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2007年01月の記事一覧

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ネギま、麻帆良祭終わりましたね。

 今週のマガジンのネギまで、ついに長かった麻帆良祭編(超編)が終わりましたね。カシオペアで何度も何度も戻ったから仕方ないけど、すんごい量だったなぁ。

 確か、麻帆良祭編に入ったのが、十巻目くらいでしたね。今日出たネギまは十七巻。七巻分も麻帆良祭に使ってるわけですよ。すげー、赤松先生本気だな。

 さて、今回のネギまの感想。超の取り出した超家家系図に心底笑わせてもらいました。まさにあの家系図は、ネギ・パーティにとってのアルティミットウェポン。パルが最初に奪い去り、次にのどかの手へ。処分しろと言われ処分しようとするが、誘惑に勝てずにゆっくりと家系図を開くのどか。その後ろには葛藤に苦しむ夕映と、興味津々のいいんちょとまき絵と木乃香が。
 そこに攻撃を放つビブリオルーランルージュ千雨! 口ではもっともらしいことを言っておきながら、ちらっと家系図を見ようとした彼女の行動に乾杯。そして明日菜、まさかここでお約束の眼鏡ごと目潰しとは恐れ入った。お兄さん、吹いたよ。

 一瞬で壊滅するネギ・パーティ。超の切り札は本当に切り札でした。流石は麻帆良の天才頭脳、策士・超 鈴音。そして、さようなら、超。

 Web拍手レスコーナー。

>snowの続き、期待してますー

 うん、頑張ります。だから貴方の時間をくだry

>diary読みました。やっぱり金ピカ強い

 金ぴかですし。つーか、祐一の能力じゃギルにはどうやっても勝てません。

>diaryのFateを読んでやっぱり金ピカつえぇぇぇぇorz

 金ぴかですし。つーか、祐一の能力じゃry

>Fate/snow night×テイルズオビジアビスのクロスオーバーの一発ネタを公開してください。

 だが断る(ぉ なんて冗談はおいといて。近いうちにやりましょう。

>賞は佳作どころか最終選考でもキツいですよ。ただ、小説を完結させるのは得る物が多いです。頑張って。

 最終選考に残ることすら困難なのは分かってますよー。ま、落ちたら落ちたで、サイトに載せますがね。

>地元にDDDが売ってねーーー!!(5店舗さがすますた)

 祐樹さんは四店舗です。勝ったぜ(何 まぁ、そういう時はやはり遠出して探すべきかと。頑張れ、少年(ぇ

 あぁ、後近況報告。もうテスト週間に入ろうとしてるんですが、つい先日にソフトウェア実習の試験がありました。
 もう、ぼろぼろ。あれは落ちましたよ……まったく分からないし。その帰りは世界が滅亡する直前――あー、この表現は妥当じゃないな。

 うんと、あー―――ネギまが連載打ち切りになったとか、TYPE-MOON倒産とかそういう次元ですかね(マテ

 いや、冗談ですよ。でも、祐樹さんこの二つが現実に起きれば本気で絶望を感じますね。生きる気力が失せていく気がします。
 しかし、テストかー。また連続近況報告せねばなるまいな。

本日の教訓。「一月三十日~二月六日までRO経験値二倍期間の為、音信不通(爆」

 別設定SSは試行錯誤中なんで、今日はちとお休み。すいませんね、期待させてしまって。
 今月中に新作はアップできると思います。では、失礼ー。

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遅ればせながら、新年あけましておめでたうございます。

 十日以上もあけて、新年のへったくれもありませんが、これは新年を迎えての通例ですんで、言わせてもらいます。

 新年あけましておめでたうございます。今年も一年、この闇の満ちる世界をよろしくお願いします。更新が滞って訪ねてくる皆様には迷惑をかけているとは思いますが、見捨てないでくださいね。

 さて、年末年始ですがずっとバイトづくめ。コンビニの方も早朝五時におきて出勤し、コジマも出勤。バイトのかけもちは辛いわ、やっぱ。俺のは他の人に比べたらまだ楽な方なんだろうけど。
 それでも、あまり体力がないんで辛いのには変わりない。まったく、柔な自分の体が嫌になります。鍛えるにしても、基礎体力がない上にへたれ精神が染み付いてるんで、どうにもこうにも。

 あ、でも最近友人のH氏に誘われて夜にウォーキングを始めました。本来ならランニングなんですが、H氏が「体力もたん」の一言で最初はウォーキングからに。次第にランニングへと変化させていくので、ある程度の体力はつきそうかも。
 ただ、夜は寒い。凍えそうになるほど寒い。下はジャージですし、上は出来るだけ軽装なんで、さらに辛い。でもまぁ、夜の散歩というのも割と楽しかったりするんで、嫌いじゃないですがね。

 それと驚いたことが。TYPE-MOONがまたもややってくれました。

空の境界が映画化!? マジですか奈須さん!

 いやもう本気でびっくりした。講談社からの出版からも驚いたというのに、その上映画化とか本気で凄い。TYPE-MOONスタッフも、正直予想していなかったかと思います。もう映画化を知ったときから、わくわくどきどきしっぱなしで困った。
 うーん、空の境界の公開いつになるんだろ。楽しみだなぁ。後なんか最近新しくDDDってライトノベルが出ましたね。
 今日、大学へ行く途中で買いました。とりあえず読破。さすがは我が心の師匠である奈須きのこ氏だと痛感。

 師匠、次の作品も期待しておりますっ!

 Web拍手のネギまとsnow nightのクロスオーバー人気。まぁ、snow nightが完結してないんで、もう設定だけを使った別物として連載した方がいいのかな(その場合ランサーは出ないかも
 まぁ、書く時間が問題だけど。今年の四月で祐樹さんも大学三回生。今年の最後あたりには就職活動が始まるわけなんですが……


 まぁ、正直なところ祐樹さん就職したくないんですよねー。


 いや、働きたくないとかそういうんじゃないですよ? ただ、やってみたいことがあるから、普通の企業とかに就職はしたくないだけで。
 実のところずっと考えてるんですが、本気でライトノベル作家目指したいなーって。まだまだ未熟だし、構想の練りも遅いんで十年早いかもしれないんですが……そういう仕事にあこがれてます。

 もちろん、世の中そんなに甘くない。俺ぐらいの文章能力を持っている人はごまんといるわけですし。でも、一度何かにむかって一直線に進み続けたい、と最近思うんです。
 だから、もうライトノベルを書いてどこかに投稿したいなって。前にも言ったかもしれないですが、日に日にその気持ちは強くなる一方。もうこれは自分がいけるところまでやるべきかなって。

 一度自分の限界を超えたことに挑んでみるのも勉強の一つ。そう考えてのこの結論です。金賞までとはいかなくとも、最低でも一度は佳作を取りたいですね。まずは精進あるのみ。

 Web拍手レスコーナー。

>惚れた女は小学生ええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!

 ぐーさん、それは流石にまずいかと。いや、冗談だろうけどね。後、いつも言ってるけど結婚まだですか?

>あれ?メルブラの七夜は悪夢の具現のはずだから直死持ちだった気が…。けど七夜として成長するはずだったものが呼ばれたのなら魔眼じゃなくて浄眼ですが
>初期メルブラなら魔眼、リアクトなら浄眼かと

 なんかそうらしいですね。一応、その辺りは次の話に書いてます。ま、予想できる内容だとは思いますが。

>Fate/snow night×テイルズオビジアビスのクロスオーバー読んでみたいです。

 あぁ、祐一がアビスの世界に飛ばされる話か。一発ネタでなら、ブログで出せるけど。

>もし時間を上げられるならWeb小説作家にNeetで有り余ってる俺の時間を上げるのに、、、とか馬鹿なことを考える日々・・・働けorz

 今巷で大人気のHIKIKOMORIですね。しかもNeetの称号まで。働くのはしんどいけど、お金たまるから働いたほうがいいですよ。後、時間もらえるなら本気でくださいorz

>しかし・・・「押してみる? ……えっち」だなんて誘われたら押してしまうに決まってるぢゃないか(ぉ

 えー、そういう貴方にはむっつりスケベとえろ魔人の称号を授けましょう。


 しかし、昨日は最悪でした。JR西日本がまたもややってくれましたよ。鴻池新田で急に電車が止まり、なんだと思えば

「京橋で送電線のトラブルがあったため、運転を休止します。運転再開は十時をめどにしています」

 ( ゚д゚)ハァ? おいおい、待ってくれよミスター。今まだ九時ですぜ、JRさんよ。バカいうなよ、一時限目に間に合わないじゃないか。まぁ、仕方ない。延着証明もらって十時半ぐらいに授業に間に―――

「お客様に申し上げます。運転再開は十時半となります」

 ――――いいぜ、ファッキン野郎。貴様は俺に喧嘩を売ってる訳なんですか。とりあえずここにいても仕方ないので、タクシー乗り場へ。最終手段を行使しようと思ったんですが、タクシーすらない始末。
 仕方ないからずっと電車で待ってて、十時に発車。授業の終わる十五分前に教室に。もう、本気でJR西日本には愛想が尽きます。経営会社変えるべきだろ、これ。

 本気でいらいらさせられます。JR西日本<<<越えられない壁<<<<JR東日本<<地下鉄的な感じ。JR西日本はファッキン野郎に違いない。

本日の教訓。「ストレス溜まる」

最終話

 アーチャーとの戦いはセイバーとアサシンの勝利に終わった。一瞬のミスすら許されない、まさに極限状況での戦い。セイバーとアサシンは、それを潜り抜けたのだ。
 放たれる弾丸を潜り抜け、アーチャーが自らの宝具を放つ時間を与えまいとアサシンが身を削りな
がら足止めする。


「ちぃ、うろちょろとうるさい雑種が!」


 槍を手繰り寄せるアーチャーの鎧に、アサシンは蹴りを叩き込む。それは内部まで貫通することはなかったが、アーチャーの体を押し戻すには十分の威力だった。
 そのままアサシンも自らの宝具である剣を使い、止まることのない斬撃を放つ。


「はぁ、はぁ、はぁ――――」


 自分の肉体が悲鳴を上げる音を聞きながら、しかしアサシンの剣撃は止まらない、止まれない。

 ――自分達はアーチャーを、士郎や凛、イリヤは言峰を。

 それは、当然のことだ。サーヴァントを打倒しうるのはサーヴァントのみ。しかし、戦う相手という枠に括ってしまえばそれはもはや意味を持たない。
 この戦いに負けはない。負けなどありえない。勝利――それだけが存在し、成し遂げなければならない。


「くっ、いい加減に我の目の前から失せろ薄汚い犬が―――!」


 アーチャーの手に手繰り寄せられた魔剣の一撃で、アサシンの腕が切り裂かれる。しかし、そんな事など構わない。
 自分はただ、自らの役目を果たすだけ(・・・・・・・・・・)。


「はぁぁぁぁ―――っ」


 アサシンの背後からセイバーがアーチャーめがけて疾走する。手に持つは星が鍛えし極光の聖剣。
 そのセイバーに向けてアーチャーは無数の宝具を射出。しかし、セイバーは避けない。避ける力すらも、全てはこの一撃の為に――――!


 「約束されたエクス―――」


 鎧を壊され、身にまとう服を血で濡らし、剣が自分の体を貫こうともセイバーは止まらない。裂帛の気合とともに、自らの持つ聖剣を振りかざし、アーチャーが天地を切り裂いた乖離剣を使いよりも速く、


「―――勝利の剣カリバー!」


 アーチャーの体へ全魔力を込めた一撃を叩き込む。魔力は光の粒子となり、切り裂いたアーチャーの体を照らす。
 鎧の中の肉体すらも切り裂いて、セイバーは聖剣を振りかざした体勢のまま止まった。


「……ふん、我の負けか」


 つまらなそうに、感慨深く呟くのはアーチャー。セイバーのエクスカリバーによってつけられた傷は、致命傷だ。幾分の猶予もなく、アーチャーは英霊の座へと帰るだろう。


「強情な女だ。だが……良い。手に入らぬからこそ――」


 アーチャーはそう言って、


「――美しいものもある。いやはや、中々に楽しかったぞ騎士王。そして、聖杯の器を守る守護者よ」


 静かに笑いながら消えていった。後に残るのは、腕を失くしたアサシンと、血塗れとなったセイバー。


「向こうも、終わったみたいだな」


 アサシンの声にセイバーは顔を上げる。行かなければ――そう思った。


「行きましょう、アサシン。シロウ達が待っている」


 まだ、自分には役目が残っている。宝具を放つほどの魔力は残っていないが、自分自身が消える覚悟ならば、あと一撃は放てる。
 後、一撃。十分だ。


「ほら、肩貸してやる。掴まれ」


「……すみません、その好意に甘えます」


 自身も腕を失い、セイバーへと向かってくる弾丸を身を挺して受けていたというのに、アサシンはそれをおくびにも出さずセイバーに肩を貸す。
 セイバー達が士郎達の下へたどり着くと、血に塗れながらもしっかりと立つ、士郎、凛、イリヤの姿。そして、士郎の腕の中で眠る桜。


「よぅ、衛宮。遅くなった」


「いや、いい。そっちは大丈夫だったか?」


「はい、アーチャーは倒しました。後は、最後の仕上げだけです」


 全員が上を見上げる。桜という器通して生まれた聖杯は、未だに泥を吐き出し続ける。聖杯として完成した――否、完成していない未完成な大聖杯。
 中に眠る反英霊は、士郎の投影したキャスターの宝具「破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)」によって切り離された桜の肉体を、もしくは本来の聖杯であるイリヤの肉体を求めて悲鳴を上げていた。


「さて、後は任せたぜセイバー。俺にはもう、何も出来る事はないからな」


 セイバーの体を離し、アサシンは笑う。それに頷き、セイバーは最後の役目を果たす為、もう動くことすら難しくなってきた自分の体に力を入れる。
 聖剣に自分が現界する為に必要な魔力を全て注ぎ込んでいく。


「……セイバー」


 そんなセイバーの名を士郎は呼ぶ。はい、とセイバーは顔だけをそちらへ向けた。
 視界が霞む。しかし、目に映る士郎の顔だけははっきりと映っていた。ひどく、泣きそうな表情だ。


「シロウ、そんな顔をしないで下さい。サクラを助けることができた、それで良いではないですか」


「っ、あ、あぁ。そうだな、ごめん」


 無理矢理、笑顔を作る士郎だが、顔に流れる血がそれを不気味なものにしていた。それを見たセイバーは、思わず笑ってしまう。


「む、何笑ってるんだセイバー」


「いえ、気にしないで下さい。ちょっとしたことです」


 まったく、なんて最後だろう。しかし、これが一番自分達らしいのかもしれない。


「――今までありがとう、セイバー。お前が俺のサーヴァントで、本当に良かった」


「そうね、士郎には勿体無いくらいだったわ。でも……お似合いのコンビかもね」


 士郎と凛からそんな言葉をかけられる。


「こちらこそ、シロウが私のマスターでよかった。そして、リン。ありがとうございます」


 士郎と凛にそう告げ、セイバーはアサシンとイリヤへと視線を向ける。


「アサシン、一足先に『行きます』。それでは」


「あぁ」


「セイバー……さようなら」


「えぇ、さようならイリヤスフィール」


 別れは済んだ。さぁ、後はこの我侭な子供にきつい一撃をくれてやるだけだ。


約束されたエクス―――勝利の剣カリバー!」


 最後の一撃が放たれる。その光は泥を吐き出し続ける大聖杯を破壊し、冬木での聖杯戦争に終わりを告げた。
 それと同時に、セイバーの肉体もその場から何もなかったかのように消えた。


「終わったなー」


 あっけらかんと呟くのはアサシンだ。サーヴァントを現界させている聖杯がなくなった以上、これ以上現界は出来ない。アサシンもすぐに、英霊の座へと戻るだろう。


「……」


 イリヤがぎゅっとアサシンの服を握り締めた。もう、アサシンとは二度と会うことはない。寂しさからイリヤは、絶対に離さないという意思を持ってアサシンの服を握り締め続ける。
 そんなイリヤの頭を、アサシンは優しく撫でた。


「アサシンも、ありがとう。桜を助けてくれて」


「おいおい、勘違いするなよ衛宮。その子を助けたのはお前だろ。俺は、ただセイバーの手助けをしただけだ」


 足止めと囮だけどな、とアサシンは苦笑して言う。そんな事ないと士郎はそれを否定した。確かに、アサシンのしたことは囮と足止めだが、それなくしてアーチャーの打倒はなしえたか分からない。
 セイバーも、きっとそう思っていたはずだ。


「それでも、ありがとう。……元気でな」


「そっちこそ。その子と幸せにな」


 それで別れの言葉は終わりだ。凛は、アサシンに何も語ろうとしない。敵だったから、そういう理由では決してない。
 語るべきことも、言うべきことも、全て士郎が言った。なら、自分には何も言うことはない。アサシンもそれを悟ったのか、何も言わない。
 最後に残るのは、自分を信じて共に歩んできたマスター。


「イリヤ、今まであ――」


「いや、いや!」


 アサシンの言葉を遮ってイリヤは抱きついた。予想していたこととはいえ、やはり心苦しい。泣きじゃくって決して手を離そうとしないイリヤの姿に、士郎と凛は何も言えなかった。


「ずっと、ずっと一緒にいてよユウイチ。離れたくなんてないよ、帰らないでよ、セラとリズと、シロウ達と一緒にいてよ、私と一緒にいてよ……っ」


 吐き出されるイリヤの願い。それはイリヤが初めて子供のように泣きながら、自分自身の心からの願いだった。
 離れたくない、一緒にいたい、自分と死ぬまで一緒にいて笑っていて欲しい。
 そんな、何の変哲もない小さな少女の願い。しかし、その願いは叶えられることはない。


「ごめんな、イリヤ。俺にはそれは叶えられない」


 イリヤを抱きしめながら、アサシンは残酷な言葉を口にする。いや、始めから答えなど分かっていたのだ。士郎にも、凛にも……そしてイリヤにも。


「ユウイチ……ごめんね、我侭言って」


「可愛い主人の我侭なら何度でも許せるよ。こっちこそ、辛い思いをさせてごめん」


「いいの。私ならもう大丈夫。セラやリズもいるし、シロウもいるから」


 イリヤの表情は笑顔だ。しかし、瞳から流れる涙は止まらない。別れが近づいてきたのか、アサシンの体が薄く透けていくのが全員の目に映った。


「イリヤ」


「っ……な、何?」


 名前を呼んで、アサシンはイリヤを正面から抱きしめた。ぎゅっと……力強く。イリヤの鼓動を、暖かさを、自分の身に刻み付けるかのように。


「―――今までありがとう。元気でな」


 そう、イリヤの耳元で呟いて、アサシンは静かにイリヤの前から消えていった。抱きしめられていたイリヤは、自分の体に残っているアサシンの体温が少しずつ消えていくのを感じていた。
 本当に、アサシンはもういないのだと――それを突きつけるかのように。


「……イリヤ」


 ぽん、と頭に士郎の手が乗った。見上げれば、士郎が自分を見下ろしている。桜は凛が抱えていた。
 何を言うべきか、イリヤが言いあぐねていると士郎はこう言った。


「もう――泣いていいんだよ」


 言われてしまって、イリヤは抑えていたものがあふれ出してしまった。士郎へと抱きつき、大声を上げて泣いた。
 もうアサシンには会えない。二度と会うことが出来ない。悲しみが、抑えていた悲しみがあふれ出してしまえばそれまでだった。


「シロウ……うああああああああっ」


 イリヤは、士郎に縋り付いて泣いた。そんなイリヤに、士郎はただ好きに泣かせ撫でてやるしか出来ない。
 アサシン――相沢祐一と、イリヤ。彼らの関係は士郎には到底考え付かないほど深かったのだろう。だからこそ、イリヤはここまで泣く。子供のように。
 聖杯として生まれ、ただそれだけの為に生きてきたイリヤスフィールという少女は、初めて子供のように泣いた。
 それは彼女が、聖杯としてではなくただの人間として、子供として流したたった一つの涙。

 ――――物語を締めくくるのは、悲しみにくれる少女の涙。

二十五話

 ―――柳洞寺の地下。大空洞とも呼べるその空間の奥深く、闇よりも深き絶望、夜よりも暗き恐怖が蠢く。そして、その恐怖の源の近くに立つ一人の―――否、一騎のサーヴァント。


「――もどきかと思えば、存外らしくなりおる。いや、聖杯本体以上に、聖杯らしい」


 前回の聖杯戦争から現界し続けるサーヴァント――アーチャー。彼が見上げる先には、この戦争を引き起こし続ける元凶たる聖杯がある。
 万人の人間がこれを聖杯に見えるか、と問われれば皆は答えるであろう。

 ――あんなものが、聖杯であるはずがない、と。

 まるで塔のように高いモノ。その上から溢れ出して来るのは、存在するモノ全てを焼き尽くす究極の呪い。黒い泥。この世の全ての悪性を一身に引き受けた、この世の全ての悪(アンリ・マユ)という名の英霊。


「中々に壮観だな。そう思わんか―――言峰」


「あぁ、間桐桜は良い器のようだ。それに……母体としても優秀らしい」


 アーチャーの傍には、言峰教会の主たる言峰綺礼の姿。聖杯戦争の監督役である彼は、同時に聖杯戦争の参加者でもある。監督役としての立場を利用し、表立って動くことはなかった。
 全ては情報収集の為に放ったサーヴァント、ランサーに任せ自分は本来の手札であるサーヴァント、アーチャーを伏せていた。


「ふん、この世の全ての悪(アンリ・マユ)が生れ落ちることなどに興味はないが、聖杯としての機能だけは使わせてもらうぞ。セイバーを我のモノにするのにな」


「好きにするがいい。私の興味は、コレが生まれることにしかない。神の名の下に、生れ落ちる赤子の命を祝福(祝う)のが私の務めだ」


 二人の周りに薄っぺらい影が次々と生まれていく。それは英霊、この世の全ての悪(アンリ・マユ)の分身。
 影は何かを守るかのように集まる。その中心にいるのは、俯いたまま動かない間桐桜。目の焦点は合わず、意識もない。その胸の辺りに、赤い染みが広がっている。


「間桐臓硯もよもやここまで自分の孫が聖杯らしくなるとは思わなかっただろう。それを見届けることはもう叶わんがな。失われし命に、安らぎがあらんことを」


 アーメン、と十字を切る言峰神父。そう、間桐臓硯は既にいない。間桐桜の体内に巣くっていた老人は、言峰神父の手によって摘出されアーチャーの宝具によって消滅した。


「――来たようだぞ、ギルガメッシュ」


「漸くか……王たる我を待たせるとは不届きな奴らだ。まぁ、よかろう。どちらにせよ奴らを待っているのは死であり、セイバーは我の后となる道しかない」


 アーチャーは――いや、遥か古代に君臨し、人類最古の英雄であるギルガメッシュはそう漏らす。
 英雄王ギルガメッシュ、それがこのサーヴァントの真名。後に存在する英雄達の武器の原典を持ち、それを矢として撃ち出す宝具『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』。
 その全てがランクB以上。単純な宝具の数と、威力なら彼以上のサーヴァントはいない。


「早く来るがいい、セイバー……その顔を涙で濡らし、あの泥を浴びて苦痛に悶え、助けを乞う姿を我に見せよ……!」


 ギルガメッシュのセイバーに対する屈折した愛情。もはや、憎悪と紙一重だ。


 ―――言峰綺礼とギルガメッシュの待つ大空洞に、五人の人間が現れる。


「桜……」


 衛宮士郎。


「……そう、アンタが黒幕だったの綺礼」


 遠坂凛。


「これが、聖杯……こんな物を、私は求めていたのか」


 セイバー。


「アサシン……」


 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。


「――終わらせよう、イリヤ。こんなもの、人の命を奪うだけのものなんていらない。呪われた聖杯戦争……その全てを、終わらせよう。そして、帰るんだ。待っていてくれる人達の下に」


 そして――アサシン。


 全ての役者は揃った。冬木における第五回聖杯戦争――その終着は近い。その決着の果てに待つ結果は、士郎も、凛も、セイバーも……そして、イリヤとアサシンにもわかっている。

 だけども――――今は、今だけは。戦友として、仲間として、この戦いを勝ち抜く、それだけを考えよう。悲しみは後に、今彼らの身にいるのは勝利への執着のみ。

 さぁ――――全てを終わらせよう。

二十四話

「サクラは聖杯の欠片をその身に埋め込まれて、擬似聖杯として機能している。残っているサーヴァントは三騎。バーサーカーとアーチャーは私が取り込んでいるけど、それ以外のサーヴァントは全部サクラに取り込まれたわ」


 淡々とイリヤスフィールは語る。


「もう、人としての意識を保っていることすら厳しいはずよ。聖杯として完全になってしまえば、彼女は死ぬわ」


「そんな……っ」


 士郎の愕然とした声が居間に響く。しかし、士郎だけでなく凛もまたその言葉に、愕然としさせられていた。


(桜が……死ぬ?)


 そう考えて、凛の背筋に悪寒が走る。いつも無表情であったあの子が、笑ってくれていた。例えそれが限られた時間、限られた場所であっても良かった。桜が、自分の妹が笑っていてくれているのなら。
 だが、死んでしまえばその笑顔を見ることが出来なくなる。話すことも出来なくなる。

 ――馬鹿な姉でごめんなさいと、謝る事も出来なくなってしまう。


(いや……そんなの……!)


 握り締めた手から、血が溢れる。今、凛の中にあるのは壮絶なまでの怒りの念。間桐臓硯に対する殺意。
 自身の感情を抑えられていない今の自分は、魔術師としては二流以下なのだろう。しかし、今の凛は魔術師ではなく一人の姉として怒りを覚えている。その思いに、間違いなどない。


「イリヤ、桜を救うことは出来ないの?」


「――助けること自体は簡単じゃないかしら。でも、その後が一番大変なの。聖杯として完成されつつある今の桜は、言ってみれば魔力の貯水タンク。自分の中にある魔力を持て余している状態なの。仮に救えたとしても、その魔力を処理しない限り命の危険は常につきまとう」


 空気を入れすぎた風船は、内側から外殻を圧迫され爆発する。桜の状態はまさにそれだろう。例え聖杯の呪縛から開放されようとも、蓄積した魔力は消えることはない。
 強すぎる魔力は身を滅ぼす。間桐桜という少女の肉体の中には、その肉体が許容できる以上の魔力が渦巻いているのだ。


「聖杯として作られている私も、例外じゃないけどね」


「本当ならイリヤがそうなっていた筈なのか……?」


 聖杯とは名ばかり、人としての存在を喰らいサーヴァントの魂を喰らい機能する血塗れの万能機。それはもはや、聖杯とは言える代物ではない。


「アサシン、貴方はそれを知っていたのですか?」


「そりゃ、な。召還されてすぐに本人から聞いたさ」


 その時点で、既に自身の願いを叶えることについては諦めている。そう付け足すアサシンの言葉を、セイバーは静かに聴いていた。


「ともかく、桜を助けるにはあのアーチャーを倒すしかないんだな?」


「そうね。あれを倒して、聖杯への接続を断てば一先ずは終わり。その後は、サクラの生命力と魔力の処理方法を考えるだけよ」


 最後に関しては、ここで出せる結論ではない。士郎達はのんびりする暇も惜しいとばかりに、すぐに準備を始めだす。
 ショックから未だ立ち直れていない凛だが、刻一刻と桜の命が蝕まれていくのを見過ごしているわけにはいかない。宛がわれている部屋へと戻り、自身の持つ全ての宝石を身につける。
 机の上に視線をやれば、士郎の命を救った宝石のペンダント。学校に忘れた筈の物を、わざわざアーチャーが持ってきてくれたことを思い出す。


(ほんと、気障な奴だったな……)


 アーチャーの言動と行動を思い出し、苦笑いが浮かぶ。思わず赤面するようなことを言ったかと思えば、ちょっとしたことですぐ拗ねてみせたりする、変なサーヴァント。そして何故か士郎のことを目の敵にしていた。
 そのことで何度か口論になったこともあったが、信頼できた……背中を預けられたサーヴァントだった。

 しかし、そのサーヴァントはもういない。


(馬鹿アーチャー……相打ちなんかになっちゃって)


 バーサーカーと刺し違えて消えていったアーチャー。最後まで彼の真名を知るには至らなかった。だが、今ならわかる。あのサーヴァントは、自分にとって最高のパートナーであったのだと。
 凛の手には、今はセイバーの令呪がある。


(見てなさいアーチャー、私たちは必ず勝つわ。そして……必ず桜を助ける)


 目に浮かんだ涙を拭い、凛は部屋を後にする。迷いはもうない。今自分がすることは新たなパートナー、仲間と共に桜を助けること。
 机の上に置かれた赤いペンダントは、そんな凛の決意を祝福するかのように赤く輝く。


 ――行って来い、凛。君なら勝てるさ。それと……“私”をよろしくな。

二十三話

 衛宮家の居間に揃った生き残りしマスター達。傷つきながらも生還し霊体化して傷を癒すアサシンを交え、彼らは戦いの戦略を立てる。


「あいつの宝具は異常だ。今のセイバーの力じゃ、どうやっても勝てない」


「……悔しいですが、事実です。前回切嗣に召還され万全の状態でも勝つことが出来なかった相手
だ。魔力供給のままならない今の状態では勝てる見込みはない」


 下唇をかみ締めながら、セイバーは喋る。士郎からの魔力供給がなされていない今のセイバーでは、どう足掻こうとアーチャーには勝てない。宝具の打ち合いでも競り負けうえに、今のセイバーでは宝具を一度しか放てない。二度放つ為には自身の存在を消す覚悟がいる。


「魔力供給か……仮に、士郎の魔力が供給されたとしてもセイバーの能力の低さはネックよ。能力値がせめて平均Aぐらいは欲しい所だわ」


「それなら、士郎とセイバーが契約を切ってリンと再契約すれば解決するんじゃないかしら? 魔術師としての能力はリンが優れているんだし」


 イリヤの提案は、確かにセイバーの能力の低さを解決する最高の手であった。尤も、宝具の使用に関しての制限は変わらないのだが。
 最終的にはその提案が呑まれたのだが、最後の最後までセイバーが士郎との契約を切ることを渋っていた。最後まで守り通すという騎士としての誓いに反するなどなどと言っていたが、


「その誓いも、誓った人物が死んだらおしまいじゃない?」


 という凛の一言で崩れ去った。体裁を捨て、士郎を守る為にセイバーはサーヴァントとマスターの契約を断ち、凛と再契約をした。契約の言葉が終わり、契約が結ばれると同時にセイバーの体から魔力があふれ出す。本来あるべき能力を取り戻したセイバーは、先程までの彼女よりも力強さが滲み出ていた。


「うわ……予想してたとはいえ、これはきついわね」


 自身の魔力の多くがセイバーへと流れ込んでいく感覚を味わう凛は、その貪欲とまでいえる量に辟易とする。士郎が正式に契約を結んでいたら、すぐに倒れてしまっていたであろうと思う。


「しかし、これならばアーチャー相手に打ち負けはしないでしょう。といっても、彼の宝具を防ぐ手立てがないのは変わりませんが」


 攻撃、防御の面ともに未だ不安の域を出ない。セイバーの持つ宝具の攻撃力は確かに強力だが、アーチャーの持つ宝具には敵わない。


「宝具を打たせないようにするしかない、か。その辺りのかく乱は……」


「――俺がやろう」


 静かに実体化したアサシンが切り出す。切り落とされた左腕の再生は終わったらしく、見た目は普通だ。それでも、まだ五割の力も戻っていない。完全回復を待つのなら、後二日はかかる。
 それまで待てば、という意見も出たが―――


「それだと時間がなくなるわ」


 それを否定したのはイリヤ。それには誰もが首を傾げる。時間がなくなる、とはどういうことなのだろうか。確かにサーヴァントの数は残り三騎であり、開幕から既にかなりの時間が経過はしている。それに、アーチャーの目的はセイバーと、聖杯の入手。未だアーチャーは聖杯を手にはしていない。
 そして、聖杯とはイリヤのことでもある。今ここにイリヤがいる以上、聖杯を呼び出し手に入れることはできない筈。だからこそ、アーチャーはアインツベルンの城へと赴いたのだ。


「時間がないって……聖杯は、その」


 アサシンが言いよどむ。召還されてすぐ、アサシンはイリヤから聖杯の正体を教えられている。それゆえに、アサシンは自らの願いを叶えることを放棄したのだ。今回は、ということになっているが……これを逃せば次があるという保障はまったくない。
 それでも、自らのマスターを生贄にし自分の願いを押し通すことなどしたくはない。アサシンはその自分の行動に後悔はしないと自らの心に誓える。


「えぇ、聖杯は私自身……というより、私の心臓といった方が正しいのかしら」


「イリヤの、心臓……!? な、なんだよそれ、何でイリヤの心臓が聖杯なんだ?」


「私がそういう存在だから、よ。アインツベルンは聖杯の器になるべき依代を用意する。それが私のようなホムンクルス。ここにいるリズやセラも、同じ存在なの」


 イリヤは確かに母体から生まれた。しかし、そのときから既にイリヤは人としてではなく、聖杯として生を受けているのだ。いわば、イリヤは魔術回路を人にしたようなもの。多大な魔力を持ちながらも、魔術師としての能力はほとんどない。
 マスターとして聖杯戦争に参加し、勝利し聖杯を手に入れることだけを義務付けられてイリヤは冬木へと赴いた。それ以外のことなど、期待されていないのである。
 凛だけはある程度予想していたのか、さほど驚きはない。しかし、感じている疑問だけが強くなっていた。


「なら、アンタがここにいる限り問題はないんじゃないの? イリヤの心臓がいるのなら、聖杯は――」


「――大本となるものがないから降霊できない、ということになるわ。えぇ、今までならね・・・・・・。私を捉えられなかった以上、別のモノを使う気よ」


 何かを含むような言葉。誰もが怪訝な顔をする中、士郎だけは何か言い知れぬ不安と予感を感じていた。


「前回の聖杯は不完全なままで召還されて、そしてセイバーと……キリツグに破壊されたわ。そして――聖杯の欠片が、ある一人の老人によって回収され一人の人物に埋め込まれた」


 心臓の鼓動が士郎の耳にはっきりと聞こえる。この鼓動の主は、周りにいる人物なのか。否、この鼓動は士郎自身のもの。何を言われるのか想像もできないのに、士郎は今紡がれる言葉が確実に悪いモノだと分かっていた。


「老人の名はマキリゾウケン。聖杯の欠片を埋め込まれたのは――その老人の孫娘、マトウサクラよ」


 尤も身近な存在であり、関わり合いになるはずのなかった存在の名前が、士郎を―――そして、凛を打ちのめした。


二十二話

 深夜の衛宮家。いつもの如く、和気藹々とした夕食がすみ、衛宮士郎は姉(的存在)である藤村大河と、友人の妹である間桐桜を玄関から見送り居間でセイバー達と共に聖杯戦争に関しての話をしていた。
 既に聖杯戦争が始まって二週間が過ぎようとしている。それまでの間に出た一般人の被害は数知れず、それと共にサーヴァントの数も着々と減っていった。

 ライダーを始めとし、順にランサー、キャスター、バーサーカー……そして、遠坂凛のサーヴァントであるアーチャー。ライダーは彼らが相対し倒し、キャスターのルール違反によって召還されていたバーサーカーは、アーチャーが命と引き換えにして打倒した。そして、残りの二騎のサーヴァントは、ある一人のサーヴァントによって倒されている。

 ――十年前から現界し、前回万全の状態で召還されたセイバーすらも圧倒した、アーチャーのサーヴァント。アサシンの前に現れた、あの正体不明の存在である。


「……あんな奴に、本当に勝てるのか?」


 ぽつりと零される一言。あのアーチャーの規格外の強さを目の当たりにした士郎は、滅多にこぼさない弱音を吐いた。前回万全の状態のセイバーですら勝てなかった相手だというのに、自分と契約しているせいで弱体化している今のセイバーで勝てるのか。


「シロウ、勝てる勝てないの問題ではない。……私達は、勝たなくてはならない」


「そうよ、士郎。負けたら死ぬだけよ、私達を含める多くの人が」


 セイバーと凛に諭され、士郎は気弱になっていた自分の心を戒めるかのように頬を叩いた。そうだな、と力強く頷く。


「残ってるサーヴァントは、セイバーとアーチャー……そして、アサシンか」


 三人の脳裏によぎるアサシンとマスターであるイリヤの姿。あの二人と協力できれば、少しでも勝率が上がるのではないか。士郎は凛曰くへっぽこな頭でその考えをひねり出した。


「……そう、ね。本来のアサシンは戦闘力はほとんどないけど、彼に関しては別ね。セイバーほどじゃないにしろ、力になってくれるかも」


 難色を示しながらも、凛はアサシンと同盟を組むことを了承する。セイバーは反対するかとも思われたが、意外というかなんというか、特に反論することなく士郎の考えを肯定した。


「アサシンは確かに敵です。しかし、彼の人となりだけを取るのならば非常に好ましい。それに、アサシンの戦闘力は確かに頼りになるでしょう。彼も、こちらの要求を即座に跳ね除けることはしないと思います」


 アサシンのマスターは分かりませんが、とセイバーは続ける。士郎はアサシンと戦わずにすむと分かり、安堵する。会ったのは二度、戦いの最中とただ話をしただけの間ではあるが、それでも戦わずにすむのならその方がいい。
 と、不意に衛宮家に来客を知らせるチャイムが鳴る。来客がくるには、既に遅い時間だ。不審に思いながらも士郎は腰を上げて玄関へ。用心の為に凛やセイバーも後に続く。ただの不審者ならば、セイバーないし士郎一人で事足りる。

 衛宮家に訪ねてきたのは、彼らが予想しえなかった人物。アサシンのマスター、イリヤスフィールとその従者と思しき二人の女性。凛とセイバーは咄嗟に戦闘態勢を取ったが、どうも様子がおかしい。
 イリヤスフィールが子供のように泣きじゃくっているのだ。そして、一番おかしいのは……アサシンの気配がまったくしないこと。気配遮断スキルで姿を隠しているのかとセイバーは考えたが、それなら今泣いているイリヤを宥めてる為にすぐに出てくる筈である。
 士郎と凛も、それを考えたのか訝しげな顔をした。だが――――もっとも最悪な結果が彼らの脳裏に浮かぶ。


「イリヤ、相沢……アサシンは、どうしたんだ」


 自分でも声が震えているのを自覚しつつ、士郎はアサシンの行方をイリヤに尋ねる。咎められるような視線が、従者の二人から注がれるが聞かなければならないことだ。


「ひく……アサシン、変なサーヴァントに……やられて……」


 溢れる涙を拭うことすらせず、イリヤは言葉を詰まらせながら問いに答えた。最悪の予想が現実のものとなり、士郎達は表情を暗くする。玄関で話をしていては体が冷えてしまう、そう考え士郎は三人を居間へと通す。落ち着かせようとお茶をいれて差し出すが、手をつけようとしない。仕方ないかもしれないなと士郎は内心呟く。

 イリヤとアサシンの関係は、サーヴァントのそれではない。一見しただけであるが、兄と妹―――そう思えた。戦いを始めればそれは成りを潜めるが、日常生活ではほとんど兄妹同然なのだろう。
 だからこそ、イリヤはアサシンを失ってここまで取り乱しているのだ。――――ある事実に気付かずに。その事実を気付かせたのは、この中で尤も冷静な魔術師である凛。


「イリヤスフィール、アサシンは貴方の目の前でやられたの? それなら、貴方達もそのサーヴァントにやられている筈だと思うけど」


「いえ、アサシンはイリヤスフィール様を逃がす為に、殿を務めて下さいました。だからこそ、私達はこうして生き長らえているのです」


 イリヤの代わりに従者の一人、セラが答える。それを聞いて、凛は自分の中で浮かび上がった一つの可能性が現実味を帯びていくのを感じていた。
 それは――――


「なら、アサシンとのパスも完全に消えてしまっているのかしら?」


 ――――パスがなくなっているのなら、アサシンは既にこの世に存在していないだろう。逆に言えば、アサシンとのパスが残っているのならばアサシンは“まだ”無事だと言うことに等しい。
 凛の言葉を理解したイリヤは、すぐに涙を止めてをアサシンとのパスを意識する。アサシンを召還し、契約を交わして結んだパスは……残っている!


「……残って、る」


 呆然と呟くイリヤ。止めた筈の涙が再び溢れていく。悲しさからではない、嬉しさで涙が流れてしまう。それを聞いた士郎は、表情を明るくした。


「そっか、生きてるのか……良かった」


「当たり前だ、勝手に殺すな衛宮」


 庭から声が響く。全員が視線を向ければそこに、片腕を失い血だらけになりながらも笑みを浮かべるアサシンの姿。足を引きずりながら士郎達の下へ向かっていくが、体力の限界がきたのか地面に倒れこむ。


「お、おい、しっかりしろ!」


 士郎が抱き起こす。相手がアサシンである事を完全に失念している士郎に、セイバーは軽くため息をつく。だが、それも士郎らしさかと納得し、自らもアサシンの下へ向かう。
 見れば、アサシンの左腕は無理矢理引きちぎられたかのようになっており、体中が剣に斬られた傷を負っていた。相手は間違いなく、あのアーチャーであろう。


「アサシン、大丈夫……?」


 イリヤの不安そうな顔を見て、アサシンは苦笑しながら頭を撫でた。


「イリヤを残して死なないさ。でも、ちょっと疲れた……完全に回復するまで安静にしてないとな」


 そう言ってアサシンは、その姿を消していく。霊体化し、傷の治癒に専念する為であろう。完全に消える前に士郎達へ、


「イリヤを頼む」


 と言葉を残し、その姿は霞のように消えた。

二十一話

 打ち出される魔弾をぎりぎりで回避し続ける。だが、際限なく――比喩ではなく、事実――襲い来る“剣”の嵐により、アサシンの体はぼろぼろになっていく。
 行き場を失った剣の弾丸は、アインツベルン城の床へと突き刺さり瓦礫を生み出す。


「そら、どうした暗殺者。死に物狂いで避けてみせよ」


 魔弾の射手は、愉快そうに自分が放つ剣群を避け続けるアサシンの姿を眺める。黄金の鎧に、重力に逆らうように立っている金色の髪。そして、何より見たものに恐怖を与えるような真紅の目。
 口元を歪め、逃げ回るアサシンの姿を路肩の小石程度にしか思っていない。


「くそっ……なんなんだお前はっ」


「囀る許可を出した覚えはない。雑種は我を楽しませる事だけに集中しておればよい」


 剣弾が強まる。完全回避が辛くなり、アサシンの体はさらに傷ついていく。その姿を涙ぐみながら二人のメイドに体を押さえ込まれている少女が一人。


「離してっ、セラ、リズっ! アサシンが!」


「なりませんっ、アサシンは身を挺してイリヤスフィール様を逃がそうとしているのです。早くこの場を……」


「やだ、やだっ、アサシンを置いてなんていけないっ」


 セラとリーゼリットの腕を振り払おうとするが、力は普通の少女と変わりない。さらにリーゼリットにいたっては戦闘型のホムンクルス。肉体を使う戦闘を想定されていない、イリヤの能力ではどう足掻いても抜け出すのは不可能である。


「二人とも、早くイリヤを連れて逃げろ!」


「ふん、聖杯の器を逃がすと思うてか。そろそろ余興にも飽きてきたところだ。疾く去ね、汚らわしい暗殺者」


 男の手から直接放たれる剣。デュランダルという銘を持つその剣は、確実にアサシンの腕を貫いた。


「がっ!?」


 ぶちぶちという千切れるような音と共に、アサシンの左腕が吹き飛ぶ。骨すらも切り裂き、繋がりを失った腕は地面へと磔にされた。
 イリヤの悲鳴がホールに響く。完全に錯乱した様子のイリヤを抱えて、二人のメイドはその場を後にする。


「逃がさんと言っ……むっ!?」


 それを追いかけようとする男の頬を、何かが通り過ぎる。それは背後にあった壁へと突き刺さった。それは、柄に七ツ夜と書かれたアサシンの短刀。
 頬に手をやった男は、指先にぬるっとした感触を覚えた。目の前に持ってくれば、指先は赤く染まっている。


「……貴様、よくも我の顔に傷をつけてくれたな! よかろう、聖杯の器は後回しだ。先に貴様の醜い命、完膚なきまでに蹂躙してくれる!」


 怒りに表情を歪める青年。そして青年の背後の空間が歪み、そこから無数の武器の柄が現れた。荒い息をつきながら、アサシンは男を見据える。考えているのは、如何にしてこの場を生き残りイリヤの下へと戻るかだ。こんな所で死ぬ気は、アサシンには毛頭ない。
 自分の能力では、目の前にいる正体不明の存在に勝つことは100%不可能。故に、今は離脱して生き延びる事を考える。


(左腕は魔力供給で再生できるが、今は使い物にならない。俺の持つ宝具で、アイツに対抗できるものはない。……八方塞かよ)


 それでも決して諦めない。可能性がある限り、アサシンはそれを手繰り寄せてみせる。


「我の前から消えうせろ、雑種!」


 弾丸が打ち出される。一直線にアサシンへと向かっていった弾丸は、着弾した。衝撃で砂埃を巻き上げ、男の視界を塞ぐ。


「……」


 酷く気分を害したような表情をする青年。煩わしそうに腕を横に振るうと、砂埃が風に吹かれて流される。後に残るは、瓦礫の山――――


「ち、逃したか。無様に生き延びることだけに関しては、褒めてやってもよいか……」


 もう用は無い、と男は鎧を揺らしながら城を後にした。破壊の爪痕だけが残る、主を失った居城は静寂に包まれる。その城内に無数の瓦礫と、血塗れのアサシンの左腕を残して。

プロローグ2

 銀の短刀が振るわれる度、獣が雪に沈む。軽い吹雪の中、イリヤスフィールとそのサーヴァント・アサシンは、無数の狼の群れの中心に立っていた。襲い来る狼達をアサシンが屠り、撃退する。
 たった一人で、無数の狼から自身のマスターを護っている。今までに何度もイリヤスフィールに向かって狼が襲い掛かったが、彼女には傷一つない。代わりに傷ついているのは、アサシンの体。


「はぁ、はぁ……くそ、寒すぎるぞ」


 疲れではなく、寒さで疲労している。いくら彼が英霊――その本質が霊体であろうとも、今は仮初の肉体を得ている。人間の五感全てが、正常に稼動しているのだ。寒さも感じる。
 彼自身、生前から寒いのが大の苦手だった故に、こういう状況は酷く疎ましいと思っていた。これが彼の弱点だと言えなくも無い。


「大丈夫、アサシン?」


「あぁ。マスターは寒くないか? 早いところ終わらせて、暖かい所で暖かい飲み物でも飲もう」


 そうね、とイリヤスフィールはアサシンの言葉に同意する。彼女は少し丈の大きいコート――最初、薄着で放り出されそうになったのだが、アサシンが無理矢理分捕ってきた――のお陰で、寒さは軽減している。それでも、この寒さの中ずっと外にいれば凍えても不思議ではない。
 それに彼女は女の子だ。あまりこの寒さの中、辛い思いをさせるわけにはいかない。


「すまないな、お前ら。悪いが……やられてくれ」


 狼達を威圧感が襲う。アサシンから放たれる殺気に、狼達は引け腰になるが、うなり声を上げて一斉にアサシンへと襲い掛かる。
 ――――後に残るのは、倒れ伏した狼達の姿。生きているものも入れば、息絶えているものもいる。その中心にアサシンとイリヤスフィールが立っていた。結局、アサシンは傷ついたがイリヤスフィールには一切の怪我はない。それは、彼がマスターを守り抜いたという証拠だ。


「――アサシンは、強いね」


「そうか? アサシンていうクラスな時点で、あんまり強いイメージないけどな。セイバーとか、アーチャーとかに比べれば」


 比べるだけ無駄か、と苦笑する。確かに、アサシンというクラスはセイバーなどに比べればランクの低い、はっきり言ってしまえば次元が違うほど能力も落ちる。他の三騎士に関してもそうだ。
 しかし、このアサシンは普通のアサシンではない。他のサーヴァントともまともに渡り合えるかもしれない可能性を持っている。


「帰ろうか、マスター」


「うん。――私のことは、イリヤでいいよ。言いづらいでしょ?」


「そうか? なら、遠慮なくこれからはイリヤって呼ばせてもらう」


 二人は手を繋ぎながら、雪原を後にする。白い景色に溶け込んでいく二人の後姿は、仲睦まじい兄妹のようにも見えた。
 聖杯戦争が始まるまであと僅か。死地に赴く二人は、果たして祝福を得ることが出来るのか―――――


プロローグ

 薄暗く広い部屋の中に風が吹き荒れる。魔力の奔流が、サーヴァントを召還した少女―――イリヤスフィールと、周りにいる人影を襲う。
 この魔力の猛り……確かにサーヴァントの召還には成功した。自身の中から魔力が急激に失われていくのを、イリヤスフィールは感じる。


(でも、触媒がないからどんなサーヴァントなのか……)


 ほとんど博打である。前回の聖杯戦争では、外来の魔術師……彼女の父親である衛宮切嗣には、かの騎士王・アーサー王の縁の品が渡されたという。だが、今回は著名な英雄の縁の品がなかった。
 アインツベルンの人間は、心底落胆した。だが、イリヤスフィールなら触媒などなくても大丈夫だ。そう、考えていたのだ。

 ――――彼女は、その為に作られたホムンクルスなのだから。

 魔力の暴風がやみ、イリヤスフィールは閉じていた目を開く。どんなサーヴァントがいるのか、と思いながら目の前には


「……ここは」


 どう見ても、ただの人間にしか見えない青年がいるだけだった。しかし、自身から目の前の青年へとラインが通っているのが感じられる。あれは、確かに人間という存在ではなく、抑止力の存在……英霊という存在なのだ。


「あなたが、私のサーヴァント?」


 ざわざわと辺りがざわめく中、イリヤスフィールは青年へと近づいていく。途中、『やはりホムンクルスには無理だったか』、『あんなひ弱そうなモノを召還するとは、恥曝しが』などという誹謗中傷の声が聞こえてくるが、彼女はそれを無視する。


「ん……そう、みたいだな。君とレイラインも繋がっているし、魔力も流れてる。あぁ、確かに俺は君のサーヴァントだ」


 周りの人間が次々と悪態をつきながら出て行くのを視線で追いながら、青年はイリヤスフィールへと歩んでいく。


「そう……で、クラスは? バーサーカーや、セイバーには見えそうにないけど」


「アサシン、だな。元々、そういう一族に生まれてたし、戦い方もそれに直結する」


 暗殺者のサーヴァント。その言葉に、イリヤスフィールは落胆する。せめて、三騎士のうちであってほしかった。アサシンは、キャスターの次に弱いとされているサーヴァントではないか。マスター殺しの能力しか持たない、単一特化型。

 だが、アサシンのサーヴァントには固定の英霊が呼ばれる。それを思い出したイリヤスフィールは、彼に真名を問うた。


「貴方、ハサン・サッバーハじゃないの?」


「いや、違う。俺は、相沢祐一って言う名前だ」


 青年――相沢祐一の言葉に、イリヤスフィールは眉を顰めた。自分の父親である、衛宮切嗣と同じような名前。それは即ち、目の前のアサシンが日本人であることを指している。
 そんな英雄、聞いたことも無い。マイナーすぎるのか、そもそも知られるような存在ではないのか……。


「そんな名前の英雄、知らないって顔だな。ま、無理もないよ。そもそも俺は過去の人間とは言い難いからな」


 彼女の心情を読み取ってか、アサシンは苦笑を浮かべた。ここにきてイリヤスフィールは、少女らし
い反応を見せる。


「どういうこと?」


 きょとん、とした表情。しかし、すぐに何かに気付いたのか思考の海へと潜っていく。アサシンはそんな彼女を腕を組んで見つめる。
 いや、アサシンもまた自らの思考の海へと沈んでいた。今この状況がどういうことであるのか。


(サーヴァント、クラスってことは当然、聖杯戦争だ。やっと……やっと願いが叶えられる。俺がいた時の、あいつらを笑顔にさせてやれる)


 彼が世界と契約し、英霊となったのはその願いを叶える為だ。かつて自分が生きた時系列での、あの悲劇をなくしその記憶を消し去る……それが彼の願い。
 彼が世界と契約した際に、一つの願いは叶えた。後は残りの願いを叶えれば、彼はもう何も思うことは無い。


(みんな、俺がいなくなって慌ててないかな。だけど、それもすぐになくなる。……聖杯への願いで、俺を含めた記憶を全部消し去れば)


 悲劇の記憶の消去――――それは、自分を含めた全ての記憶を消し去ることだ。それが終われば、自分は英霊の座に登録された守護者として、世界の掃除でも何でもしてやろう。


「……アサシン、貴方はもしかして未来の英霊とでも言うの?」


 思考の海から戻ってきたイリヤスフィールは、信じられないような表情と言葉でアサシンを見た。その言葉にアサシンは、正確にはちょっと違うがそんなところだ、と答える。


「頼りなさそうだとは思うが、よろしく頼むなマスター。やるからには、俺は必ず勝つ。そして、君に勝利を捧げよう」


 肩膝をつき、恭しく頭をたれる。それは彼女を自分のマスターだと認めた証拠であり、忠誠の儀式でもあった。

神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
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