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雪夜IN幻想郷の記事一覧

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五話 迷いの竹林に住む者 

「……暇ですねー」

 紅魔館の一室。祐一が滞在することとなった部屋のベッドで、とんでもステッキのルビーがぽつりと呟く。彼女のマスター(本来ならば女性しか契約できないのだが、彼女と内面が似通っていることと彼女が女性だけじゃ面白くないとのことで男性との契約も可能にした)である祐一は、今はいない。
 紅魔館のメイドである十六夜咲夜と共に、人里に行っている。留守番と聞いて不満を抱いたルビーだが、まぁ後で埋め合わせはしてくれると言っていたのでこうして大人しくしていた。

「ルビーちゃん暇です。やっぱり、暫く(他人で)遊んでなかったから欲求不満ですよ?」

 そう、"していた"のだ。過去形で言ったのは間違いではない。それが事実だからである。祐一に言われて暫くは、ルビーは言いつけどおり大人しくしていた。
 しかし、欲求が限度を超えたのだ。今のルビーは、暇つぶしを探している。具体的には、自分の力を使って誰かをからかったり、恥ずかしがらせたりできないかとか。

「ここにどんな人がいるんでしょうかね。私が見たのは、少し胸が小さいメイドだけですし」

 本人に聞かれたまずへし折られるだろうことを呟く。流石にこの規模の館だ、あのメイドだけということはないだろう。少なくとも、主人級の人物がいるのは予想できる。まぁ、他にちらほらいるだろう。その中に自分の眼鏡に適う相手がいれば万々歳だ。

「マスターには悪いですけど、私は私の道を行きます。さーて、どんな子がいるんでしょうかね♪」

 器用にぴょこぴょこと跳ねながら、ルビーは部屋の出口へと向かう。羽根の部分でドアノブを回して、悪魔の杖とも魔法の杖とも呼ばれる礼装、カレイドステッキは紅魔館という名の野に放たれた。
 もっとも、ここは悪魔の館、紅魔館。彼女の思うとおりに事が運ぶとは限らないのだが。




 爺さんに連れられてきたのは他の家よりも大きい、屋敷と言っても良いほどの家。というか、屋敷だろうか。衛宮邸といい勝負かもしれん。

「幻想郷縁起という本を書いておる、稗田の家じゃよ。ここの阿求様なら幻想郷のことについて詳しいはずじゃ。阿求様、いらっしゃられますかなー?」

 玄関から呼びかける。あぁ、幻想郷には呼び鈴なんて代物はないのだろう。俺は歴史には詳しくないから、呼び鈴という概念がいつ出来たのかわからないけど。
 呼びかけから暫くして、玄関口に人影。

「はいはい、ちょっと待ってくださいね……あら、平蔵爺さん。どうしました? それに、あまり人里ではあまり見ない人ですね。その服装からすると、外来人ですか?」

 出てきたのはちっさい女の子。

「まぁ、そんな所だ。幻想郷の観光でもしようかと思ったんだが、地理がまったくわからなくて困ってたんだが、この平蔵さん? が詳しい人のところへ連れて行ってくれるからって」

「観光、ですか……。それは、この幻想郷がどういう場所かを知っていて言っていますか?」

「あぁ。ゆかりんから聞いてる」

「ゆか、りん? あ、あぁ、八雲紫殿のことですか……」

 ゆかりん、と信じられないような顔でもう一度呟くちっさい子。むーん、ゆかりんも言ってたが誰も呼んでくれないって言うのはほんとみたいだな。まぁ、名雪のなゆちゃんレベルの呼び名であることは確かだが。

「まぁ、立ち話もなんですから、中へどうぞ。平蔵爺さんもご一緒に」

「これはかたじけない、阿求様。ほほ、やはり歳を取るとすぐに疲れが出てしまう」

 爺さんに手を貸しつつ、ちっさい子……阿求とかいったか、その子について奥へ。風通しのよさそうな一室へと案内されたそこには、俺達以外にも客人の姿が。
 髪を長く伸ばし、へんてこな帽子(というより、塔?)を頭に乗せた胸の大きな女性と、これまた髪を長く伸ばしでかいリボンをつけたもんぺ姿の女の子。こっちはあまり胸は大きくなさそう。とりあえず、この思考を読まれたらまず怒られるな。変なことは考えないように思考をカットする。

「客人か。おや、平蔵ではないか」

「平蔵、元気にしてる? ……そっちのは見ない顔ね。また外の人間が迷い込んできたのかしら」

「おはようございます、慧音様。妹紅殿、心配せずともわしはまだまだ元気ですよ。そちらこそ、お体を大切にの」

 彼女らの対面に爺さんを座らせ、俺はその横に。阿求という子が冷えたお茶をもってきてくれたので、ありがたく頂くことに。こう暑いと、水分がいくらあっても足りない。
 一気にお茶を飲み干し、一息つく。

「ありがとう」

「いえいえ。失礼ですが、お名前を伺っても?」

 そういや名乗ってなかったか。

「相沢祐一。外の世界……つっても、同じ世界かどうか疑問だけど、そこに住む魔術師もどきの退魔師だ」

 この名乗りもいい加減飽きてきたな。事実とはいえ、魔術師もどきというのはどうも語感がよろしくない。でも、退魔師であり魔術師でもあるのが俺だしなぁ。魔術らしい魔術は使えないけど。
 俺に出来るのは、この眼を使ったことぐらいだし。

「退魔師、か。霊夢と似たようなことを生業にしているのだな」

「あー、そういや博麗の巫女は妖怪を懲らしめるのが仕事とかですっけ。確かに、似たようなもんですね。俺の場合は、妖怪だけじゃありませんけど」

 それこそ、必要なら人間すらも殺すことは厭わない。躊躇いもあるが……その為に魔術師としての精神を持っている、と言っても過言じゃない。
 魔術師は人にあらず。己の目的の為に感情を殺し、合理的に動く生き物だ。根源へと至る為に、抑止力に気づかれぬようありとあらゆる可能性を模索する。俺は根源などに特に興味を覚えないので、その魔術師としての精神だけを習得した。
 俺にとっては、退魔師としての自分が本来の自分なのだ。

「紹介が遅れたな。私はこの人里で寺子屋の教師をしている上白沢慧音だ。こっちは」

「……藤原妹紅。迷いの竹林の中に住んでるわ。呼ぶときは妹紅でいいよ」

 無愛想だが、決して冷たくはない感じ。それが俺の藤原妹紅という人物に対しての第一印象。慧音……さんは、年上の頼りがいのありそうなお姉さん、という感じ。我ながらもっといい言葉は浮かばないのか、と思うがそう感じるから仕方ない。

「改めまして、稗田阿求と申します。幻想郷縁起、という本を書いている者です」

「何の本なんだ?」

「幻想郷に関する様々な事柄や、妖怪や妖精、亡霊など人間にとって危険な存在を書き記しています。それの対策方法や、主な遭遇場所や活動時間などもですね」

 なるほど。その幻想郷縁起とやらを見て知識を得ていれば、仮に危険な相手に出会ったとしても生き延びられる可能性が出来るわけか。弱い者なりに出来る対策だな。
 ただ、俺は一番恐ろしいのは人間だと思うけど。

「それで、相沢君?」

「祐一で構いませんよ、慧音さん。苗字で呼ばれるのは好きではないんで」

 口がすっぱくなるほどに言い続けてきた言葉。理由を思い出すのも億劫だ。

「では祐一と呼ばせてもらうよ。君はどうやってこの幻想郷に?」

「ゆかりんに連れてこられました」

「ゆかりんっ?」

 妹紅が素っ頓狂な声を上げた。声を出さないが、慧音さんに阿求、平蔵の爺さんも微妙そうな表情。むー、なんか呼び方が恥ずかしくなってきた。さゆりんとかおりんレベルに言いやすいんだが。
 くっくっくと変な顔をしていた妹紅が、笑い始める。最初は抑えていたみたいだが、徐々に声が大きくなっていく。

「あははは! なにあのスキマ、そんな風に呼ばせてるの!? だめ、おなか痛い!」

 笑い転げる妹紅に、慧音さんがため息をつく。しかしその顔はどこか笑いをこらえているように見えて。ゆかりん、皆に笑われてるぞ。

「落ち着け妹紅。こほん……で、祐一。君はすぐに帰る算段なのかな? もしそうなら、私が霊夢の所まで……いや、博麗の巫女のことを知っている、ということは誰かから既に伝え聞いたのか?」

「いや、本人に会ってますよ。博麗神社で」

「む、八雲紫に飛ばされた場所があそこだったのか。なら、すぐに帰らなかったのは?」

「幻想郷の話を聞いて、興味が湧いたので暫く滞在して観光でもしようかな、と」

 やっぱり変な顔をされる。まぁ、幻想郷は妖怪がわんさかいるらしいから、普通俺のような外来人が来た場合すぐにでも帰るみたいだが。生憎とそういう存在には慣れっこなので、特に身の危険を感じたいんだよな。
 ……危険度で言うなら、アルクェイドとかセイバー達の方がよっぽどだし。星の守護者に過去の英雄様だしね。

「とりあえず幻想郷での有名どころと言えば、白玉楼に紅魔館、永遠亭、三途の川、太陽の畑、魔法の森などあげられますね」

「あー、紅魔館は別にいいな」

 もう行った後だし、そこに住んでるし、今日も帰るし。

「どうやらあそこの危険度は知っているみたいだな。いい判断だ」

「あぁいや、そうじゃなくて。俺、今あそこで間借りさせてもらってるんで」

 驚愕の声。よく無事でいられるなとか、正気かとか、まさか食料として捕獲されたのかとか、いろいろ言われる始末。
 ……紅魔館、予想よりも危険なところらしいな。まぁ、吸血鬼の住む館だしあそこにいる人間は咲夜ぐらいだから、危険度は確かに高いんだろう。今更だけど。

「等価交換として血液ぐらいは要求されたけど。献血とさほど変わらないだろうし」

「吸血鬼に血を吸われるのを献血と一緒にする……? あなたの頭、大丈夫?」

 なんつー失礼な物言いだこのもんぺ。シオンとかさっちんとかライダーとか、献血みたいなことは何度かしてるし。その度、レバーとか食って血液は補充してる。
 ライダーに血を提供する時に、なんか濡れた目で見つめられた時はすんごいあせったが。あれは貞操の危機だったね。

「妹紅殿、その言い方は少し失礼だと思いますよ。流石に少し言いすぎ……うぅっ」

「爺さん、どうした?」

 腹をおさえて平蔵爺さんが唸る。問いかけるが、ただ痛みに耐えるだけで精一杯なのか返事は返ってこない。
 まずいな、怪我の応急処置程度の知識はあるけど本格的な医療知識はないんだが。

「この辺りに医者は?」

「人里にはいないんだ。妹紅の住んでいる迷いの竹林の中の永遠亭になら、薬師がいるんだが」

 気休め程度にだが、爺さんの背中を擦りながら慧音さんがそう答えた。そこから連れてくるには時間がかかりすぎるか。ならこっちから出向いたほうがよっぽど早い。

「妹紅、頼めるか?」

「任されて。平蔵、永琳のとこまで連れて行ってあげるから」

「なら、俺が爺さんを抱えるよ。妹紅は案内してくれるか?」

「……わかった。でも、ちょっと急ぐからスピード出すわよ?」

 それに笑みで答え、平蔵爺さんを背中に背負う。走り出す妹紅の速度は確かに、かなり速い。だけど決して追いつけない速さでもない。むしろ追い抜けるほどだ。背中の平蔵爺さんを落とさないよう気をつけながら、妹紅の案内で迷いの竹林とやらに到達。
 辺りを見る暇もなく、竹林に突入し妹紅が走る後を追う。なるほど、迷いの竹林という名前は確かにぴったりだろう。見渡す限り同じ景色に見え、もし迷ってしまえば自分が今どこにいるのかわからなくなり遭難してしまう。

(七夜の森もここまでひどくはなかったな。ちゃんとした道順は後で聞いておこう)

 目の前を走る妹紅の背中を、見失わない程度に意識を周りへと向けながら追う。背中で未だ苦しむ爺さんを励ましつつ、目的地である永遠亭とやらにつく。

「兎! 急患よ、永琳の奴呼んで来て!」

 玄関に駆け込み、怒鳴るように妹紅が誰かを呼ぶ。すぐにどたどたとこちらに走ってくる足音が聞こえ、玄関に現れたのはセーラー服(にしか見えん)を着込んだウサ耳少女。やはりというか、退魔衝動が疼く。幻想郷は妖怪の宝庫みたいだし、行く先々で反応するんだろうが……疲れる。

「……後ろのお爺さんが急患? こっちへ」

 ウサ耳少女の後をついていき、青と赤がセンターで分けられているかなり独創的(あまりこの表現を使うことはないんだが)な服を着た女の人がいる場所へ。

「ここへ寝かせて。診察するから、貴方達は外に出ててもらえるかしら」

 言われた通り彼女に爺さんを任せ、俺と妹紅は外へ。勝手知ったるなんとやら、妹紅はずんずんと先を歩くのでそれについていく。和風の外観を裏切らず、中も見事に和風。幻想郷の建物のほとんどは昔の和風建築。例外は紅魔館ぐらいだろう。
 衛宮の家に近いので、俺は落ち着くが。

「永琳に任せれば大丈夫でしょう。腕はいいし」

「なら良かった。妹紅はこれからどうするんだ?」

「平蔵が治るのを待つわよ。人里まで連れて帰らなきゃならないし」

 アンタは、と視線で問いかけてくる。爺さんが倒れるというアクシデントがあったが、俺の本来の目的は幻想郷の観光だ。先ほど阿求に聞いた幻想郷の有名どころの一つにいるんだから、少し探索しても罰は当たるまい。俺の行動自体は行き当たりばったりだし。

「そうか。俺はこの……永遠亭だったか。色々調べてから帰るわ」

「……一つだけ忠告しとくわ。ここに輝夜、ってのがいるけどそいつには気をつけなさい」

「かぐや?」

 衛星探査機みたいな名前だな。あ、いや、あれはロケットの名前だったか? まぁ、どっちでもいいや。でも、なんで名指し。

「おや、珍しい。妹紅がこんな所にいるなんて」

 むぅ……さっきから断続的に衝動が。負けるつもりはないが、こうも連続で来られると少しまずい。

「アンタ、いたの?」

「そりゃいるよ。ここに住んでるんだから」

 やってきたのはまたウサ耳少女。それも結構背の低い。二号か。

「ありゃ、お客? お近づきの印にお一ついかが?」

 そう言って首からぶら下げたちっこい賽銭箱を揺らす。これは……賽銭くれってか。博麗神社にも入れたとこなんだが、まぁこれぐらいのサイズなら少しでいいだろう。
 財布から500円硬貨を取り出し、奉納(賽銭箱だし、こっちの方がしっくりくるだろ)する。

「毎度ありー♪ いいことあるよおにいさん」

「そりゃどうも」

 話半分程度に聞いておこう。胡散臭いことこの上ないし。

「んで、何の用? 怪我人、とは違うみたいだし」

「病人を運んできただけだ。んで、ついでに幻想郷観光の目的の一つでも果たそうかと」

「……外来人か。うーん、私の知ってる限りだと外の世界にすぐに帰りたがるか、こっちに永住しようとするかの二択だったからね、その行動は珍しい」

 そりゃまぁ、少なくとも一般の人間がこんなところに迷い込めば帰りたくなるのも頷ける。永住は……住みやすそうとか、気に入ったとかそんな理由だろ。俺は自分の帰るところがあるが、興味があるので観光という選択をとっただけ。

「ま、私らにはあんま関係ないか。自己紹介が遅れたね、私は因幡てゐ。ここの兎達を取り仕切ってる頭だよ」

 頭と来た。まるで暴走族とかそんな言い方だ。

「相沢祐一だ。短い間だろうけど、よろしく」

「こっちこそ。具体的にはいいお付き合いでいたいね」

 にしし、といった笑みを浮かべる。いかんな、これは弱みを握らせるとこっちが食われるぞ。俺の長年の勘が告げている、決してコイツに油断するなと。

「そうだな、いいお付き合いでいたいな。俺にとって」

 油断すれば食われる。決して弱みは見せてはならない。相手の裏の裏の裏の裏をかき、自分の有利な状況を仕立て上げる。自分は常に上位にいなければならない。
 それが勝者だ。

「……何やってるの、そこの二人」

「知らないわよ。良くわからないけど、関わり合いにならないほうがよさそうよ? この二人からは同じ匂いがするし」

 む、いつの間にやらさっきのウサ耳少女一号が。ここはウサ耳少女の楽園なのか? だとしたらなんてところだ、天国かここは。北川、俺は今理想郷の一つに辿り着いたみたいだ。
 羨ましいだろう、でも変わってやんね。寧ろ変わったら北川の人生が終わりそうだ(生命的な意味で)。

「むむ、それはどういう意味だもこもこ」

「誰がもこもこよっ。変な名前で呼ばないでくれる?」

 可愛いだろうに、もこもこ。久しぶりに祐一さんの中にある偉大なる小宇宙の一つ、乙女コスモが働いてくれた結果だというのに、何が不満なのか。
 かつては殺村凶子にピロシキ、かおりん、さゆりんといった名前を生み出した俺の乙女コスモ。皆に評判なんだぞ。

「んで、そこのウサ耳少女一号」

「一号って何!?」

「名前知らないし。仮面なんとか一号みたいでかっこいいだろ?」

「意味がわかんないわよ……」

 やはり女子にはわからん世界なのかね。いや、そういう俺も詳しく知らないんだが。

「鈴仙・優曇華院・イナバ」

「冷麺・うどん・イナバ物置?」

「最後のは明らかにおかしいでしょ」

「何故ばれたし」

 それはともかく、ミドルネームもちとか格好いいじゃないか。イリヤみたいで少しあこがれる。でも俺の名前は日本人のもんだし、そこにミドルネームが入るとお前どこの厨二病患者だってなるからなぁ。俺は邪気眼とかそういった病気にはかかったことなのが自慢なのだ。
 存在自体が厨二だとか言う奴はその後の人生で永遠とからかい続けてやる。

「相沢祐一、外の人間だ。よろしく」

「よろしく。さっきのお爺さんだけど、師匠がもう大丈夫って言ってたわ。食中毒だったみたい」

 む、食中毒なんてそうすぐ治るもんなのか? ああいうのって入院して治療すると思うんだけど。病気に関する知識はまったくないから、わからない。
 まさか、俺は脳筋族なのか!?

「連れて帰っても大丈夫?」

「構わないわよ。今は眠っているから背負って帰ってあげて。念の為、安静にはさせておいて」

 軽くショックを受けて落ち込んでいる俺の耳に、先ほどの医者の女性の声が聞こえる。

「あら、見ない顔ね。妹紅、貴方の良い人?」

「んなわけないでしょう。外来人よ」

 なんでもないように振舞う妹紅の頬が少しだけ赤くなっているのを見逃す祐一さんではない。後でからかってやろ。

「初めまして、この永遠亭の薬師、八意永琳よ」

「どうもご丁寧に。俺は相沢祐一、退魔師を生業としてます」

 握手を求められたので、手を差し出す。今更なんだが、なんでこう俺の周りは美人やら美少女やら幼女(?)やらが多いのか。もう少し、男っ気が欲しいんだけどなぁ。
 北川やら志貴やら以外にももう少し男友達が欲しい。

「で、外来人の貴方は何故ここに? どこか怪我でもしたのかしら」

「や、爺さんを連れてきたついでに、幻想郷の有名所の一つの永遠亭を見ようかと思いまして。俺の目的は幻想郷の観光なんです」

「物好きねぇ。特に面白いものがあるわけでもないわよ? うちにはうどんげにてゐ、兎達と姫がいるぐらいだし」

 ……姫? なんだ、ここには貴族とか王族とかいった偉い人がいるのか。それが没落したことによっているのか、自ら望んでここにいるのかによってかなり意味が変わるけど。

「姫ねぇ」

「会ってみる?」

「普通、そういう偉い人には会わせないんじゃ?」

「別に構わないわよ。姫も最近ひどく退屈なされているみたいだし、暇つぶしにでもなればと思ってのことだし」

 あー、確かに退屈は辛い。俺自身がトラブルメーカーであるから退屈とはそれなりに無縁なんだが、それでも時々退屈になると、何もかもに嫌気がさすんだよな。

「やめときなさい、祐一。輝夜と会っても何も面白くないわよ」

「む、そう言われると余計に会いたくなってくるんですが」

「天邪鬼な奴ね……人の忠告は素直に聞いておきなさいよ」

 だが断る。ダメといわれるとやりたくなるのが、人間の性というモノでしょうに。にしても、姫でかぐやねぇ。竹取物語のかぐや姫じゃあるまいし。

「んじゃ、お言葉に甘えて会ってみようかな。元々、観光目的だし色々な奴と交流を深めるのも醍醐味の一つと思うし」

 いいと言われてるんだ、お言葉に甘えるとしよう。それに、どこに面白いことが隠れているかわからないしな。




 ※次回の予定。

 輝夜と遭遇して、帰るのは決めてます。その後の話は、紅魔館での一日か、どこかへまた行かせる(その場合、香霖堂予定)つもりです。後は、最初に出てそれっきりの霊夢・魔理沙組とか。
 結構書くのが難しいなぁ、東方はw キャラ全員、何かしら癖のある性格してるし。

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四話 空を飛んで人里にいこう。

 玄関口で話している時間がもったいない。ゆかりんと共に衛宮家の敷居をまたぎ、居間にいるだろう遠坂達に一声かけていくことにする。

「よう」

 居間にいけば案の定、寛いでいる遠坂達の姿。頬杖をつきながらテレビを見ていた遠坂が俺へと向き直る。

「相沢君、何処行ってたの?」

「んー? ちょっと爺さんの姦計にはまって異世界に。戻ってきたわけじゃなく、荷物取りに来ただけだけど」

 は? とでも言いたげな表情になる。俺達のやり取りを見ていたセイバーとライダーが、やってきたゆかりんを見て顔を険しくする。ライダーに至っては傍にいた桜ちゃんを庇うように立つ。
 いきなり自分を庇うような行動に出たライダーに、桜ちゃんは目を白黒。

「ちょ、どうしたのよ二人とも」

「リン、できるだけこちらに。ユウイチ、彼女は何者です?」

 武装化はまだしていないものの、すぐにでも斬りかかってきそうな気配だ。ふむ、ゆかりんが人間じゃないのを察したのか。そんな俺達に追いついて横に立つ士郎を見て、セイバーがさらに焦る。

「シロウ、すぐにそこの女性から離れてください!」

「え、な、なんだよセイバー。どうしたんだ?」

 ――なんか面白そうだから、悪乗りしてみようか。体を回転させて士郎の隣へと移動し、後ろから拘束して七ツ夜を首の近くで固定する。
 今の状況は、立派に人質を盾にして言うことを聞かせようとする強盗の図。

「ゆ、祐一!?」

「動くな。おっと、一歩でも動いてみろよ士郎の首が飛ぶぞ?」

「相沢君、一体何を……!?」

 突然の俺の奇行に戸惑いを隠せない面々。それは無論、ゆかりんも同じこと。目をこちらに向けて一体何を、と問いかけているようにも見える。

「紫様、ご命令通りいたしました。この後どういたしますか?」

「へっ?」

 困った顔になるゆかりんがぷりちー……いや、なんでもない。内心笑いを堪えながら、努めて顔を無表情に。

「くっ、ユウイチは既に篭絡済みだったのですか……! 貴様、一体何が目的だ!」

「え、ちょっと、私は何も……」

「よく分からないけど、相沢君が洗脳か何かされてるみたいね。少なくとも士郎より警戒心が強い相沢君が操られるなんてよっぽどよ。アンタ、何者?」

 ひどい言い草に俺の腕の中で士郎がうな垂れた。少々可哀想になったので、肩を叩いて慰める。こっちを振り向いた士郎が、縋るような目で俺を見てきた。
 俺は笑顔で親指を上げて言ってやる。

「大丈夫、事実だとしても俺は士郎の味方だぞ!」

 泣き出した。うーむ、追い討ちはちょっと外道だったか。士郎を解放して、今度こそ本当に慰める。突然素に戻ったように見えた俺に、セイバーは首をかしげた。

「……ユウイチ? 操られているのではないのですか?」

「いや、そんなこたーないが。今のは面白そうだから俺がそういう振りをしただけ」

 素直に答えて、返事にみかんが飛んできた。口で受け止めてそのまま美味しく頂く。うむ、この甘酸っぱさがいいやね。

「まったく、迷惑な。で、彼女は何者ですか?」

「どうも初めまして。私は八雲紫、幻想郷に住む一人一種の妖怪ですわ」

 人間ではない、という告白にサーヴァント組を除いた面々が表情を硬くする。士郎はゆかりんを眺めて首をかしげ、遠坂は士郎と同じようにしながらも何かを考えて込む。桜ちゃんは不安そうに事の成り行きを見守る。

「って、妖怪?」

「えぇ、現代では最早幻想となった存在。人間を襲い、時には食料として食べる生き物。幻想郷にしか存在しない……っと、これはこちらの世界だけですわね」

 人間を食料にする、という下りで士郎が顔色を変える。聖杯戦争において、桜ちゃんという大切な人を守るために正義の味方を目指すことを諦めた士郎だが、やはりその根底には正義の味方が息づいているのだろう。仕方のないことではある。
 セイバーとライダーが妖怪とは何か、と遠坂に尋ねている。詳しく説明するのはきっと難しいだろうと思っていれば、案の定吸血鬼みたいなもんだとかなりかいつまんで説明していた。

「ヤクモユカリ、でしたか。貴方は何故、ユウイチと共に?」

「ゼルレッチに面白い奴がいる、って言われてね。気に入ったから幻想郷に招待しましたの」

「ほとんど拉致だけどな」

 あれを招待というのなら、辞書で意味を調べなおすことをお勧めする。俺のスタイルは攻めるほうであって、攻められるのは相手。させられるままで終わってたまるか。

「俺は用意してくる。ゆかりんはお茶でも飲んで待っててくれ」

「はぁい」

 朝と同じように我が家のようにリラックスしているゆかりんを放置し、俺は衛宮家の自分の部屋へ。その途中に水瀬家に電話を入れ、暫くの間連絡が取れなくなることと会えなくなることを伝える。ランサーにも伝えておいてもらうよう伝言を頼み、電話を切る。
 部屋へと戻り、旅行などに使うキャリーケースに着替えの服や日常品を詰め込んでいく。無論、仕事などで使う道具なども一緒に。

「うーん……流石に嵩張るもんは持っていけないな……」

「そんな時は私がいれば一発解決ですよ!」

「お、久しぶり? ルビー」

 ベッドの上でぴょこぴょこと跳ねる可愛げのあるステッキ。男である俺が持っても到底似合わないそれは、だがしかし俺の最高の相棒でもある。もちろん、人をからかったりする時などの。

「ひどいですよマスタぁ。私という(主に凛さんをからかう為の)伴侶を置いていなくなるなんて。はっ、まさかどこかで新しい(凛さんを一緒にからかう)相手に浮気を!?」

「相変わらずその本音が隠せないところ、最高だなルビー」

「いやぁ、照れますねー」

 これが士郎なら褒めちゃいねーのである、というところ。まぁ色々と問題のある部分だが、付き合っていてかなり楽しいので問題ねーのだ。
 人格が琥珀さんベース、というのも関係ある。あの人とは気が合うし。

「で、どこへお出かけですか? もちろん私も連れて行ってくれますよね? 何せ私とマスターは(からかいの)運命共同体なんですからー。きゃっ、ルビーちゃん恥ずかしい☆」

 器用に本来曲がる筈のない部分をくねらせながら、ルビーが照れる。一体どういう材質で出来てるのか常々疑問に思う。

「ゼル爺さんにはめられて飛ばされたところだが、面白そうなんで暫くそこに滞在しようと思ってな。ふむ、ルビーも連れて行くか」

 何せ、俺の最強の相棒でもある。このまま置いていくと拗ねることは明白。そして何より、遠坂が普通に捨てるかもしれん。あれは心底ルビーを敵視しているし。
 さもありなん。過去のことを聞いたから、多少の同情はする。

「あのクサレ爺ですか」

 相変わらずゼル爺に対して容赦ない。琥珀さんはゼル爺とは気が合うのに、何故ルビーはこうも毛嫌いするんだろう。ベースが琥珀さんなのに。
 製造過程で何か問題でもあったんだろうか。

「しかしマスターが行くのなら私も行きますよっ。むふふふふ、ルビーちゃんのお眼鏡に適う理想的な(からかえる)人がいるといいですねぇ♪」

「世界は広いんだ、探せばいくらでも見つかるさ。それに……俺らにとって全員が獲物だろ?」

 ニヤリと士郎が言う"くろいまおう"の笑みを浮かべる俺。そう、相手をからかえるからするのではなく、自分がからかいたいからする。それが俺達のスタンスなのだ。相手が誰だろうと俺達を止めることなど出来ない。ルビーもそれを分かっているのか、チカチカと核(らしきもの)を光らせる。
 背中にルビーを背負い、荷物を纏めた俺は居間に戻る。

「すまん、待たせたゆかりん」

「皆さんお待たせしましたっ、ご期待に答えてマジカルステッキルビーちゃん、戻ってまいりましたよー!」

 ハイテンションなルビーを見たゆかりん以外の面々が顔を強張らせて後ずさった。セイバーなんぞ武装化+エクスカリバー装備。

「皆さんの反応にルビーちゃんを悲しみが襲いましたっ。なんですか、そんな危険物とか敵を見るような目は。仲間だっていうのに、冷たい人たちですねー」

 ぷんぷん、と背中で剥れる。

「アンタの今までしてきた行いを考えなさいよ、この欠陥品!」

「まっ、(羞恥の限りを尽くすことについて)最高傑作である私を欠陥品呼ばわりとは、凛さんも見る目がありませんねー。ルビーちゃん、こんなに良い子なのになんで嫌われてるんでしょうか」

「なー? 俺も時々皆から仲間はずれにされるんだよ。一体何をしたっていうんだろうな?」

 お互いに顔を(杖に顔というのも変だが)見合わせて首を傾げる。二人とも理由は明白で分かりきっているが、こうやってからかうのが楽しいからやめられない。
 案の定、どの口が言うかというツッコミが全員から入る。ぬはは。

「んじゃ、戻るか。ゆかりん、頼む」

「えぇ、スキマ展開~」

 指を一振り、虚空に開くスキマ空間。魔術師である遠坂と桜ちゃんからすれば、それはきっと目を疑うような出来事。慣れたとはいえ、やはりゆかりんが妖怪なのだと改めて認識させられる。

「つーわけで、暫く留守にするわ。いつ戻るか分からんけど」

「分かった。体に気をつけろよ?」

 片手を挙げてそれに答え、スキマを通って再び幻想郷の紅魔館へ。ゆかりんと別れ、戻ったことを咲夜に伝え風呂を借りることに。入浴シーン? 男の入浴シーンなんぞ誰が得するというのか。そんなものありはせん。
 洋風の屋敷だけあり、風呂場も西洋風で広かった。なんというか、銭湯的な広さというか。たまにはああいう広い風呂もいいものだ。宛がわれた部屋へと戻ると、ルビーが所在なさげにベッドに座って(立って?)いた。

「湯上り姿の男性というのも魅力的ですねぇ。ルビーちゃん、思わず赤面☆」

「顔がないのに赤面と申すか」

 漫才なのかよく分からないやり取りをかわしながら、荷物を整理する。昼寝をしたせいで眠気はまだない。暫く滞在することになるのだから、ある程度過ごしやすいように荷物を分けておいていく。衣服類はクローゼット、仕事用具はキャリーケースにいれたままベッドの横へ。
 分けるといっても、大したものはないのですぐに終わる。やることもなくなり、眠気がくるまでベッドに横になりながら持ってきた本を読む。ルビーと時々会話をしながら、次第に意識がまどろみの中へと消えていった。






「えー……これから空の飛び方を教えたいと思います」

 翌朝、場所は紅魔館の前に広がる湖。目の前には紅魔館の門番、紅美鈴。空の飛び方をしらない俺に教える役目は、美鈴になったらしい。

「……といっても、どう教えたらいいかわからないんですけど」

 困惑した顔である。まぁ、普段気にせず飛んでるから仕方ないと言えば仕方ない、のか?

「まぁ、話を聞いただけだが元々飛べるみたいだけどなぁ。とっかかりがないことにはなんとも」

「えっと、とりあえず一緒に飛んでみましょうか」

 美鈴が俺を抱えて空を舞う。やっぱり妙な感覚だ、生身の体で何も使わずこうして空を飛んでいるというのは。今の俺は美鈴の飛行の恩恵に預かっているだけだとしても。

「うーん、どうしましょう」

「元々飛べるけど、必要になるまで飛ばないとか聞いたなぁ」

「飛ぶことが必要になる状況……あ、落ちるとか?」

「あー、でも俺しょっちゅう落ちてるような気がする」

 閃鞘・八穿改とかで。聖杯戦争中はよく空中から自由落下してました。よくよく考えれば中々シュールなことしてるよな、俺。

「まぁ、やってみましょう。はい」

「はっ、っておいいいいいい!?」

 美鈴の手の感触が消えたと思えば地面に向かって真っ逆さま。いきなりのことだったので、少しパニックになる。真下は湖、このままだと水に叩きつけられて痛いどころではない。

「くっそ……ッ!」

 体勢が悪く、もう距離がない。せめてダメージを少なくするために、体を小さく丸め衝撃に備える。こういう時に飛べたらどれだけ……!
 風を切り、俺の体は湖面へと叩きつけられ……るはずだった。

「……?」

 いつまで経っても俺の体は水の中に行くことはなく、目を瞑っていた俺はどうなっているのかを確認すべく目を開けた。周囲の景色は止まり、顔を下に向ければ手に触れられる位置に湖。そして僅かに感じる浮遊感。
 恐る恐る、体勢を立て直す。俺の脚は、水面につくことなく宙に浮いている。

「これ、飛んで……るのか?」

「いや、意外とすんなり出来ましたね」

「う、うーん……あまり実感がない。でも、飛んでるよなぁ」

 感覚が飛んでいるのだとだんだん、理解してくる。そうなると後はその感覚を頼りにするだけで事足りた。高度調整を覚え、移動スピードの調整(まだそんなに速度は出せないが)、軌道修正なども自由自在。なるほど、確かに元々飛ぶ機能があったというのは嘘ではないらしい。
 こうも早く慣れるということは、元々その感覚があったからに他ならない。それを使う機会がなく、いつしかないものとして扱うようになったのだろう。

「実際、空を飛ぶことなんてないだろうしなぁ」

 地味に疲れるのである。幻想郷で言えば霊力、俺達で言えば魔力といった不可視の力が少しずつ消費されていくのを感じる。でも、こうして自力で飛ぶという行為が出来たことはかなり大きな一歩だ。幻想郷限定のスキルというわけでもないだろうから、外に戻ってからも使えるかもしれない。
 幻想郷にきて良かったと思える要素が一つ増えた。リアル舞空術を使えるようになるとは……男が憧れる特殊能力の一つだからなー。

「これで弾幕も出せれば、すぐにでも弾幕ごっこが出来ますね。あ、スペルカードの製作もか」

「や、別にそこまでは求めてないからいいんだが」

 残念ですねー、と美鈴がさほど思ってなさそうな顔で呟く。レミリアからほんの触りを聞いただけだが、俺自身はその弾幕ごっことやらには興味がない。別に覚えるのは構わないが、それを行うという気分に恐らくなれないだろう。
 俺はあくまで魔術師(もどきだが)であり、退魔師。そしてこの幻想郷の住人じゃあない。いつか去るのだから、染まるわけにもいくまい。

「にしても、いきなり落とすか普通。突然だったから本当に焦ったぞ」

 練習ついでに紅魔館へと飛びながら、俺は美鈴に文句を漏らす。

「いやぁ、大丈夫ですよ。飛べなかったとしても水に落ちるだけですし」

「それが、問題、だと、言って、るんだ」

「い、痛い痛い痛いっ!? やめ、地味に痛いのでやめてー!」

 伝家の宝刀、うめぼしで美鈴を攻撃。空中に浮かびながらというのが、なんともその光景をシュールにしていると思う。気が済んだので美鈴を開放する。
 ぶつくさ文句を言いながら、美鈴が俺を非難するように見る。自業自得だと言っておく。思ったよりも早く終わったので、美鈴は門番の仕事に戻り俺は買い物に行くらしい咲夜についていくことにした。ルビーは生憎とお留守番である。ぶーぶー言っていたけど、また連れて行くからと説得したので大丈夫だろう。
 咲夜が飛ぶのにあわせて俺も体を浮かせる。

「本当に飛べるようになったのね」

「祐一さんもびっくりだ」

 ふよふよと移動しながら咲夜と会話。これから向かうのは幻想郷で一番大きい人里。といっても、まともに人が住んでいるのはそこぐらいらしい。下手に外に出れば妖怪の餌食にされるが、人里にいる限りは妖怪は人間に手出しをしない、という決まりがあるとか。
 なんともまぁ、奇妙なルール。まぁそうでもしないと人間なんか一瞬で食事にされて終わりか。そう思うとよく出来たルールだ。

「買い物、手伝ったほうがいいか?」

「別にいいわよ。貴方は観光が目的なのでしょう? なら、そっちを優先すればいいわ。いつもやってることだから、慣れてるし」

 そういうことなら、と俺は納得する。暫く話をしながら、時折周囲に目線を動かして景色を眺めて移動し続け、目的地である人里に到着。帰り道の心配(といっても、言葉だけだ)をする咲夜と別れ、幻想郷の人里を歩く。
 俺がいる現代とは違い、やはり服装もどこか古めかしい。見慣れない俺の姿と服装が気になるのか、時々視線が飛んでくる。外来人っていうのは、やはり珍しいのか。
 さて、人里に来たはいいがどうするか。目的も何もないので、どう行動したものか判断に困る。

「お若いの。もしや、外の人間かい?」

「え? あぁ、そうですよ」

 唐突に話しかけられる。相手は年老いた老人。

「そうか、幻想郷では見慣れぬ服を着とるからもしやと思うたんじゃが。迷い込んだ口かい?」

「いや、迷いこんだというか、招待されたというか、拉致されたというか」

 実際どうなんだろう。方法は拉致そのものだったけど、俺自身は観光する気満々だから招待とも言えなくない。曖昧なところだ。

「八雲紫に神隠しでもされたんじゃろう。災難じゃったのぅ」

 ばれてーら。

「はは……でもまぁ、面白そうなので暫くこっちにいようかと。外に帰してくれるとは言ってましたし」

「なんとまぁ、珍しい。それならええんじゃが……何やら、迷っておるようだが」

 む、顔に出したつもりはなかったんだが。途方にくれている空気でも醸し出していたんだろうかもしかすると。

「えぇ、観光にしにきたはいいんですが、どうしたものかと。こっちで知り合った人間と一緒にきたのはいいんですが、用事があって別れたんです。土地勘がないから、どこを見て回るべきか考えてまして」

「なるほどのぅ。良ければ、詳しい人の所の案内できるが」

 いいんだろうか、と尋ねると困ってるのなら助けが必要だろうと返される。ごもっともで、とお爺さんに礼をいいその詳しい人のところへと案内してもらうことになった。




 さーて、次回の東方雪花縁は?

 祐一に捨てられたルビーは傷心のあまり、紅魔館にいるパチュリーに目をつけた。彼女は魔法使い、そして自分は魔法の杖。魔法少女になるには十分すぎるほどのスペック。
 さらには、可愛らしい使い魔(小悪魔)までいる始末。

「これはもう天が私にやれと言っているに違いないですねっ。例え言われなくてもやりますけど☆」

 紅魔館に悪夢が訪れる。ルビーによって意識を乗っ取られ、パチュリーは魔法少女へと転身してしまう。そしてマスコットキャラへと変化させられ、ルビーのストラップと化す小悪魔。

「しょ、正気に戻ってくださいパチュリーさまぁぁ!」<涙目

「私は正気よこぁちゃん。さぁ、幻想郷に愛と正義とジェノサイドを振りまきにいくわよ♪」<ハイライトなし

「誰かとめええええええええええ!!」

 暴走するパチュリー(とルビー)。そのあまりのはっちゃけぶりに、レミリアは幼児化し、咲夜は現実逃避、フランドールは引き篭もり、美鈴は眠る。
 そして現れるもう一人の魔法少女。

「何やってるんだ、パチュリー?」

「あら魔理沙。そうよね、魔法少女にはライバルが必要よね」

「何の話だ……?」

「貴方が二人目の魔法少女になるって話よ」

 巻き込まれる魔理沙。嫌がる魔理沙をルビーは襲い、めでたく二人目の魔法少女が誕生する。ちなみに意識は魔理沙のまま。

「別に服はあれでいいだろ!」

 そんな魔理沙の服装はゴスロリ。これはひどい。

「魔法少女はゴスロリと相場が決まってるんですっ。似合ってますよ魔理沙さん、あはー!」

 自重しろ杖。逃げだすも、それをパチュリーが追い魔法合戦。弾幕ごっことか関係なし、ただの砲撃合戦が始まる。

 次回、魔法少女むきゅむきゅパチュリー 第99話。

 『新たな魔法少女現る! ウフフ魔理沙よ、魔法少女は一人でいいのよ、貴方はそこで地べたに這い蹲って辛酸を舐めるといいわ! ちなみに私はチョコパフェが大好き☆』

 合言葉は今度もむきゅむきゅ♪


 ※この次回予告には嘘が含まれています。

三話 紅魔館での一夜

 フランドール・スカーレットは長い年月の間、地下室に幽閉されていた。それは彼女の能力が危険すぎるというが理由の一つ。もう一つは彼女の精神が非常に不安定ゆえ、もし外で彼女の能力である"ありとあらゆるものを破壊する程度の能力"をふとしたことで使ってしまい、八雲紫が危険と判断し処理されることをレミリアが恐れたからだ。
 そんなフランドールだが、霊夢や魔理沙といった人間と付き合うことによって多少なりとも情操教育になったらしく、精神も安定していた。レミリアも館の中ぐらいなら、自由に出歩かせることを許可するぐらいに。八雲紫も幻想郷に危険が及ぶようなことがなければ動かないと明言したことも大きい。
 無論、彼女の能力が危険であることに変わりはない。さらに言えば弾幕ごっこをしたがる癖もなくなってはいない。魔理沙がやってきた日など、必ず弾幕ごっこをせがむくらいである。毎度受けるわけではないが、頻繁にやっているのは事実。その度、報酬と嘯いてパチュリーの図書館から本を盗んで、もとい、借りていく。

「ひまー。ひまーひまー」

 紅魔館は吸血鬼の住む館であり、構造上外の光が入らぬよう、窓というものがほとんどない。やや薄暗い廊下を、件の人物であるフランドールが歩く。魔理沙や霊夢がやってこない日は、彼女にとって退屈でしかない。一日ずっと地下室に篭っているのも、正直息が詰まる。彼女はそれを人間にとっては気の遠くなるほど耐え続けてきたのだ。
 今ではごめんだが。

「何か面白いことないかなぁ」

 彼女にとって面白いこと=弾幕ごっこである。魔理沙がくれば万事解決するのだが、その代償は何故かまったく無関係であるパチュリーが被ることとなる。そしてまた図書館にて、「もってかないでー」という彼女の悲鳴がこだまするのだろう。
 つまらなさそうに廊下を歩き続けるフランドール。いくつもある部屋のうちの一つを通り過ぎたところで、知らない気配を感じた。

「……?」

 じーっとその部屋のドアを見つめる。ここは滅多に使われない紅魔館の客室。誰も使っているはずのない部屋なのだが……静かにドアノブに手をかけて部屋に入り込む。
 視線の先にはベッド、そこにフランドールの知らない人間が寝ている。しかも、男。実はフランドール、男という存在を見たことがなかった。レミリアや咲夜からある程度は聞いていたが、実際に目にするのは初めて。ゆっくり音を立てないよう、ベッドに近づいて寝ている人間を覗き込む。

「これが男なんだ……」

 静かに寝息を立てている人間――祐一。じーっと見つめていたフランドールだったが、流石にすぐに飽きてくる。しかし、すぐに疑問に感じた。
 なんでここに人間がいるのだろう、と。客間に寝かせている、ということは少なくとも自分達の食事の為ではない。そういう人間は、地下に繋ぎとめるかすぐに"調理"していると彼女は知っている。

「お姉さまのお客なのかな」

 そう考えるのが自然だろう。そうなると、あまり関わらない方がいいかもしれない。またレミリアに怒られるだろうと考え、フランドールは祐一を覗き込むのをやめようとした。
 それより先に、祐一が目を覚ましたことによって無駄に終わったが。





 至近距離に見知らぬ女の子の顔。そしてきつく反応する退魔衝動。あまりにも唐突すぎたせいで、一瞬息が詰まる。衝動に任せ、魔を全て狩りつくそうとする意思を抑え込む。七夜を形成しているこの衝動とは、どう足掻いた所で別れることは出来ない。
 結局のところ、折り合いをつけて生きるしかないのだ。慣れてしまえば、どうとでもなるし。

「あ……えと」

 俺が目を覚ましたことに驚いたのか、女の子は何かを言おうとして口をつぐむということを何度か繰り返す。とりあえず、こっちから話を振るか。

「おはよう」

「え……あ、うん。おはよう」

 女の子にどいてもらい、体を起こす。軽く伸びをすると固まっていた骨がばきばきと小気味いい音を立てて鳴り、それにより微かな痛みが体を起こす。寝起きはこの瞬間が気持ちいいいわな。

「凄い音、だね」

「んー、寝覚めの気付けだな。睡眠後はこれが醍醐味といってもいい。んで、君は誰だ?」

 少なくとも退魔衝動が反応する、ということは人間じゃあない。それに、背中に色とりどりな宝石みたいなものをつけた羽をつけている子は、人間だと俺は思えないし。

「……フランドール・スカーレットよ」

「ん? スカーレット……てことは、君がレミリアの妹?」

「うん。お姉さま」

 じゃあ、この子も吸血鬼か。あれ、この子がレミリアの妹ってことは、咲夜が注意していたのはこの子のことになるな。まぁ、これは明らかに事故というかそういう類だろ。地下室に行くなと言われて大人しくしていたら、その地下室にいる本人が俺のとこまでやってきたんだし。

「なんでこの部屋に?」

「なんか知らない気配を感じたから。貴方は、誰?」

「相沢祐一、分かりやすく言うなら外来人で今はレミリアの客って所だな」

 ふーん、とフランドールは近くにあった椅子に腰掛ける。離れた場所にある窓から見える景色は、もう暗い。こちらに来たときはまだ日が照っていたが、結構な時間寝ていたのか。
 しかし、ふかふかのベッドはやっぱりいいな。気持ちよすぎだ。

「祐一、食事の用意が……あら、妹様?」

「あ、咲夜」

「そうか。フランドール、一緒に行くか」

 手を差し伸べると、戸惑ったように俺の手と顔に視線を行き来させる。あまり人との付き合い方を知らないらしい。俺よりかなり年上だが、精神的にはまだまだ子供のよう。俺に何が出来るでもないが、話し相手ぐらいにはなれるだろう。

「……いいのかな、咲夜」

「私にはなんとも。妹様はどうされたいのですか?」

「じゃあ、一緒に行きたい」

 早い答えに満足し、俺は二人と共に紅魔館の食堂へ向かう。とりあえず、飯を食ったらゆかりんだけでも探そう。外に出るのは危険らしいが、まぁこのまま着の身着のままでいるのは、正直なところ遠慮したいし。
 咲夜は客用の服ならある、とは言っていたがそこまで世話になるとかえって悪い。ゆかりんの居場所が分かればいいんだが……。

「――お呼びとあらば即参上よ?」

「うぉぁっ!?」

 空間に穴があきそこから湧き出てくるゆかりん。気配もなく、突然だったために驚きで後ろにのけぞりそのままこける。しりもちをついた体勢のまま、見上げればスキマから半身だけを出した状態のゆかりんと、こけた俺を見下ろす咲夜とフランドール。
 ……すげー恥ずかしい。

「驚かせてごめんなさいねぇ」

「明らかにわざとだろ……まぁ、探す手間が省けてこっちとしても助かるけど」

 無駄な苦労をせずに済んだし。当てもなくさ迷うのは勘弁だしな。

「紫、あまり紅魔館への不法侵入はやめてくれるかしら。じゃないと強制排除するわよ」

「あら、ごめんあそばせ。今度お詫びの品でも持っていくから許してちょうだい」

「ならいいわ」

 いいのか、それで。

「こんばんわ、フランドール。元気そうね」

「うん、こんばんわ。ねぇ紫、また弾幕ごっこやろうね!」

「ふふ、本当に貴方は弾幕ごっこが好きね。機会があれば、ね」

 俺を放置プレイして三人で話し出す。とりあえずお邪魔っぽいので、廊下の壁側に張り付いて体育座り。いいんだ、どうせ俺はよそ者ですよ。

「祐一、そんな拗ねなくてもいいじゃない」

「拗ねてません。んで、ゆかりんや。ちょっと私物とか取りに行きたいから、後で一回戻してくれないか。着替えとかぐらいは持っておきたいんだよ」

 すぐに了承の答えが帰ってきて、ほっと一息安堵する。これでダメだ、とか言われたらストライキとかでも起こすところだった。もしくはゆかりんに対して、何かしらの報復とか。
 半刻後、すなわち一時間後ぐらいにまた来ると言い残してゆかりんは去る。時間の名称が今と違うのを知り、この幻想郷が少なくとも現代より前の時代で歴史が止まっているのだと気付く。後になって知ったことだが、幻想郷が外の世界と完全に隔離されたのが明治時代ぐらいらしい。江戸時代の時間の名称が使われているのを考えるに、幻想郷の技術発展が止まってるんだろう。
 それが悪いことだとは思わないし、良い事だとも思わない。技術の発展が求められれば、自然と幻想郷も変わるだろう。俺がどうこう言うことでもない。

「ねぇ、祐一は弾幕ごっこ出来ないの?」

 生憎だが、弾幕どころか空を飛ぶことすら出来ない、と返す。外来人だから仕方ないかー、とフランドールは残念そうだ。俺としてはまだ弾幕ごっこの光景を見たわけではないのだが、危なそうなので覚える気はあまりない。名前からして嫌な予感がぷんぷんするし。空を飛ぶのは、まぁ誰かに教えてもらおう。ひでんマシン02とかそういうのがあれば楽なんだけど。
 咲夜の案内で食堂にたどり着き、そこで待っていたレミリアと美鈴が俺の横にいたフランドールに目を丸くしていたのが印象的だった。パチュリーと小悪魔はこないのか、と漏らすと魔法使いという種族は食事を取る必要がないという。

(魔法使いは職業とかじゃなくて、種族なのか。む、じゃあ魔理沙も……?)

 でも魔理沙には退魔衝動が反応しなかった。魔理沙は職業としての魔法使いで、種族としては人間ってことだろうか。ややこしいが、まぁいい。幻想郷でのはじめての食事は洋食。まぁこれで和食が出てきたら違和感だらけだったからいいんだけど。
 本来なら食事には人間の血を混ぜているという。なるほど、レミリアは吸血鬼だから食事と言えば血液。流石に俺も自分の同属の血が入ったものは食べられない。その辺りに配慮してくれた咲夜には感謝しないと。

「あむ」

 俺の隣でフランドールが嬉しそうに料理をぱくつく。それをレミリアが微笑ましそうに眺め、俺はそれに気付いていながらも何も言わずに料理を口にしていく。にしても、なんでこう俺の周りの奴らは料理がうまい奴が多いんだろう。俺も一応作れるけど、人並み程度。
 ちょっと嫉妬。

「えーと、相沢さんは」

「祐一でいい。苗字で呼ばれるのはあまり好きじゃないんだ」

「じゃあ、祐一さんで。お嬢様に聞いたんですが、八雲紫に連れてこられたらしいですね」

「まぁ、成り行きで。ただ、面白そうではあるからいいんだが……とりあえず、ゆかりんと俺をはめたゼル爺には必ず仕返しはする」

 やられたままでは終わらない、それが祐ちゃんクオリティである。相手は俺よりも一つも二つも、それどころか五つぐらい上手。しかし、相手が強すぎるから退くなんてそんな負け犬根性は祐一さんは持ち合わせておりませんぬ。
 ゼル爺には特に念入りに準備をしてから行動に移さないといかん。アレは反則の塊だ。

「目的はあるのかしら?」

 フランドールを見ていたレミリアがこちらを向いていた。目的……目的ねぇ。

「まー、観光かな。幻想郷がどういうところなのか、色々と見て回りたいし」

「じゃあますます空を飛べないのが不便ね」

「やっぱり誰かに教えてもらうしかないよな。というか、どうやって飛んでるのか検討もつかないんだが」

 霊力を云々、とかなら出来る気がしない。魔力と霊力は別物だろうし、そもそも俺に霊力があるのかすら分からない。仮に空を飛ぶのに霊力が必要とすると、俺には出来ないことになり自然と幻想郷での移動は不便となる。
 まぁ、なんとかなるとは思うけども。

「やっぱ霊力とかいるのか?」

「いるといえばいるし、いらないといえばいらないわね」

「? 言ってる意味がわからん。もう少し分かりやすくプリーズ」

 なぞなぞは得意ではござらん。まずは食事を済ませましょうとレミリアは食べる速度を気持ち程度に上げる。そういや、ここに滞在する条件として提示した俺の血の提供に関してはいつやるんだろうか。食事後、というのはなさそうだが。
 吸血鬼にとって吸血は食事を同義。む、ならこの食事には対して意味はないのでは……あ、いやそんなことはないか。俺の食事はともかく、レミリア達の食事には血は入ってるだろうし。
 食事も終わり、ゆったりした気持ちで食後を迎える。

「さっき言ったことの意味だけど、元々飛ぼうと思えば飛べるのよ。ただ、それを実践する機会がないだけ。貴方もその気になれば、普通に飛べるようになるわ」

「元々機能としては備わっているけど、それを知らない。知らないから飛べず、飛べるとも思わないから実践することもない、ってことか?」

「そんな所。飛ぶこと自体はすぐにできるけど、長時間しようと思うのならそれなりに力は使うわ。霊力とか、そんな辺りをね」

「なら、魔力でも代替はきくか……?」

 少なくとも可能性は見出せた、今のところはそれでよしとしよう。後は誰かに教えてもらって、実際に身につけるしかない。
 ゆかりんと約束した時間になり、レミリア達と話しながら待っていた俺の下にゆかりんがやってくる。

「お待たせ」

「いや、別にいいよ。そんじゃま、行きますか」

 士郎達にも暫く留守にすると伝えなきゃならんし、荷物も纏めないと……あ、秋子さんの方にも連絡を入れないと。うわー、やること多いな。
 ゆかりんがスキマを開き、その中へと入る。またあの目玉だらけの空間を通るのかと思うと、少し気分が滅入ってくる。

「また後でな、みんな。あ、そうだレミリア。血の提供ってどうするんだ?」

「明日にでももらうわ、早く行ってきなさいな」

「いってらっしゃーい」

 皆に見送られながら、スキマへ。ゆかりんの手に掴まり、出来る限り何も視界にいれないように目を瞑る。情けないと思うなかれ、あの光景は本当にトラウマになるレベルだから仕方ない。

「そんな緊張しなくても一瞬でつくわよ」

 苦笑したようなゆかりんの声。

「心臓に悪いんだよスキマの中……」

「ふふ、今この手を離したらどこへ行っちゃうのかしら」

「そん時は空間を切り裂いてでも出てやる」

 冗談よ、とゆかりんは笑う。ふわっと言う浮遊感を感じたと思えば、すぐに地に足がつく感触。目を開ければ、そこはつい数時間前までいた衛宮家の玄関前。そういや、夕食時をとっくに過ぎても俺が現れないから心配かけたかもしれない。
 ひとまず、玄関の呼び鈴を鳴らす。てってって、という足音がして士郎の声が聞こえた。

「どなたですか?」

「俺だよ、祐一だ」

「え、祐一? ちょっと待っててくれ、すぐ開ける」

 鍵の開く音と共に、玄関口の扉が開く。なんだかすごい久しぶりに士郎と会う気分だが、たった数時間しか別れていないのだ。なんというか、もう半年ぐらい会ってなかったような感じがする。
 気のせいだろうけども。

「どこ行ってたんだよ祐一、夕食にも戻ってこないから心配して……?」

 士郎の視線がゆかりんへと向き、首を傾げて止まる。

「悪い、戻ってきたわけじゃないんだ。この後、荷物を纏めたらすぐにまた出て行く。暫く留守にするからそれを伝えに戻ってきた感じだな」

「む、何かまずいことでもあったのか?」

「そういうわけじゃない。ゆかりんに幻想郷って場所に誘われてな、暫くそっちを観光しようと思って」

 よろしく、と軽く微笑むゆかりん。少しだけ赤くなって、士郎は頭を下げる。桜ちゃんに言いつけてやろう、と一瞬考えただけなのだが士郎が変なこと考えるなよと釘を刺してきた。読心術とは成長したな、士郎。個人的には面白くないけど。
 さて、さっさとやること済ませて戻るとしようか。




 次回予告ッッッッッッッ!

 幻想郷に進出することになった我らが相沢祐一。そんな彼の、頼れる相棒が今目を覚ます――!

「あはー」

「なっ、アンタは……!?」

 驚愕の凛。彼の頼れる相棒は、凛にとっての天敵!? 味方の味方は敵なのか? それとも味方など存在しないのか。

「きゃー、ついに異世界進出ですねマスター! 向こうでも(私にとって)面白いことがあるといいですねぇ! うふふふ、どんな(カオスな)ことが待ってるんでしょうか、胸がわくわくですよ?」

 テンションうなぎ上りの彼女は、自らの野望を夢見る。彼女を止めるものは誰もいない。相棒である祐一は、彼女と同じような考えの持ち主だ。そんな二人が揃ったとき、阿鼻叫喚の宴が始まる!

「そんな貴方にははいこれ! バニーさんのコスプレセットをプレゼントですよ!」

「誰がこんなものを着ますか!」

 幻想郷でも彼らの辞書に「自重」という二文字はない。ただ心の赴くままに、混沌を撒き散らしていく。

「プリズム完了♪ 華麗に転身、魔法少女(?)ヤゴコロ永琳ただいまさん……じょ……?」<我に返る

「し、師匠……?」

 次々に襲われていく幻想郷の住人達。恥辱の限りを尽くされ、彼女らの精神は既に限界。具体的にはもうやめて、彼女達のライフポイントは0よ! というぐらい。

「さー、次は誰でしましょうか遊びましょうか

「いやあああああああ!」

 あぁ無常、混沌をつかさどるその存在の前には全ての存在は赤子となる。その名は、愉快型魔術礼装カレイドステッキ! ゼルレッチが作り上げし、第二魔法を応用したとんでもステッキ。
 ちなみに声は某ご家庭にいらっしゃる割烹着のよく似合うお方。製作者本人がイメージにぴったりだということで人格ごと引き抜いたそうな。

「ふっふっふー、今回のマスターは男性ですが私のよき理解者。もう封印されて箱の中で埃を被ることもありませんよー! とりあえずは(小生意気で小憎たらしく成長した)凛さんをぱぱっとプリズムトランスして遊び、もとい絶大な力を授けましょう!」

「ごめん被るわよ! ああもう、なんでこれが相沢君の手にぃぃぃぃぃ!」

 今、幻想郷に二人のあくまが降り立つ。



 ※この予告には大凡嘘予告です。一部真実が書かれています。

二話 魔性の者が棲む館・紅魔館

 レミリアの提案は、俺にとっては嬉しいものだ。人里に行っても、もしかすると住める場所がない可能性もある。無論、ある可能性も高いだろうがない可能性は0じゃない。それが今、頷けば宿が手に入る。
 しかし、そうそう頷けはしない。

「で、条件は?」

「あら、なんでそう思うのかしら」

「タダより怖いもんはないからな。ましてや、レミリアは吸血鬼だろ? 見返りを要求されない方がおかしい。魔術師の基本は、等価交換。俺もそれに則ってるだけさ」

 相手が何かを提案する以上、交換条件があると考えるのが当然。何の見返りも要求されなければ、逆に怪しく思う。士郎ほどのお人よしなら特に思わないが。
 レミリアは笑う。従者の咲夜は、レミリアの提案には賛同しかねるみたいで少し眉を顰めていた。無理もないと思う。

「ふふ、そうね。貴方の血がほしい、と言ったら?」

「んー、それぐらいなら別に構わないが」

「って、即答? もう少し悩むとかしないの貴方。自分の血を要求されてるのよ?」

 呆れた表情のレミリアに、霊夢や魔理沙、咲夜も表情は違うが多分レミリアと同じことを思っていると思う。というか、吸血と言われても正直身近なことだから特に危機感を覚えない。そりゃ、死ぬまでとか、吸血鬼化させられるとかになると話は別になるが。

「ようは献血だろ? 死ぬまでとか、吸血鬼化させる、とかにならない限りはいいぞ」

「……貴方、変わってるわねぇ。怖くないのかしら吸血鬼が」

「生憎と、吸血鬼に対する幻想はとっくに破壊されてるんで。何せ友人に吸血鬼いるし、うち一人はただのあーぱーだしな」

 半笑いで言い切る。そのあーぱーが、アルクェイドのことなのは言うまでもないだろう。いや、普段はあーぱーだが戦闘になるとまず勝ち目はないけど。今は志貴に夢中だし。危険度で言えば琥珀さんの方が高い。

「で、どうするんだ? 俺はいいんだが、咲夜つったっけ。彼女はあまりいい顔をしてないし」

「お嬢様がそう決めたのなら、私はそれに従うだけよ」

 そうは言いつつも、表情には不満も見える。ま、自分で言うのもなんだが不審者だしな俺。俺みたいなのは、外来人というらしい。外からの来訪者、という意味だろう。

「そうか。なら、世話になろうかね。よろしく、レミリア」

「えぇ。ふふ、いい暇つぶしになりそうね」

 日傘をくるくると回し、レミリアは微笑む。暇つぶしの相手になれるかどうかは分からんが、とりあえず当面の宿は確保できたのでよしとしよう。
 無論、気を抜くつもりはないが。霊夢と魔理沙にまた来ると別れを告げ、レミリア達と共に彼女達の住む紅魔館とやらに行くことに。彼女ら以外にも数人(?)住んでおり、さらに妖精のメイドも大勢いるとか。
 ファンタジー全開もここまでくるといっそ清々しい。流石に妖精なんて俺は見たことがない。死者に吸血鬼、英霊ぐらいだろう。俺も十分ファンタジーな世界に生きてるとは思うけど、ファンタジーというよりバイオレンスの方が正しい気がする。

「そういや、えっと……咲夜、でよかったか? 馴れ馴れしいなら、苗字で呼ぶけど」

 初対面の相手はたいてい、苗字で呼ぶ。心の中でだけは下の名前だけど。男の場合、一部を除いては苗字だ。北川を潤、なんて呼ぶのは何故か抵抗があるし。久瀬も同じ。

「別に構わないわ。苗字で呼ばれるなんて、慣れてないもの」

「そうか。さっきはレミリアに殺気を向けたりして悪かったな、わざとじゃないから許してくれ」

「私は気にしてないわよ。咲夜、もう許してあげなさい?」

「お嬢様がそういうのでしたら」

 ぎくしゃくしたまま、というのは非常に居心地が悪い。そんな調子で一つ屋根の下、なんてことになったら胃に穴が開く。医者を呼べ医者。祐一さんの胃は繊細なんだから、常に最新の検査をすることを求めますよ。
 医者なんてほとんどお世話になったことはないけども。

「祐一、貴方空を飛ぶことは出来る?」

「いきなり何無茶なことを要求しとるんだこの幼女」

「よっ……!?」

 人間には飛ぶ機能なんてついてない。永続的に空を飛ぶ、なんてことは出来ないに決まってる。俺の場合、空を蹴って一時的に滞空することが出来るだけだ。というか、空を飛ぶなんて芸当が出来る奴が知り合いにいない。
 ライダーは宝具を使えば飛べるが、あれとはまた別物だろ。

「い、いい度胸してるじゃない。私に面と向かって幼女だなんて……」

 ふふふ、と怒りに満ちた笑い。背に生えた翼はばさばさと怒りを表すようにはためき、口元はぴくぴく。大層ご立腹の様子。背筋にぞくりと寒気が走るが、これはまぁ秋葉ちゃんをからかった時と似た感覚である。
 それよりも、気になるのはレミリアの後ろにいる咲夜。なんでもない様子だが、微かに口元が緩んでいるのを見逃す祐一さんではない。

「咲夜、別に我慢せず笑えばどうだ?」

「咲夜っ!?」

 まさかの従者の裏切りを知り、レミリアが絶望したような顔で振り向く。

「い、いえ、彼の目の錯覚でしょう。私が主を馬鹿にされて笑うとお思いで?」

 きりっと何事もなかったようにレミリアに応える様子には、確かに何もおかしいところはない。だが、少しだけ笑っていたのは事実。それだけは譲れないのである。ま、今はどうでもいい。

「つか、人間は空を飛べないんだが」

「あら、霊夢や咲夜は飛ぶわよ?」

「あぁ、そういや霊夢の能力がそんなのだって聞いたな……」

 顔を顰めるのも無理はないと思いたい。霊夢はまだしも、そこの咲夜までも飛べるとか。一体この世界はどうなっているのか。あれか、俺も飛べるのか。頑張れば快適な空の旅をエンジョイできたりするのか。非常に魅力的だぞ。

「あのスキマから何も聞いてないの?」

「スキマ? あぁ、ゆかりんのことか」

「ゆ、ゆかりん?」

 何かとんでもないことを聞いた、とでも言いたそうな顔だ。後ろにいる咲夜も、何言ってるんだコイツといった表情。まぁ、少々ファンシーすぎる名前ではあると思う。爺さんも歳を考えろ、と突っ込んでいた理由もわかるが、なんとなく似合ってる気がする。
 それに、今更他の名前で呼ぶのもねぇ。基本はゆかりんで定着だ。

「ゆかりんがそう呼べって言ってたしな」

「そ、そう。で、アイツから何も聞いてないのね? 弾幕ごっこに関しても」

「何やら不穏な響きの単語が出てきましたよ奥さん」

「誰が奥さんよ」

 つれない言葉を咲夜からもらい、レミリアから弾幕ごっこについて軽い説明を受ける。簡単に要約すると、殺し合いではなく霊力や魔力といった力で作り上げた弾を放ち、戦うスポーツのようなものだとか。相手を倒すことも重要だが、さらには弾幕の華麗さも大事だという。そして、自分の得意とする大技を放つ際には、その技の名前が書かれたカード――スペルカードというらしい――を掲げ、それを宣言してから技を行うのが絶対のルール。
 あれか、これから大技を使うから覚悟しろよのこの○○野郎、って感じだろうか。

「ま、簡単にまとめればそんな所よ」

「弾幕ねぇ。出せないにしても、せめて空を飛ぶくらいは出来たら楽しそうだな」

「練習すればなんとかなるんじゃない?」

 そんなもんなのか。咲夜曰く、空を飛ぶくらいは出来ないと幻想郷の移動は不便だという。そんな事言われても、飛ぶっていう概念が良く分からないからなんとも言えんのだが。誰かに教えてもらえるのなら、教えてもらおう。飛べると楽しそうだし?
 そのまま歩き、やけに広い湖がある場所に出る。何せ向こう岸が見えないくらいだ。

「この先が紅魔館よ」

「……船が見当たらないんだが」

 まさか、泳げと。水着なんて持ってきてないぞ。着の身着のままでゆかりんに放り出されたというのに。せめて荷物ぐらい、後で取りに帰らせてもらないだろうか。この幻想郷に暫く滞在する、という意思は変わらないし。

「咲夜」

「はい」

「お? なんで俺の体に手を回す?」

 後ろから俺の脇に手を通し、持ち上げるようにする。一体何を、と思う間もなく足で感じていた地面の感触が無くなった。そして感じる浮遊感。これはランサーの召還したスレイプニルに乗ったときにも感じたもの。

「お、おぉぉぉぉぉ」

 不思議な気分だ。人間が単体で飛び、さらに俺を抱えているというのは。地面から少しずつ離れ、ある程度の高度まで達すると今度は前へと進みだす。そうすると下にあるのは地面ではなく、水面。落とされたら水浸しは必須だ。

「流石に、重いわ」

「まぁ、男だしなぁ。女の腕力じゃきついと思う。悪いな、迷惑かけて」

「意外と殊勝なのね」

「これぐらいはな」

 いやまぁ、足に気を集中させれば水の上ぐらい走れそうな気もするんだが。それを言うと問答無用で落とされそうなので、あえて黙っておく。こういう体験なんて、滅多に出来るもんでもないし。ちょっと脇の辺りが痛くなるが、我慢。
 ふよふよと遅くはないが、速くもない速度で湖を進み続ける。

「空を飛べる、って便利だな。スピードも出せるのなら移動時間も短縮できるし」

「今は速さも抑えてるわ。魔理沙だったら問答無用で最速でしょうね」

 それを聞くと乗りたくないな。流石に体に急激な重力がかかるのは勘弁願う。でも、何故か分からんが将来的に乗る羽目になる気がするのはどうしてだろうか。あれか、俺の第六感が何かを感じ取っているというのか!

「そろそろね」

「美鈴、また昼寝してるんじゃないでしょうね。もしそうならお仕置きしなきゃ」

「美鈴?」

「うちの門番よ。たまに昼寝してるけど」

 それは門番として問題だと思う。でも、確かに門番って敵の襲来がなければ暇な職業だし、仕方ないのかもしれない。話し相手がいるのなら別だろうけど。湖ばかりだった景色が変わり、俺の目先には紅い色の館が現れる。あれが紅魔館か。
 地面がある所まできて、咲夜は俺を降ろす。一言礼を言い、紅魔館目指して歩き出す。と言っても、ほとんど目と鼻の先にあったわけですぐについた。

「……あ、お帰りなさいませお嬢様。咲夜さん」

 門前のところで、子供らしき影三人と話していた女がレミリアと咲夜を見て、そう言う。門の前にいてレミリアをお嬢様、と呼ぶことは彼女が美鈴か。レミリアと同様、四人に対して退魔衝動が疼くが漏れる殺気を抑え込む。心臓に悪いな、本当にこの衝動は。

「えぇ、ただいま。ルーミア、チルノ、大妖精。何やってるのよ」

「中国と遊んでただけよ」

「だから中国じゃないって……」

 青髪で背中に透明な羽を生やした子に中国呼ばわりされた美鈴が肩を落とす。あだ名みたいなものだろうか。確かに、チャイナ服を着てるから中国っぽいが。

「知らない人間がいる。ねー、それ食べてもいい人類?」

 いきなり恐ろしいことを言われた気がする。まぁ、この子も妖怪っぽいから当たり前のことなのだろうけど、言われた方としてはたまったものじゃない。カニバリズムもほどほどにしてほしい。

「言っておくが俺は食べても不味い人類だ、何せ腹の内が黒いからな。まず腹を壊すぞ」

「でも食べてみないと分からないよ」

「今度何か食わしてやるから、それで勘弁してくれ」

 不満そうだったが、渋々引き下がった。末恐ろしい子供である。いや、外見が子供なだけで俺より年上な可能性も否定できんが……いや待て。てことは何か、ここはあゆの巣窟なのか!?

「な、なんてことだ……外見は小さいのに、俺と同い年か年上だと……!?」

 まさか、これが巷で噂の合法ロリという奴か! あゆや栞もそこそこちっこいが、それ以上の存在がここにはうようよしている。そしてその誰もが、俺より年上かもしれないのだ。
 恐ろしい……幻想郷は本当に恐ろしい場所だ。今俺は、未だかつて感じたことのない焦りと恐怖を抱いている。

「あの、大丈夫ですか?」

 緑髪の背中に羽を生やした子が心配そうに声をかけてくる。こういう子が、妖精なんだろうか。

「あ、あぁ。少し恐ろしい事実に気付いて愕然としただけだ、大丈夫」

「はぁ……」

 良く分からない、といった表情。この事実は俺の心の中だけにとどめておきたいから、気付いてくれなくて結構。それに、冷静に考えると馬鹿馬鹿しいにも程があるので闇に葬りたい。

「あの、咲夜さん。その人は?」

「暫く紅魔館に滞在することになった外来人よ。客人だから粗相のないようにね」

「分かりました。初めまして、紅魔館の門番をしております紅美鈴です。気軽に美鈴と呼んでください。中国じゃないですからね?」

 そんな念を押さんでも。いやまぁ、たまには呼ぶけど。

「あぁ、よろしく美鈴。で、そっちの三……人? 体? 匹?」

 妖精はどう数えたらいいものか。妖怪なら体でもいいかもしれんが、見た目的にはほとんど人間と変わらない。羽がなければ人間そのものだし、黒い金髪の子に関しては退魔衝動が反応しなければ人間にしか見えない。

「ルーミアー」

「私には名前がないので、大妖精と呼んでもらえれば」

「あたいは氷の妖精、チルノよ」

 ルーミア、大妖精、チルノね。忘れないように覚えておこう。

「美鈴、私達は祐一を連れて行くわ。門番、さぼらないようにね」

「はい。ほらほら三人とも、そろそろ行きなさいな」

 それに渋るのはチルノだけで、他二人はそんなチルノを引っ張って飛んで行く。やっぱり便利そうだよなぁ、飛ぶのって。弾幕とかはいいが、せめて飛行だけは身につけたい。
 レミリアと咲夜を追い、紅魔館の中に入った俺を出迎えたのは鮮血が散ったかのような真っ赤な内装。なるほど、紅魔館とは言いえて妙だな。

「さて、ようこそ祐一、紅魔館へ。歓迎するわ」

 エントランスに入り、レミリアは振り返って俺を迎え入れる。それに礼を言い、改めて紅魔館の内装をぐるりと見回す。中世の古城を思わせるような趣に、窓の少なさ。吸血鬼の館だからだろう、日の光が入りにくいようにされているらしい。
 しかし何よりも気になるのは、外から見た広さと内部の広さが明らかに違うこと。

「咲夜、私は祐一をパチェに会わせてくるわ。祐一の宿泊する部屋の用意をお願い」

「かしこまりました、お嬢様」

 一礼し、瞬きした次の瞬間には既に咲夜の姿はなく。時間を操ってまたいなくなったのかと悟り、能力をフル活用してるなぁと感心半分呆れ半分。人間の身で時間を操るなんて過ぎた芸当、目にしているだけでも異常だ。爺さんもきっと……いや、あの人のことだ、呆れながらも豪快に笑うかもしれん。
 つくづく幻想郷とは俺の常識の範囲外の世界だと思わせられる。

「ところで、そのパチェって誰だ? レミリアの姉妹とかだったり?」

「ふふ、パチェは私の友人で紅魔館の客人よ。それに、妹なら別にいるわ」

 パチェ――パチュリー・ノーレッジは普段はずっと紅魔館にある大図書館にいるという。寧ろその図書館から出てくること自体が稀であり、幻想郷縁起とかいう代物に動かない大図書館という異名をつけられているとか。図書館の主みたいだな。
 レミリアの後をついていくこと、大体数分ぐらいだっただろうか。少し大きな扉の前につき、レミリアがゆっくりとその扉を開く。中に入れば俺の身長の倍以上はあるだろう、巨大な本棚が所狭しと立ち並び、それが奥が見えないほどの列を作っている。
 その巨大さにも驚くが、やはり思うのは明らかに紅魔館内部の広さとこの大図書館の広さが合わないこと。

「レミリア、なんかこの館変じゃないか? 明らかに外見と中身の広さが一致しないんだが」

「咲夜が空間を広げてるのよ。紅魔館の外見と中の広さは全然違うわ」

 時間を操る者は、空間すらも操る。咲夜の能力で空間を広げているおかげで、紅魔館の中は見た目以上に広大になっているという。そろそろ俺の処理能力にも限度があるんだが……とりあえずなんでもあり、ってことで置いておこう。気にしすぎると禿げる。

「パチェー?」

「……お嬢様、何か用?」

 端に本棚の合間にある小さな机。そこに座るのは、寝巻きかと思うような服とナイトキャップのような帽子、そこに月型のアクセサリをつけた一人の女性。どうやら彼女がパチュリーらしい。そして、やはり反応する衝動。

「別に普段どおりで呼んでくれていいわよ」

「そう。で、何の用かしらレミィ。見慣れない男がいるけど」

 視線を落としていた本から顔を上げ、パチュリーの視線が俺を射抜く。しかし、実際には今にも眠りそうな半目なのでどうにも笑いを誘う。

「暫く紅魔館に滞在することになった相沢祐一だ。よろしく」

「そう、私はパチュリー・ノーレッジ。好きに呼んでいいわ」

 それっきり、興味を失ったように手元の本に視線を落とす。無愛想だと思うが、元々そういう性格なんだろう。舞に似たような感じを受けるが、あっちは感情の現し方が下手なだけで実際は感情豊かだ。もしかすると、こっちもそうかもしれない。

「何読んでるんだ?」

「……これよ」

 近づいてきた俺に迷惑そうに目を向けるが、すぐに見ていた本の表紙を見せてくれる。そこに書かれているのは「ロケットの作り方~実践編」という題。胡散臭さ抜群ではあるが、その著者の名に少々心当たりがあった。

「これ、もしかして外の本か? 著者の名前になんとなく見覚えがあるんだが」

「もしかして貴方、外来人なの?」

「そうよ。服装から分からなかったの、パチェ?」

 良く見てなかったわ、と微妙に失礼な言葉を頂く。ちょっとむかついたので軽くでこぴんを放つ。むきゅっと妙に可愛らしい悲鳴を上げて、顔を若干仰け反らせるパチュリー。額を手で押さえながら俺を睨んでくる。

「何するのよ……っ」

「いや、対応に少し文句があってな。でこぴんさせてもらった」

 非難の視線を向けてくるパチュリーだが、俺は悪くない。くすくすとレミリアの笑いが図書館に響く。

「パチュリー様ぁ」

「あら、小悪魔。頼んだ本は持ってきてくれた?」

「は、はいぃ」

 へろへろになりながら、レミリアと同じような羽を生やした子が本を抱えて飛んでくる。衝動が反応する以上、彼女も人間ではない。多分、使い魔的な何か。
 それにしても、やけに疲れてるな。

「大丈夫か?」

「あ、はい……パチュリー様、レミリア様、この人は?」

「私の客よ。暫くここに滞在するから」

「そうですか、分かりました。パチュリー様の従者をしています、小悪魔と申します。以後お見知りおきを」

 ぺこりと悪魔らしくない礼儀正しさで挨拶をする小悪魔に少し癒される俺がいた。何をもって悪魔らしいと判断するのかは謎だが。こっちも挨拶をかわし、名を伝える。パチュリーに頼み、少しだけ図書館を見回らせてもらうことにした。
 広いので小悪魔に案内を頼む。特に読みたい本があるわけでもなく、ただ単にどういう系統の本があるのか見てみたかっただけだ。パチュリーは魔法使いという種族(人間とは違う)らしく、図書館の本も魔術書が多い。興味がないわけではないが読んだところで理解できるか分からない。
 まぁ、いつか読ませてもらおう。もしかしたら何か役に立つ知識が手に入るかもしれないし。

「祐一様は外の方だとお聞きしましたが」

「あぁ、厳密に言えばちょっと違うかもしれないけど、大体あってる。それと、様付けじゃなくてもいいぞ。話し方ももう少しフランクで」

「ではお言葉に甘えまして、祐一さんと」

 外の方、と言われるとやはり違和感を覚える。外来人は珍しいらしく、人里でも注目を浴びるという。ちなみに、その頭には"生きている"という単語がつくらしいが。妖怪の餌になる外来人は多く、生き延びた外来人は霊夢によって外に帰されるらしい。
 なるほどね、珍しがられるのも無理はないか。

「祐一」

「ん?」

 俺についてきていたレミリアへと振り返る。そこには咲夜の姿も。

「部屋の用意が出来たわ。いらっしゃい」

「了解。それじゃ、小悪魔。また」

「えぇ、また」

 図書館に残るレミリアを残し、咲夜へとついていく。話題もないので互いに無言のまま紅魔館を歩く。

「ここよ」

 案内された部屋は水瀬家での俺の部屋より広い。ゆったり出来そうで非常によろしい。

「ありがとう、咲夜。助かる」

「別に構わないわよ。着替えとかは持ってないわよね」

「あぁ。それぐらいはゆかりんに頼んで一旦帰らせてもらいたい所なんだが」

 一体どこに行けば会えるのやら。その後も、咲夜に風呂やトイレの場所、食事の時間などの注意を受ける。そして、一番念を押されたのが地下には決して行かないこと。そこにはレミリアの妹がおり、下手をすると殺される危険があるからだ、ということらしい。
 まぁ、好き好んでそんな目に遭おうとは思わないが……一応気をつけよう。

「まぁ、最近は妹様も精神的に落ち着いてきてるのだけどね」

「ふーん」

 食事の時間に呼びに来ると言い残し、咲夜が去る。それまでどうするかと迷うが、少し疲れているので寝ることにする。ふかふかのベッドに体を横たえると、自然と眠気が襲ってきた。
 慣れない環境だ、自覚のない疲れがあったんだろう。そのまま意識を暗闇に委ねていく。



 次に目を覚ました時、俺を見下ろす見知らぬ女の子がいた。




僕には……無理だ……byリオン

 すまぬ、それなりに前のWeb拍手で日記の台詞のみSSを別枠で作ると言ったけど

 数が多すぎて製作追いつかない!

 移しても移しても増えて行く一方なので、いつまで経っても終わりやしない。完成する前に祐樹さんの指が逝っちまう。本気で数が多い……これ全部移すとか正直無理ぽ^q^

 返信形式変えた結果がこれだよ!! 日記からコピペ連続で指攣り余裕でした。


 東方緋想天交流会状況。

 とりあえず、定員人数に達しました。ひとまず募集を締め切ります。実際に当日の時間になってきてくれればいいんですけどねーw

 用事とか何かあった場合は仕方ないですが。後は当日に見ていて俺もやりてーと思ったら飛び入りもおk。そうなるとかなり混乱状態になるだろうがカオス歓迎。グッドカオス。

 SS執筆状況。雪夜優先でやってます。

 雪夜 第三幕・第四章    70~80%前後。

 散策 二十一話    進行せず。

 あと少し、なんだけどどうするか迷い中。これはきっついなー。


 Web拍手レスコーナー。

>白髪になったらホワイトタイガー…か

 大河「お父さんクラスのセンスの持ち主って割りといるのね……」


>ナギパーティーにいた子供ってナギの師匠だった事に驚いた。後、ラカンの腕は消滅したぽかったのに何故縫合できるのかが不思議だと思った。

 ラカン「あぁん? んなもん気合いれりゃ問題ねーだろ。なんならあれだ、その気になれば腕の一本や十本生えるだろ?」


>雪夜読んでレンが登場しましたがレンとライダーが結託したら色んな意味で大変な事になりそうですよね。

 夢の中であんなことやこんなことですねわかります。


>智代と祐一はすごくお似合いだと思う。智代が祐一に世話焼きすぎな感じで。

 祐一「すー」
 智代「ほら起きろ。もう朝だぞ」
 祐一「んぁ……おはよう」
 智代「ご飯出来てるぞ。ほら、着替えだ」<制服を渡す
 祐一「ん」
 智代「あぁもう、寝癖がすごいぞ。仕方ない奴だ」<濡らしたタオルで寝癖を取っていく
 祐一「そこまでせんでも自分で出来るって」
 智代「そういっていつも適当じゃないか。いいから私に任せろ」


>KANONとCLANNADキャラはほとんど固有結界使えそうな人材ですね。

 どんだけwwwwwwwwwww


>そこはかとなく雪夜頑張ってください。

 太陽が昇って夜になるよりもゆっくりしながら書いていきます。


>祐一が女装して「私が岡崎です。女になりました」と言ったとさ。さあ、CLANNADキャラの反応はいかに?

 それ別に祐一じゃなくて朋也でもよくね?wwwww


>ライダーは霊夢じゃね? 玄爺的な意味で

 亀でしたっけ。旧作はまったくわからないのだー。


>歌を歌うキャラ・・・めんどくせぇアイマスキャラでどうだ

 多すぎだろ常識的に考えて。


>相変わらず文々。新聞貰ってる日々。そろそろ新しいのが欲しい(切実)

 文「ふふふ、引っかかりましたね! もう貴方は文々。新聞の虜ですよ!」


>文々。新聞→ゆかりんのコンボが出た。やはり新聞貰うために幻想郷入りしているようだ
>そして戻りに新聞貰う。これは初

 文「また来てくださいねー」<手を振る


>新聞→ゆかりんのループ発生。戻れない?

 幻想郷に移住ですね分かります。


>祐一とアングラー連中(槍、弓)が幻想郷で魚釣りをすることに……。

 祐一「釣りなんてしたことないんだけどなぁ」
 ランサー「んな深く考えることねーよ。晩飯にするわけでもなし、こういうのはゆったりした時間をすごすのが一番たのし」
 アーチャー「八匹目フィィィィィィィィィィシュ!!」<ハイテンション
 祐一「…………」
 ランサー「…………」
 アーチャー「ふ、なんだここも他愛ないな。面白いように魚が釣れる。――別にこの湖(紅魔湖)の魚全てを釣ってしまっても構わんのだろう?」<バーサーカー戦のように
 二人「勝手にしろ」<冷めた目つき


>祐一が宴会で酒を飲んでいるところに酔っ払ったみょんが登場、そのまま祐一に抱きついた!

 祐一「しかしここの奴らはほんと宴会好きだな……今週だけで三回目だぞ」
 妖夢「祐一さん!」
 祐一「妖夢か、どうだ飲んで……るな」<妖夢の赤くなった顔を見て
 妖夢「みょーーーーん!」<奇声を上げて祐一に飛び掛る
 祐一「ぐはっ!?」<首に抱きつかれてそのまま倒れる
 妖夢「ゆういひさん、あったかいれすねー」
 祐一「どんだけ飲んだんだ妖夢……」
 妖夢「うーん……」<そのまま気絶
 祐一「動けん」


>金髪アンテナ&キングオブヘタレ&英雄王でゴールデントリオの完成だ!!!!!

 ギル「我とこの雑種どもが肩を並べるなどありえぬわ」
 春原「ゴメンナサイゴメンナサイ」
 北川「こえー……この兄ちゃんこえー」


>縮んだ祐一君のとりあい中にゆかりんがこっそりさらっていきましたw

 紫「うふふー、ゆうちゃんゲットー」
 祐一「あー……一番不安な人にとっ捕まったな」


>早苗「(自分の作ったパンを食べて吐血してる人や秋夫が無理矢理渡そうとしてるのを見て)私の・・・私のパンは無理矢理人にあげなければならないほどの出来の上に食べても血を吐くような味になるんですねー!」<作った復刻パンの新生版「Newヒトデパン(色付)」を落として

 秋生「ま、待て早苗! くそっ……お、俺は大好ぐはぁっ!?」<噛んだ瞬間にあまりの味に吐き出す


>祐一がスパロボZ世界に行くと、何故だろうガロードとかに気配の消し方教えてとか言われそうだよね、(目的は女湯をばれずに覗くため)……それで女性陣がすごい目で見てるのでそれを却下する祐一とかを幻視しました。

 ガロード「なぁ、気配を消すのって俺でもできんのか?」
 祐一「いや、そりゃ出来ないことはないだろうな。得手不得手はあるだろうが、修練すれば多分誰にでも出来る」
 ガロード「なら風呂覗き放題じゃねーか。教えてくれよ」
 祐一「お前も好きだなぁ……あぁ、いい――っ!?」<後ろに見える女性陣の視線を見つけて
 ガロード「?」
 祐一「ガロード……無理は言わない、やめとけ。覗きというのはばれれば下手をすると死ぬよりも辛い目に遭わされるんだぞ」<肩を掴んで
 ガロード「お、脅かすなよ……って、滅茶苦茶手、震えてんぞ!?」
 祐一「頼む、頷け。頼むから……!」<涙
 ガロード「わ、分かったから落ち着けって!」


>祐一とうどんげの二人で薬草取りをすることに、なぜかどこかの黒白とまじかるアンバーと競争することになりましたとさ

 アンバー「うふふふふ、この私に勝てますかー?」
 魔理沙「はっ、この森は私のフィールドだぜ! 負ける要素がないな!」
 鈴仙「……なんでこんなことに」
 祐一「琥珀さん、一体どうやって幻想郷へ……いや、あれはまじかるアンバーか。相変わらず不条理な存在だなまじかるアンバー」


>ねえ、祐一……友人がさ、「俺が死んだら、火葬して灰を名古屋港に流してくれ」とかいうもんだから、ついなんで名古屋港なんだ!と突っ込みを入れてしまったよ

 祐一「いや、そこは佐渡島へ流してやるとか蛸壺にいれて沈めてやるとか言ってやったらよかったと思うぞ。もしくは海外へ空輸でもいいな」


>ゆ、祐一逃げるんだ!。こ、琥珀さんが永琳にあ、あの薬を……ああ、なんてことだ、これでまたGフランやGレミリアなどといった存在が生まれ出てしまう! ちなみに永琳がまききゅーXを投与したのはゆうかりんです。

 祐一「あ、アルティメットサディスティッククリーチャーがぁぁぁぁぁ!」<錯乱
 Gゆうかりん「何でこんなことになってるのよ!」
 永琳「すごいわね……これは良いサンプルをもらったわ」
 琥珀「あはー、まだまだ改良の余地はありますからねー」
 祐一「くぁwせdrftgyふじこlp」


>秋夫→秋生に訂正。すまんおっさん、素で間違えた。

 秋生「あぁ? 人様の名前を間違えるとかどういう了見だオイ。罰としてお前、この早苗の新作(パンの中にうどんが入っているうどんパン)食え」
 早苗「私のパンは……名前を間違えた人への罰なんですねー!」<脱兎
 秋生「さ、早苗!? くそっ、お、俺は大好きだー!」<追いかける


>ヘタレ「(智代、杏、香里の「武闘派か?」という発言を聞いて)へぇ、違うっていうのかい?」<にやにや

 智代「覚悟は」
 香里「出来てるわね?」
 杏「へたれの癖に」


>八神家一同が行方不明に
>行方不明の八神家がいた場所は幻想郷(気が付いたら来てた)。そこにいた祐一にこの場所(幻想郷)のことや祐一の現在の状況(何故かお見合いが頻繁に起きていることなど)を聞いた一同の反応は?

 はやて(見合いかぁ……うちもそろそろ相手見つけんとなorz)
 シグナム(管理局の管轄外世界か。それに妖怪……気は抜けんな)
 シャマル(はやてちゃん、何か落ち込んでる?)
 ヴィータ(こいつ鈍すぎじゃねーの?)
 ザフィーラ(腕試しにちょうどいいかもしれんな)
 リィン(妖精ですかぁ。リィンと同じサイズのもいるんでしょうか)


>そしてそれ(八神家が幻想郷にいて祐一と会っていること)を知らない他のメンバーの反応は?(如何なる事をしても八神家の現在地不明で。StS版で人数任せます。本編殆ど知らないんで)

 なのは「はやてちゃん、どこいったんだろう……」
 フェイト「クロノも捜索手伝ってくれてるけど、見つからないって」
 スバル「副隊長たち、大丈夫かなぁ」
 ティアナ「生半可な相手があの人たちを倒すなんて無理でしょ。大丈夫よきっと」


>次の見合いは大妖精かリリー姉妹です、陽気なこの妖精さんなら普通でしょう。(ぉぃ

 大ちゃんが大好きだから大ちゃんをやるよ!!

 大妖精「よろしくお願いします」
 祐一「それはいいけど、なんでチルノまで?」
 チルノ「アンタが大ちゃんに変なことしないように見張ってるのよ」
 祐一「……俺って信用ないのな。まぁ仕方ないとは思うけど」<頬を掻く
 大妖精「いえ、そんな事ないです。私は、祐君を信じてますよ」
 祐一「あー、そう言われると恥ずかしいな。しかし、なんで祐君なんだ?」
 大妖精「えっと、嫌、ですか?」<上目遣い
 祐一「そういう風に呼ばれたことなかったから慣れないだけだから、気にしなくていい」<頭を撫でる
 大妖精「う、うん」

 大妖精は祐一に対して敬語とため口がごっちゃになった口調、という設定。いや、ただ単にしゃべり方が安定しないだけだがwww


>何となく頭に浮んだ祐一・アクセル・ランサーが一緒に酒を飲むシーンが。(一体どんな世界だ?w

 アクセル「ふ……月見酒というのも中々風情なものだ、これがな」
 ランサー「美味い酒に美味いつまみ、んで気の合う友人。最高の環境だな」
 祐一「美人の酌で一杯、っていうのも捨てがたいけど男同士で飲むのも乙だな。静かでいい」


>ネロやハズレより紫様が出てくる方が嬉しい♪(同じ外れだがww

 紫「嬉しいこと言ってくれるわね。でも、あまり迷い込みすぎると帰れなくなるわよ?」


>3連続インストールだとぅ( ゜д゜)!?なら、俺はアンインストールして(ry

 乗ると必ず死ぬあのアニメのOPですね分かります。


>Fate/snow night 面白いです。

 完結まで程遠いのが悩みの種です。申し訳ない。


>雪夜IN幻想郷・・・ついにきた!
>wktkしながら待ってます!

 面白くもなんともないよ!


>遠野家の割烹着の悪魔と幻想郷の賢者が手を組み遠野家地下王国は新しく生まれ変わった。その名も「遠野スキマ王国」!
>何て思いついたけど祐樹さんなら思いついてるんだろうな、と思いつつ何か悔しいから送ってみる事にした

 その発想はまったくもってなかった。しかしスキマ王国……どういうとこなんだwwww


>祐一が子供から元に戻るとき勢い余って今度は蝶成長を(25~27くらい)

 祐一「子供から戻ったかと思えば今度は大人かよ。しかし、背はもうそんなに変わらないんだな」<Ver25歳
 咲夜「そ、そうね」
 魔理沙「でも顔つきは男らしくなってるな。いけてるぜ?」
 祐一「そらどうも。ふむ……身体能力も普段の俺の延長線上みたいだな。この先こうなるかどうかは分からないけど、これならまだまだ現役で戦えそうで安心だ」
 幽々子「うふふ、いい男になってるわよー」
 祐一「美人にそう言ってもらえるとありがたいですね。俺もゆくゆくは親父みたいになるのかねぇ」
 早苗(祐一君、大人になるとこんな風になるんだ)
 咲夜(頼りがいがありそうな雰囲気が……反則ね)


>幽香に花を貰いにきた祐一、用途を答えると幽香が黒いオーラを…

 幽香「でも急に花がほしい、なんてどういう風の吹き回し?」
 祐一「いや、女の子にプレゼントしようかと思って」
 幽香「――ふぅん?」<にじみ出るオーラ
 祐一「っ……? な、なんか怒ってる?」
 幽香「どうしてそう思うのかしら」
 祐一「笑顔に威圧感が」
 幽香「気のせいじゃない?」<不自然なまでに笑顔
 祐一(風邪で寝込んでる寺子屋の女の子への見舞いに渡すのがそんなにだめか?)


>とある日の祐一のひとこと「久しぶりにサッカーの試合みたいな」 後の東方サッカーの始まりである。

 祐一「生憎とスポーツにはさほど興味ないんだよな。まぁ、弾幕は見ていて飽きないが」


>緋想天購入したぜ!が、ネットとなると・・・重くて・・・orz

 処理速度と回線速度の問題ですからねー。


>サーベルタイガー・・・藤ねぇの新たなNGワード決定・・・かな?

 大河「だから虎というな」


>本日一発目が文々。新聞。うむ、相変わらずの収集率だな(もしかして一番多く貰ってるかや)

 文「いつも購読ありがとうございます」

 文々。新聞新しいの作ったほうがいいのかねぇ? でも内容おもいつかん


>祐一、ゆかりん、ステンノ、エウリュアレが手を組んだ。ここに他人をいじるの大好き軍団結成!
>最初の犠牲者ライダー・・・南無

 ライダー「こ、この四人は危険すぎます……」<涙目


>祐一は全力を出したあーぱーから逃げ切った実績があるから、鬼ごっこやっても相当逃げれると思う。

 祐一「萃香とやったら本当に鬼ごっこだな」
 萃香「お、なんだやりたいのか? なら他の奴らも混ぜて」
 祐一「四方八方から追い込まれたら俺も逃げれんぞ」


>幻想郷で祐一によくからかわれる人物トップ10は?

 1.鈴仙
 2.妖夢
 3.てんこ
 4.妹紅
 5.衣玖
 6.咲夜
 7.魔理沙
 8.ゆかりん
 9.アリス
 10.れみりゃ

 無理に順位付けするとこんな感じ? 祐一の場合、からかえるチャンスがあれば狙うので誰が一番、というのはあんまりないかなぁ。その果てに自滅しようとも懲りないのが祐一クオリティ。


>甘いぞ、祐一!!!! 称号はたった1回のだけの行動でも時に与えられてしまうのさ!!!!

 祐一「……orz」


>祐一とウマが合いそうな女性~スパロボ編~
>まずキャラ的にエクセレン姐さんだな。二人でブリットたちをいぢるのが想像できる
>クスハに対してはドリンクのせいで秋子さんのジャムに対する意識と同じものを持ちそうだ

 エクセレン「うふふふ、今日も元気にブリット君をからかうわよぉ~」
 祐一「今度はどんなネタで攻めましょうかね。クスハさんとの関係もそろそろマンネリだし」
 エクセレン「そうねぇ、じゃあ祐ちゃんが女装してブリット君に迫ってその時の様子をからかうのは?」
 祐一「面白そうですね、でもクスハさんがいる時にやると修羅場になりかねないからいないときを見計らわないと」
 キョウスケ「……ほどほどにしておけ二人とも」


 クスハ「はい祐一君」<つクスハ汁
 祐一「……きょ、今日は普通の色ですね」
 クスハ「効き目はばっちりだと思うよ。飲んでみて」<にこやかに
 祐一「や、俺今そんなにのど渇いてないので……あ、エクセレンさんとかにあげたらどうかな?」
 エクセレン「ちょっ!? 祐ちゃん私を見捨てる気!?」


>ねえ、祐一……もし秋子さんがオレンジ色のジャムを超えるものを作ったとしたら何色かな?……なんでだろうどうしてか虹色っていう言葉が頭に浮かんでくる。

 祐一「いや、俺はどどめ色とか無色透明とかが浮かぶな……」


>祐一は早苗よりケロちゃんとじゃれてそうな。

 諏訪子「次何しよっか」
 祐一「流石に長時間ゲームは疲れる。少し寝てもいいか?」<寝転んで
 諏訪子「お昼寝か、それもいいかな。じゃあお休み~」<祐一の腕を取って枕にする
 祐一「……何故俺の腕を枕にするんだ」
 諏訪子「いいじゃん、丁度いいんだもん」
 祐一「腕が痺れる」
 諏訪子「我慢我慢♪」
 祐一「はぁ、後でマッサージだな……」

 神奈子「こんな所で寝てたら風邪引くだろうに」
 早苗「腕枕いいなぁ」

 
>祐一「・・・・・・」<魔眼を使って虎の部屋に侵入
>祐一「・・・・・・」<目覚まし時計セット
>祐一「良い朝の目覚めを・・・」<黒く笑いながら魔眼を使って退散
>そして朝・・・
>目覚まし時計「起きろー!タイガー!」<3-B全員
>虎&目覚まし「「タイガー言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」<家が震える

 雷画「うるせぇぞ大河! 朝っぱらから叫ぶんじゃねぇ!!」<藤ねぇ以上の声で


>(同時刻うぐぅの部屋にて)目覚まし「「うぐぅ!!」」<耳元で

 あゆ「うぐぅっ!?」<驚いてベッドの壁に頭をぶつける


>同じ声に疑問を持ちつつも起きてきた名雪。朝食を食べようとしたら冷蔵庫の中にジャムが無かった!(ただし「オレンジ色」や「イチゴ色」のジャムは存在)

 名雪「……これ、イチゴだよね?」<不安そうにイチゴ色のジャムを手に取る


>祐一と永林・ゆうかりんと仲良く暮らしてるのが思いうかんだ。w

 三人並んで川の字で寝てるんですね分かります。


>永林と紫様なら良いお母さんなれると思いませんか?祐一。この二人との結婚大賛成!

 祐一「そもそも重婚は倫理としてどうなんだ……」
 永琳「幻想郷の常識は外の非常識よ」
 紫「でも、殿方を独り占めにしたいと思うのは一緒ね」


>祐一、スパロボZでさ絶対サンドマンはゲームクリア後親バカになっていそうだよね。

 祐一「いいんじゃないのか? それまでずっと親と子として接してこれなかったわけだし、その反動でなっても不思議じゃないと思うけど。むしろ、微笑ましくはある。……まぁ、正直あの人が親馬鹿になってるとこは想像できないんだが」


本日の教訓。「やばい、十一月までに雪夜かききれねぇ」

 さて、なんか興が乗ったので雪夜IN幻想郷。


「へー、んじゃ紫に連れてこられたのか」

 あの巫女さん……霊夢が戻ってくるまでの間、俺は彼女が魔理沙と呼んでいた少女の隣に座ってここに来た経緯を話す。この女の子……霧雨魔理沙。なんでも、普通の魔法使いだそうで。
 普通の魔法使い、ってなんなんだろうな。一度普通の定義を調べなおした方がいいんだろうか。

「少し興味がある、って言っただけでぽいだったな」

「災難だな。ま、もう過ぎたことだし諦めとけ」

 かかかと笑う魔理沙。他人事だからか、魔理沙には微塵もこちらの身を案じる様子はない。まぁ俺もすでに諦めてるから別にいいんだけど。そのまま魔理沙と話をしていると、霊夢がお茶を持ってくる。それを受け取って、一口。
 夏のような暑さで火照っていた体が、冷たいお茶によって少し冷やされる。

『ふぅ』

 思わず出てきたため息が、霊夢とシンクロする。それに顔を見合わせる俺と霊夢を、魔理沙がそっくりだなお前ら、といって笑う。それに苦笑し、茶を飲みながらこれからどうするかを考える。ゆかりんに連れて来られたこの幻想郷。仮に出れたとしても、外が俺のいた世界だとは限らない。
 そうだとすると戻る方法はゆかりんかゼルレッチ爺さんに頼む以外にない。ゆかりんはこの幻想郷の住人だからすぐ会えるだろうが、爺さんは仮に来ても確実に返してくれない。

(ま、面白そうだしすぐに帰る気はないけど)

 となると、まず俺がすべきことは当分の寝床探し。野宿という選択肢は、この幻想郷は妖怪が公然と存在している場所らしいので却下。せめてどこか落ち着ける場所を見つけて、そこをねぐらとするしかないんだが……果たして見つかるのか。

「改めて自己紹介するわ。私は博麗霊夢、この博麗神社の巫女よ」

「霧雨魔理沙、恋色の魔法使いだぜ」

「相沢祐一、魔術師こぼれのしがない退魔師だ」

 魔術師こぼれのくだりで二人は首を捻る。あまり気にするなと伝え、霊夢にこの辺りで暫く住めそうな場所がないかを尋ねた。霊夢が知る限り、一番安全な場所はこの博麗神社から少し離れた場所にある人里とのこと。そこにいる里の守護者に話をすれば、どうにかなるかもらしい。
 まぁあくまでなるかもしれない、ということなのでならない可能性もある。

「まぁ住む"だけ"なら他にもあるんだけど、可能性がまったくないのと危険だから除外したのよ」

「どこなんだ?」

「紅魔館と白玉楼、って所。吸血鬼の姉妹が住んでる場所と、冥界にある亡霊が住む場所よ」

 吸血鬼はともかく、亡霊も普通に存在してるのか。しかも冥界……死後の世界まで。もしかして地獄とかもあるのかと冗談で聞いたら、地獄どころか三途の川に天界もあると返された。
 幻想郷、恐るべし。世の魔術師どもがここにきたら卒倒するんじゃないだろうか。もしかして俺、結構おいしいポジションにいたりするのか。嬉しくないけど。

「あー……住むだけなら私の家もあるぜ?」

「何言ってんのよ、あんたのは家じゃなくて物置じゃないの」

「あれは置いてるんだ。あれで私の家は片付いてるんだよ」

 とりあえず選択肢の一つとして魔理沙の家があげられたが、話を聞いて正直遠慮したいと思った俺。二人の言葉から壮絶なカオスが発生していることだけは読み取れたから。最後の手段としておいておく、というとどういう意味だと魔理沙が拗ねた。
 そのまんまの意味だと言い返すと、絶対とめてやらねーとへそを曲げる。くつくつと俺は笑い、霊夢に地図か何かないかを聞く。生憎とそういったものはないらしく、地図は手にいれられなかった。まぁ、それほど複雑な道もないらしいので大丈夫だろう。

「んじゃ、善は急げって言うしそろそろ」

「――やっぱり、見慣れない人間がいたわ」

 どくんと、俺の退魔衝動が疼く。抑え込もうとしてもどうしても漏れてしまう僅かな殺気。次の瞬間、俺の首元には銀のナイフ。横には銀髪のメイド服を着た女。
 一体いつの間に……何かが動く気配すら感じなかった。突然、ナイフが何もない場所に現れたかのように。

「危ないな、人の首にいきなり刃物つきつけるなんて」

「殺気が出ていたわ。お嬢様に危害を加えようとする相手は、私の敵よ」

「咲夜、ナイフをしまいなさいな。そのままだと彼が気軽に話せないわよ?」

「いや、別にしまわなくてもいいよ。こっちから離れるから」

 地を蹴り咲夜と呼ばれた女から一気に距離を取る。追撃は、ない。俺の前には魔理沙と霊夢、そして咲夜というメイド服を着た女と、背中から羽を生やした小さな……幼女。俺の退魔衝動は羽を生やした幼女に反応している。
 しかし、あの咲夜という女。一体どうやって間合いを詰めたんだ。

「悪いな、俺の中に流れる血が人外を前にすると疼くんだ。勘弁してくれ」

「気にしないわ。うちの従者が迷惑をかけたわね」

「出来た従者じゃないか。主の危機に即座に反応する、いいことだと思うが?」

「ふふ、そうね」

 くすくすと笑う幼女。なりは子供だが、相手は人ではなく人外。その強さは外見からは想像できない。ナイフをしまった咲夜という女は、こちらへの警戒心を解かずその幼女の後ろに下がり俺を見ている。ほんと、忠義にあついことで。

「レミリア、咲夜。どうしたのよ」

 霊夢がその二人の名を呼ぶ。咲夜というのはあのメイドのことだから、レミリアというのがあの幼女の名前か。

「私の能力が、その男のことを感知したのよ。それで見に来たってわけ。初めまして外界の人間、私はレミリア・スカーレット、吸血鬼よ。こっちが」

「レミリア様の従者をしている十六夜咲夜と申します。お見知りおきを」

「ご丁寧にどうも。相沢祐一、魔術師くずれの退魔師だ。で、レミリアは俺がここに来るってことを知ってたみたいだけど……なんでだ、それと何の用だ?」

 俺がこの幻想郷にきたのは、ゆかりんにスキマで放り込まれたからだ。それまで俺は衛宮家でまったりとしていただけ。そこに爺さんが現れて、ゆかりんが現れて、幻想郷に興味あるかと聞かれて、スキマでぽいっちょ。偶然、ではないにしても人災のようなものだ。
 それを知っていた、というのは妙である。その状況を見ていたというのなら話は別だが、あの場には俺と爺さん、ゆかりんしかいなかった。

「さっきも言った通り、私の能力が感知したのよ。私の"運命を操る程度の能力"がね」

「……なんでもありかここ。じゃあ、他の三人もゆかりんやレミリアみたいな能力があるのか?」

 ゆかりんは確か、"境界を操る程度の能力"とか言ってたか。何が"程度"だ、魔術師どもが聞いたら憤慨するぞ。少なくとも一生ホルマリン漬けは免れまい。
 捕まえられるのなら、だが。

「えぇ、霊夢は"主に空を飛ぶ程度の能力"で、魔理沙は"主に魔法を使う程度の能力"。そして咲夜は"時間を操る程度の能力"よ」

「時間……!? もしかして、時を止めたりとか出来るのか?」

「えぇ、さっき咲夜が急に現れたように思ったんじゃない? あれは時間をとめて動いたからよ」

 本当になんでもありか、ここは。人間が時間を操る、それなんてジョ○ョ? 俺の感じている頭痛は、きっと錯覚などじゃないと思う。俺自身の魔眼も相当なもんだと思うが、ここはんなもの足元にも及ばない。
 非常識な場所だ。

「で、どこへ行こうとしていたのかしら」

「暫くの滞在場所を探しにな。すぐに帰るつもりはないから、当面の寝床を確保したいんだ」

「ふぅん……なら、私の館の部屋を貸してあげましょうか?」

 面白そうな顔をして、レミリアは俺にそう言ってきた。


 また中途半端に終わり。これ以上長くなるとまた重くなるからな! そして特に続きは考えていない。

神薙 祐樹

  • Author:神薙 祐樹
  • 1987年3月11日生まれ。
    うお座のAB型。
    現在は雇われ店長としてブラックな職場で日々働いて時間を失っています。

    RO現在休止中。Mimir鯖所属、主に影葱。ガンダムオンライン、ガンダムジオラマフロントにはまってます。

    SS書く時間がほしい。
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