2017 / 03
≪ 2005 / 07   - - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 -  2005 / 08 ≫
*admin*entry*file*plugin| 文字サイズ  

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


三話

「くっ……」


アサシンによって弾き飛ばされたセイバーはゆっくりと立ち上がる。すぐ傍には士郎が心配そうな表情で立っているが、それを気にしている余裕はない。
あのアサシンは強敵だ。前回召還された際に戦ったアーチャーとはまた別の意味で、強い。何より、戦いというものに『慣れている』。彼女とて数々の戦場を駆け抜けてきた英雄である。戦いには慣れている。
しかし、あのアサシンは戦いと言うものを熟知している。不意打ち、奇襲、闇討ちといった相手の隙を突く戦法を取ったとして、それは成功する事はないだろう。
セイバーが正面から戦っていく事しか、勝てる望みはない。


「……っ」


小さく息を吐き、アサシンに向って疾走。両手で下段構えに剣を構える。対するアサシンも、生み出した剣を正眼に構えた。

――真っ向から受け止める、という事ですか。いいでしょう。

アサシンの行動に高揚感を覚え、セイバーは知らず口元を歪める。不可視の剣を握る手に力が篭り、射程内に入った瞬間にアサシンに向けて下から振り上げる。
それを『純然なる想いの剣』で防ぐ。純粋な少女の強い想いによって守護されているこの剣は、どんな攻撃にも折られる事はない。
防がれた一撃から翻し、連続で剣戟を繰り出すセイバー。


「つっ……やっぱ正面からじゃ勝ち目はないか……っ!」


じりじりと鬩ぎあいから押されていくアサシン。ぎりぎりと剣から火花が飛び散り、二人を照らす。セイバーはそれでますますこのアサシンが何者なのか分からなくなった。
この現代らしい服装と喋り方が、自分のマスターと似通っているのだ。これだけの能力の持ち主であるから、相当昔の人間だとは思ったのだが、どうやら違うらしい。


「はっ!」


一瞬の思考を読み取ったように、アサシンが防戦一方から一転して切り込んでくる。不可視の剣を咄嗟に振り上げ防御。深く追撃する事はなく、すぐにセイバーから離れる。自分の有利な間合いに持ち込むようだ。
すぐにセイバーが肉薄せんと走り出そうとした矢先、背後から高速で飛来した何かが彼女を追い抜いた。
その標的は……白い少女。


「……っ、イリヤ!」


それにいち早く気付いたアサシンは、自分のマスターの所へと一直線に戻っていく。飛来してくる捩れた剣を前に、イリヤはただ呆然とする。
そのまま剣は彼女の体を貫こうとする。
しかし、すぐにアサシンがその飛来する剣を追い抜き、イリヤを抱えて跳躍。標的を失った剣は少女の背後にあった墓石へと突き刺さり――


壊れた幻想ブロークンファンタズム


アーチャーの放つ言葉と同時に、爆発する。爆発で墓石と地面がえぐれ、その破片がアサシンとイリヤの方向へと飛来。自分のマスターを守るために、アサシンはイリヤを自分の体を覆い隠した。


「アサシンっ……!」


イリヤの悲痛な叫びを無視して、アサシンは飛来する破片を全て背中で庇う。細かな傷から、大きな傷を全て負ってマスターを守る。
爆発の余韻が全て収まった時には、アサシンの背中には数々の傷が刻まれそこから大量の血が流れ出ていた。


「ぐぅ……大丈夫か……イリヤ?」


苦痛で顔を顰めながらも、イリヤに微笑みかけるアサシン。イリヤはその微笑を見て、泣きそうに顔を歪める。アサシンの腕をぎゅっと握り締め、小さく震えるイリヤ。


「……アサシン、今日はもう帰ろ? アサシンも怪我してるから」


呟くように紡がれた言葉に、アサシンは同意するしかない。それがマスターの命令だというのなら、従うのがサーヴァントの在り方だ。
イリヤの体を抱え上げ、セイバー達の方向へと向き直る。


「マスターの命令だ。今日はこれぐらいにしとこう」



「逃げるのですか、アサシン」



「あぁ、逃げる。マスターが心配そうだし、何よりこれ以上は女の子のお肌に悪いしな」


口元を歪めて冗談を言い、アサシンはゆっくりと後ろ向きに歩いていく。そして数瞬後には、その姿は夜の闇に紛れ消えていった。
スポンサーサイト


この記事へのコメント

この記事へコメントする















神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。