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十三話

 士郎とアーチャーが互いに牽制しあいながら淹れられたお茶を飲みながら、とりあえずは全員落ち着く。凛とイリヤは紅茶、セイバー、士郎、アサシンは緑茶である。
 ずずー、と居間に緑茶を啜る音が響く。アサシンは久しぶりに飲む緑茶に、感動を覚えていた。


(あぁ、やっぱ日本人なら緑茶だなぁ……)


 実に幸せそうな表情を浮かべる。それを見てやっぱりこいつアサシンじゃないんじゃないかと思うのは凛である。本来、アサシンにはハサンという固定の英霊が召還される筈。そしてアサシンはキャスターに次いでサーヴァントの中で弱い。マスター殺し、という限られた行動でならサーヴァント中随一だろう。
 だが、目の前にいるアサシンはセイバーとアーチャーの連携攻撃を物ともせず三つの宝具を使って全て退けた。アサシンのクラスに収まってはいるが、イレギュラークラスに違いない。宝具を三つも持っているなんて、最近の英霊は豪華だ。


(しかも魔術を無効化するタイプの宝具まである。私の魔術じゃ、切り札クラスのを使わないとダメージを与えられないわね)


 セイバーにはその切り札を使ってもダメージは与えられないのだが。決して警戒を崩さず緑茶を飲むセイバーの姿を視界に捉えて、凛はやっぱりセイバーを召還したかったなーと心の中で愚痴を零す。
 幸せそうな表情をしているアサシンを見て、イリヤはここにきて良かったなーと内心で思う。普段のアサシンは笑っているが、それでもやはり暗い影が落ちているのだ。今でも、アサシンは自分が聖杯戦争に参加する事を良しとしていない。そして、自分の体が聖杯である事にも怒りを覚えている。

 即ち、アサシンは優しすぎるのだ。イリヤは時々、その優しさが苦しくなる。きっと、アサシンは自分を護る為に体を張る事を厭わない。先日の行動からも分かる。その結果、アサシンが死んでしまえば……果たして自分はそれに耐えられるのか? アサシンの魂を取り込んで冷静でいられるか?


(そんなの、無理に決まってる)


 だからこそ、この聖杯戦争に勝ち抜くのだ。そしてアサシンと自分の体が持つまで一緒に生き続ける。イリヤの今の願いは、それだ。そして、切嗣への復讐がもう一つの目的。そのつもりだったのだが――


(シロウ見てたら、なんかやる気失くしちゃった。それに結構可愛いし……アサシンと一緒に連れて行こうかな?)


 既に目的が変わってしまった。三人で一緒に暮らす―――魅力的な事に思えてくる。セラにリズもいれれば、五人。楽しそうだ。


「んっと、そういや自己紹介してなかったな」


 緑茶を飲みつつ、煎餅を咥えながらアサシンがそう言う。ちゃっかりリモコンを占拠し、テレビをつけてニュースを見ながら言われたので士郎と凛はますますアサシンの事が分からなくなる。


「……衛宮士郎。穂群原学園の二年。特技は修理とか料理とか」


「遠坂凛。同じく穂群原学園の二年よ」


 衛宮士郎、遠坂凛……口の中で反芻する。何度か呟いた後、うんと一つ頷く。


「んじゃ、遠坂と衛宮って呼ばせてもらう。んで、俺はアサシンってのは分かるよな。本名は相沢祐一って言うんだ」


 さらっと真名を暴露するアサシン。イリヤが非難するかと思われたが別にばれても誰だかわからないのだから問題はないから承認している。
 逆に驚くのは凛とセイバー、アーチャーである。士郎は相沢でいいかとアサシンに素で話しかけていた。


「な、何真名暴露してんのよアンタは!」


 叫ぶ凛。士郎はそれでアサシンが真名を答えた事に気付く。相変わらず鈍い自分のマスターにセイバーは溜息しか出ない。


「別にいいだろ。どうせ俺の事を知ってる奴なんていないんだし」


 ぱりぱりとテレビに視線が釘付けになりながら、アサシンの咥えている煎餅が情けなく音を立てていた。
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神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
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