2017 / 10
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四話

 冬木の街の外れには、大きな森がある。その森の奥には、英国の古き歴史に残るような大きな古城が存在している。街中に建っていれば、まず間違いなく注目を浴びてしまう事は間違いないと思われる、その古城の主は、小さな少女だ。その少女の他に、御付きのメイドが二人と、青年が一人その古城にいる。
 しかし、冬木の人間はそれを知らない。森に入ったとしても、その古城に辿り着くことがないのだから当然だろう。
 その古城に住む人々の、日常を今回は見てみようと思います。


「――イリヤスフィール様」


 古城の中、自分の主の部屋を訪ね静かにノックしながら、部屋の中にいる少女に小さく声をかけるメイドの一人、セラ。喋り方から、その少女に付き従っていることが分かるが、どことなく声が硬いように聴こえる。
 ノックをしても、部屋の中から返事がないのを確認してから、セラは静かにドアを開ける。


「……あ、セラさん」


 部屋に入ってきたセラの姿を確認した青年は、小さく頭を下げる。セラも小さく会釈を返す。少女――イリヤスフィールのサーヴァントである、アサシンの事はセラももう一人のメイドであるリーズリットも認めている。
 英雄とは少し違うが、アサシンも立派な英霊の一人としてマスターであるイリヤを守っている。その事に感謝し、彼の人間性にも好ましい部分しかないのを知っているので、セラもリーズリットも安心してイリヤの事を任せられるのだ。


「イリヤ、まだ寝てますよ」


 薄く笑いながら、アサシン――普段は真名である相沢祐一と呼ばれる――は、ベッドで未だに眠りについている自分のマスターのイリヤを見る。


「……すぅ」


 安らかな寝顔を浮かべて、イリヤはベッドの中でまどろんでいる。その手は、ぎゅっとアサシンの手を掴んでいて自分の布団の中に引きずり込まれていた。
 アインツベルン家では決して見ることの出来ない寝顔。その事に安心するセラだが、聖杯戦争の事がある。またこの少女は自分のサーヴァントと共に、戦いに行ってしまう。そして、そのまま帰ってこないかもしれない……そんな事が脳裏によぎり、セラは何を馬鹿なと一笑する。
 この少女には、アサシンがついているのだ。彼が居る限り、少女が帰ってこないという事はない。彼が帰ってこないことはあっても、だ。


「アサシン、イリヤスフィール様を起こしていただけますか」


「ん……分かりました」


 頷き、握られていない方の手で寝ているイリヤの頭を撫でる。そして、肩に手をおいてゆっくり体を揺すりだす。
 小さき身動ぎし、イリヤの両目が薄く開く。薄く開いた目で、何かを探すようにきょろきょろと頭を動かし、アサシンの姿を見つけると薄く笑って掴んでいた手を引き寄せる。


「……暖かい」


 手に頬擦りしだして、アサシンが流石に困った表情をする。指でイリヤの頬をふにふにとつつきだす。くすぐったいのか、うぅと呻き声を上げる。それで目が覚めたのか、両目がはっきりと開く。
 そして、アサシンの手に頬擦りしている自分の姿を見ているセラの姿を認め、赤くなって慌てて離れた。起き上がって、軽く髪の毛を下に撫で付けてから、セラとアサシンの方向へと向き直る。


「えと、おはよう、二人とも」


 はにかんだ笑顔を浮かべて、自分の大切な『家族』に向かって朝の挨拶をした。
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神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
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