2017 / 05
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六話

 さて、我等がイリヤ嬢とその従者、アサシンは仲が良さそうに深山町の商店街を歩く。二人の手は、きっちりつ繋がれ見る人が見れば兄妹に見えなくもない。似ていない事を考慮にいれれば、思う事は人によって変わるだろう。

 イリヤはアサシンの手を引きながら、あちこちに視線を泳がせる。夜は聖杯戦争のマスターとして、魔術師としての顔を見せるイリヤであるが、本来のイリヤはこのように好奇心旺盛でまだ子供なのだ。それが、アサシンの心に影を落とす。

 イリヤは、まだこんな小さい子供だ。そんな子供を、聖杯戦争なんていう醜い争いに参加させる……そいつらが許せない。召還され、その事に気付いたアサシンはすぐにでもその元凶達を葬り去りたかった。しかし、イリヤがそれを望まない限り、自分は何もしない。

 忠実なまでに、彼はサーヴァントであった。


「ね、アサシン。あれってお菓子屋さんでしょ?」


 目を輝かせながら、イリヤはアサシンを見上げる。その指が指し示す店には、なるほど確かに洋菓子がおいてある。俗に言う、ケーキ屋さんであろう。

 だがしかし、アサシンの表情はケーキを見てから苦笑に近い形を取る。彼は、甘いものが大の苦手なのだ。


「へー、美味しそう……」


 イリヤの視線はケーキに釘付けだ。あからさまに欲しいという催促の現れである。それを見て、アサシンは心の中に暖かい気持ちが生まれるのを覚える。

 彼女の姿が、鯛焼きが大好きであった少女にだぶる。まぁ、比較的甘くないケーキを一緒に食べれば満足してくれるだろうと、アサシンはイリヤをつれてケーキ屋へと入る。この時点で、彼はある事を完全に失念していた。微笑ましくなるあまり、とんでも無いことを忘れていたのである。


「えーと……これとこれと、これ、これ」

 
 楽しそうにケーキを五種類選ぶ。その中にチーズケーキが混じっており、それならば食べれるかとアサシンは安心する。ショートケーキやショコラなどを差し出された日には、口の中が甘ったれて悶えるかもしれない。


「では、しめて1500円になります」


 店員の1500円発言にイリヤは一瞬怪訝な表情を見せるが、すぐにお金の事かと納得して懐からドイツ紙幣を取り出して差し出す。しかし、店員もドイツ紙幣を差し出されても困る。ここは日本なのだから、ちゃんと日本紙幣を出してもらわなければ。


「あの、こちらの紙幣でお買い上げをする事は出来ないのですが」



「えぇー!? 何でよー!」


 案の定、イリヤは不満そうに声を上げる。アサシンは完全に忘れていたと顔を掌で覆った。サーヴァントである自分は、日本紙幣など持っているはずもない。かと言って、このまま引き下がる事はイリヤが嫌がるだろう。どうしたものかと、アサシンは考え込む。

 と、イリヤが不意に外に目を向ける。アサシンはそれに気付かない。そして、店員のお姉さんは考え込むアサシンに見惚れている。たたーっとイリヤは外に駆けていき……


「なっ、イリヤスフィール!?」


「うわっ!?」


 そんな声が聞こえ、アサシンはそちらを向く。そんなアサシンの横顔にまだ店員のお姉さんは見惚れている。目に入った光景、そこにはセイバーのマスター、衛宮士郎に抱きつく小さなお姫様。そしてそれを引き剥がそうとしているセイバーの姿。

 はぁ、と溜息をつきアサシンは店員のお姉さんに少しだけ待っていてくださいと言ってから店を出て、三人の下へと向かっていった。
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神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
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