*file*plugin| 文字サイズ  

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


十八話

 深夜の新都。既に人々の生きる時間は終わり、静寂のみが辺りを包み込む。その静かな新都の街に、甲高い剣戟音が響く。人にあらざるモノ同士が、互いにぶつかり合う証拠。一度油断すれば、自分の首が切り落とされる緊張感。一方は闘いを楽しみ、一方は逃げる算段を立てながらビルの屋上で闘いを繰り広げていた。


「はっ――――!」


 繰り出される槍を剣で受け止める。受け止めた衝撃で剣が折れるのではないかと思うほど、痺れが走る。だが、少女の純粋な想いが宿るこの『純然なる想いの剣』は折れる事は決してない。どんな攻撃だろうと、少女の想いを崩す事はできないのだ。


「アサシンの癖に、セイバーの真似事か?」


 赤い槍を持つサーヴァント―――ランサーは面白そうに笑う。しかしすぐに表情を引き締めて攻撃を再開。繰り出される槍の一撃を、剣で防ぎ続けるもう一騎のサーヴァント――アサシン。
 本来真正面から戦うような能力を、アサシンは持たない。その戦いの本分は暗殺。力で戦うバーサーカー、正面から戦いあうセイバー、ランサーとは相性が悪いのだ。尤も、『アサシン』というクラスはサーヴァントの中で最弱と言われるキャスターともまともに戦う事が出来ない。
 マスター殺し、という点ではどのサーヴァントより随一であるが。


「生憎と俺の本来の武器だと、受け止めるのは難しいんでねっ!」


 アサシンの持つ短刀の刃は小さい。襲い掛かる槍の攻撃を剣で防ぎ続けるが、間に合わなくなった時にだけ短刀で防いでいる。
 ランサーの槍が自分から離れた一瞬を見極め、地を蹴る。スピードだけなら、ランサー、ライダーと肩を並べられるほど。姿が消えて見えるほどの速度で、アサシンはランサーに肉薄し剣を振るう。
 ぎゃりんと槍と剣が触れ合う。刹那のスピードで振るわれた剣は、獣のような速度と並外れた動体視力を持つランサーの槍に防がれた。


「くそっ―――」


 舌打ちしつつも、攻撃の隙を与えないように剣を振り続ける。しかしアサシンには剣を操る技術はない。素人に毛が生えた程度といってもいい。それでも、自身の身体能力と体術を駆使し達人のような剣捌きを見せていた。
 だが相手は槍というたった一つの武器を極めている猛者。的確に攻撃してくる箇所を見極め、弾いていく。


「はっ、どうせならアーチャーぐらいのもん出して来いっ!」


「見たこともないもの出せるかっ!」


 戦闘中だというのに、突っ込みじみた台詞を返す。戦いあう二騎のサーヴァントの姿を、離れた場所でイリヤは心配そうに見ていた。ランサーのマスターはいない。そもそも、この戦いは偶然起きたものだ。
 二人は聖杯戦争に関する情報を集めるべく、夜の街を歩いていた。同じ事を士郎達がしているとは、彼らは知らない。その最中、屋上からの景色が見たいとイリヤが駄々をこね、仕方なしに一番高いビルの屋上へと向かったのだ。そこで、ランサーと出会った。


「おらおらっ、どうしたぁっ!」


 もっと俺を楽しませろ、とも言わんばかりに楽しそうに槍を振るうランサー。コイツ、戦闘狂かとアサシンは顔を顰める。戦いの合間に、相手の正体を探ろうとするが、そもそも彼に過去の英雄に関する知識はほとんどない。ゆえに、無駄だと悟る。


「戦って飽きたらさっさと帰れこのバトルマニア!」


 心底鬱陶しげに吐かれたアサシンの言葉は、夜の闇に響き渡って消えた。
スポンサーサイト


この記事へのコメント

この記事へコメントする















神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。